クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

313話 善者

 竜斗side
 今は、シェレールがセレスさんと一緒に結婚式できる衣装を買いに行っている。
 それで俺は手持ち無沙汰となってしまい暇をどう潰そうか悩んでいたところ、クロムとレーネが俺の元へ来てくれて話をしようということになった。そのため、俺たちは、庭に設置されているテーブルと椅子がある場所へ行く。そして、その場所に着くとクロムがアイテムボックスからお茶を入れる器具を取り出す。
「……お茶……今から……入れるね……」
「あ、ありがとう、クロム。」
「ありがとね、クロム。」
 クロムがお茶を入れてる間、俺とレーネは、話しながら待つ。
「竜斗は、もう体の方は大丈夫なの?」
「ああ、もう完璧に良くなったよ。あの時は心配かけて悪かったな。」
「ううん、竜斗が無事なら良かったわ。」
「あはは、もうそれ何回も聞いたな。でも、ありがとう、レーネ。そういえばレイルさんは、今どうしてるんだ?」
「今は、クロムのお父さん、ジゼルさんから仕事が与えられて喜んでいたわよ。」
「そっか。よかったな。」
「………ええ、これも竜斗のおかげよ。ありがとう。」
「俺は、レーネが幸せになってくれれば良かったんだ。」
「う、うん……今、すっごい幸せ。」
「……やっぱり……竜斗は……優しい……」
 そこでお茶を入れ終わったクロムも話に参加した。
「ねぇ、前から思ってたけどどうして竜斗は、そんなに私たちに対して優しくしてくれるの?」
 クロムがお茶を俺たちの前に置き終わり席に座ったところでレーネが俺にそんな質問をしてきた。
「どうしてって言われても………」
「こんなに人に対して優しくできる人なんてそうそういないわよ。だから、なんか理由があるんじゃないの?」
「…………まぁ、強いて言うなら俺はそんな風には扱われたかったっていうしょうもない理由かな。」
「……どういうこと?」
 クロムとレーネは、お互い頭をはてなマークを浮かべ首を傾げた。
「ん〜、なんて言うか俺、昔、酷い思いをしてたって言ったよな。だから、俺みたいな思いをするやつは二度と作りたくないんだよ。それで俺は他のやつらに優しくするんだ。俺がこうされていたら幸せだっただろうなっことを俺は今、してるだけなんだ。ただ、それだけだよ。」
 俺は、ありのままの本音をクロムとレーネにぶつけた。
「それであそこまで出来るんだからすごいわよね。あたしならみんな、あたしみたいな境遇になったしまえ〜とか思うはずだもん。」
「……私も……人に……嫌なことされたら……誰にも……優しくしようとは……思わない……」
 2人は、俺と同じように本音をぶつけてくる。
「………2人とも、俺のことどう思ってる?」
「……すごい……優しい……人……」
「強くて頼もしい人。」
 この2人の中で俺の評価がすごい高い。
 だけど、俺は実際そんなすごい人じゃない。人を恨むし人を殺しもする。俺は、みんなの前だけ優しい人なんだ。ただの偽善者なんだ。
 俺は、2人にそう言おうとした。だけど、言えなかった。言ってしまったら恐らく2人は、俺の事を幻滅する。そして、俺の元から離れていく。そう思ったから。だから、怖くて言えなかった。
 そんな俺の拳の上に可愛らしい小さな手が両方にちょこんと乗ったのが分かった。
「……竜斗……大丈夫?」
「手、震えてるわよ?寒いの?」
 クロムとレーネが心配そうに俺の方を見てくれている。
 優しい瞳。きっと、こういう子たちが本物の善者となのだろう。
「……2人は、俺より強いな。」
 俺は、そう呟いていたクロムとレーネの頭に手を乗せた。
 2人とも、最初は恥ずかしそうにしていたがすぐに嬉しそうに頬を緩ませた。
「……竜斗も……優しいよ……」
「そうよ、私たちにとって竜斗は憧れであり目標なんだから。」
「……私は……それと……嫁候補ね……」
「ふふっ、何よそれ。」
「……私……本気……だよ……」
「あ、あはは……」
 クロムのそんな発言は放っておこう。
 だけど、この2人のおかげで少し暗くなった俺の心も少しは和らいだかな。

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