クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

299話 話し合い

 竜斗side
 俺たちは、数分間、ずっと泣いていた。そして、泣き止むと俺は、シェレールにこう言った。
「………早く結婚したいな。」
「ですね。」
「………そのためにも……俺をずっとこんな所で引き止めているあいつをどうにかしなくちゃな。」
「…………一人で大丈夫ですか?」
「ああ、もちろん。シェレールは、見ててくれ。…………なるべく俺のすぐ側で。」
 俺は、恥ずかしさを紛らわすように鼻の頭を掻きながらそう言った。
「っ!はいっ!」
 シェレールは、俺の腕に抱き着き嬉しそうに返事をした。
「ありがとう、シェレール。」
 俺は、シェレールに笑顔を向けた後、ゆっくりと過去の俺へと歩き始めた。
「………旦那様、どうするんですか?」
 シェレールは、少し不安そうに尋ねてきた。
「…………こいつを起こして………その後に少し話し合いが出来たらなって思う。」
「話し合いですか……いいですね。」
「だけど、また襲い掛かるかもしれないからシェレールは、俺の後ろに居てくれ。絶対に守ってやるから。」
「〜っ!……はいっ!」
 シェレールは、嬉しそうに顔を赤らめて俺の背中へとくっ付いた。
 俺は、そんなシェレールに頬を緩ませていたがすぐに気を引き締めて魔法を発動する。
 今の俺の力は、だいぶ無くなっているがこいつを起こすくらいの魔法なら使えそうだな。
 まずは今さっきのダメージをなくすため回復魔法で魔法を掛ける……と思ったがそれはシェレールにやってもらおう。シェレールの方が俺より圧倒的に回復魔法が上手いからな。
「シェレール、こいつに回復魔法を掛けてくれ。」
「えへへ〜……え?旦那様、今なんて言いました?」
 シェレールは、俺の話を聞かずにニヤニヤと表情を緩ませていた。
「…………こいつに回復魔法を掛けてやってくれって頼んだんだ。頼めるか?」
「あ、はい。大丈夫です。すいません。」
 シェレールは、今度は俺からの要望をしっかりと聞き取り過去の俺に手のひらを向け回復魔法を掛ける。
「…………はい、終わりました。多分もう痛みはないと思いますよ。」
「そうか、ありがとう。」
 俺は、シェレールの頭を撫でて褒めた。
「えへへー」
 するとシェレールは、今さっきのようにまた頬を緩ませて喜んだ。
「じゃ、また、俺の背中に隠れていてくれ。あんまり気を緩めすぎるなよ?」
「は〜い!分かってます!」
 ………本当に分かっているのだろうか?まぁ、いざとなったら俺が命に変えても守ってやればいいか。
 俺は、そう思い過去の俺に催眠魔法を使い無理やり起こさせる。
「…………ん………っ!」
 過去の俺は、うっすらと目を開けて俺の顔があることに気づくとその場から咄嗟に離れた。
「………なんの真似だ?」
 過去の俺は、眉に皺を寄せて怪訝そうな表情でそう問いかける。
「お前と話し合いをしてみたくてね。」
「…………俺は、お前と話すことなんてない。」
「俺もそう思ったよ。でも、シェレールに色々と言われてやっぱり話さなきゃいけないことに気づいた。だから、俺はお前と話したい。」
「…………ふんっ、お前の恋人か………いいよな、幸せで。」
「…………俺は、お前でもあるんだ。俺の幸せは少なからずお前にも届いているはずだが?」
「さぁな。幸せな感情よりも今の苦しみの方が大きいから幸せなんて感じたことなんかねぇよ。」
「………今さっきも言ったが俺は、お前だ。お前の苦しみは俺だって知っている。ただ、俺には今の世界での感情が……お前には前の世界の感情がより濃くなって俺たちを作り出してしまったんだろう。」
「だから、なんだって言うんだよ?」
「………俺とお前は元々一つの存在だ。それが俺の体の不安定な状況で二つの存在に別れてしまったんだろう。」
 あの邪神を取り込んだ際、俺の体には多くのダメージを負ってしまった。だから、あの邪神を最後まで消すことが出来なかった。だから、俺と俺が二つに別れてしまった。
「俺は、過去のことに引きずられるのが嫌だ。だから、お前を殺して全てを忘れようと思った。………でも、違うんだよ。今の俺を保つには過去の記憶が必要なんだよ。きっと、そうしないと今までの全ての記憶が壊れてしまうから。だから、俺とお前は、再び1つに戻らないといけない。」
 俺は、離れた過去の俺を見つめながらそう言う。
 過去の俺は、辛そうに顔をしかめる。
 俺の話を聞いてあいつも同意してくれたのは表情を見ていたら分かる。
「………俺は………別にこのままでいい………」
 だが、過去の俺は、下を向き辛そうな顔をしたまま、そう言った。

「クラス転移で俺だけずば抜けチート!?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く