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クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

311話 からかい

 今日は、シェレールが衣装合わせのために出掛ける日だ。そのためそれに同行するセレスさんの元へと来ていた。
「それじゃ、行ってきますね。」
「ああ、行ってらっしゃい。」
「……旦那様の隣に相応しい姿が出来るような衣装を選んできますね。」
「ははっ、シェレールは、どんな姿でも相応しいよ。逆に俺が相応しい男にならないといけないほうだし。」
「そんなことありませんよ。旦那様は、とても素敵です!」
「そう言ってくれて嬉しいよ。でも、もう少し男としての威厳を示さなくちゃな。」
「旦那様は、もう少し自分のかっこよさを自覚するべきです。」
「シェレールだってもう少し自分の可愛さを自覚するべきだぞ?」
「っ!も、もうっ!旦那様ったら!そんなお世辞言っても旦那様がカッコイイのは隠せませんよ?」
「それはシェレールの方だぞ。」
 と、そんな甘い話をしていると間からセレスさんが割って入ってきた。
「はいはい、そんなイチャイチャした会話は帰った後、存分にしてね。はぁ、全く、歯が溶けるほど甘い話だったわよ。」
「だって、旦那様が………」
「だって、シェレールが………」
「もうっ!いいから!ったく、聞いてるこっちが恥ずかしくなるわ。」
 セレスさんがやれやれと言ったように手を顔に当てため息を吐く。
「そろそろ行くわよ。シェレール、準備はいい?」
「あ、はい、大丈夫です。」
「それじゃ、行こうかしら。竜斗君は、楽しみに待っててね。」
「はい、楽しみです。」
「行ってきます、旦那様。」
「行ってらっしゃい、シェレール。」
 俺は、2人の背中が見えなくなるまでそこで見送っていた。
 そして、魔王城で1人になった俺は手持ち無沙汰になってしまった。何もやることがない。
「………暇だな。」
 この頃、結婚式とか衣装合わせとか家探しとかで色々と忙しかったが俺のやることは昨日でほぼ完了したので久しぶりの暇となったのだ。
 それにいつも隣にいたシェレールも居ないからな。
「さて、どうしたものか。」
「……えいっ!」
 と、そんなことを呟いた瞬間、誰かの掛け声とともに小さくてぷにぷにな手が俺の目を覆った。
 普通なら重心を崩すところなのだが、やたらと背中に乗ってきたものが軽かったので余裕で耐えられた。
 そして、俺の目を覆った本人が言葉を発した。
「……だーれだ……」
 その声で誰かは確信できた。この手の大きさならクロムかレーネなのだ。だが、今の声でそれがクロムの声だと確信した。
「ははっ、クロムかな?」
 俺は、そう言って背中に手を伸ばしクロムと思われる人物を支えてクルリと回転する。
 だが、そこには俺の想像した人物がいなかった。
「あ、あれ?レーネ?」
 俺の腕に抱えられているのは正しくレーネである。
「クロムの声がしたはずなんだけど……」
 俺は、レーネを少し上げて周りを見る。するとレーネの後ろにクロムが居た。
「……ふふっ……騙された……」
「ええ、完璧だったわね。」
 クロムとレーネは、俺が騙されたのを楽しそうに笑っていた。
「す、すごいな。絶対にクロムだと思った。」
「ふふっ、まだまだ竜斗も修行が足りないわね。」
「……竜斗が……驚いてる……ところ……可愛かった……」
「普通にクロムの声が後ろからしたからクロムのだなって思ったんだけど……」
 俺は、今さっきの声を思い出し目を点にしながらそう呟く。確かに今さっきの声はすぐ近くに感じた。クロムのところだと少し離れているから分かるはずなんだが……
「……風魔法で……声を……レーネのところ……まで飛ばした……」
「へぇ、そんなことも出来るんだな。今度練習してみよっかな。」
 声を飛ばすか。それが出来たら遠距離での会話も出来るかもな。
「……なら……今度……教えてあげる……」
「おお!ありがとう、頼むわ。」
「……うん……」
「あ、なら、あたしも混ぜて!一緒に練習したい!」
「……いいよ……みんなでやろ……」
「じゃ、シェレールも誘っとくな。」
「……うん……」
 絶対に習得したいな。
「それで竜斗、今日は暇?」
「ん?ああ、今日は……ってか今日から結婚式の2日前までずっと暇だな。」
「なら、今日はこの3人で庭でお茶でもしましょ。……竜斗、結婚しちゃったらここから出ていくんだし、そういう時間もあまり取れなくなると思うから。」
 レーネは、少し寂しそうな表情を浮かべてそう呟いた。
「……まぁ、確かにここからは出ていくけどなるべく多くここに来ようと思ってるよ。」
「……ホント?」
 今度はクロムの方からうるうるとした瞳で見つめられた。
「ああ、ホントだよ。」
「……良かった……でも……毎日……会えないのは……やっぱり……寂しい……」
 クロムとレーネは、顔を下に向けて悲しんだ。
 俺は、そんな2人の頭にポンっと手を置いた。
「だから、今からいっぱい楽しい思い出を作ろうな!」
 俺は、笑ってそう言った。
「「………うんっ!」」
 すると2人も笑顔で俺に応えてくれた。
 この笑顔を毎日見れなくなると思うとやっぱり俺も少し寂しいな。
 結婚式まで残り、13日。

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