クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

297話 決心

 シェレールside
 ドクン。
 心臓が大きく跳ねました。
 それが嬉しい感情ではないことは明白。
 妙に息苦しくてそして、体がブルブルと震えています。
 そんな私の目の前には私の知っている旦那様が私の知らない旦那様を殴り飛ばした景色が写っていました。
 その光景を目の前に私は、足がすくんでしまい動くことも言葉を発することも出来ませんでした。
 クロムと白井さんも同じようで全く動いていません。
「………シェレールさん、恐らく次にもう一度竜斗様が攻撃すると過去に取り縛られている竜斗様は、死んでしまうでしょうね。」
 そんな私にナビさんは、淡々とそんなことを私に告げてきます。
 ナビさんが私にして欲しいことが全く分かりません。
 旦那様の目を見る限り、もう覚悟は決まっているようです。必ず旦那様は、過去に捕われ続けている旦那様を殺すでしょう。
 そう思うと私は、再び心臓が大きく跳ねてゾクゾクと体に寒気が来ました。
「……はぁはぁ………」
 呼吸するのがやっとのことです。そんな私に今の旦那様をどうにかするなんて………無理です。
「………竜斗様、寂しそうで辛そうな顔をしてますね。」
 と、唐突にナビさんがそんなことを言ってきました。
 私は、旦那様の表情を見ると確かにそんな感じがすることが分かりました。
 どうして旦那様は、あんな表情をしているんでしょう?
 私の頭にはそんな疑念が過りました。
「……竜斗様は、自分で自分のことに蹴りを付けたいと言っていましたが………本当にそんなことが出来るのでしょうか?」
 ナビさんは、私に問いかけるようにそんなことを言ってきました。
 ………旦那様は、なんだって出来る………
 私の頭にはその言葉が浮かび上がりました。
 それは、旦那様のこれまでのことを考えてきたら分かることです。
 ですが、私の知らない旦那様のことは?
 この世界に来る前の旦那様のことに関しては、正直旦那様が話すくらいのことしか分かりません。それに恐らく旦那様は、私に気を使ってもっとオブラートに包んで話しているはずです。
「………柊君は、元々すごい弱かったよ。」
 と、そこでこの中でナビさんを除けて唯一旦那様の過去を知っている白井さんがそう呟きました。
 みんな、一斉に白井さんの方に視線を向けます。
「柊君は、弱い人だけどとても強い人でもあるの。」
 白井さんの言っているのことはすごい矛盾が生じています。
「……柊君、いつもいつも虐められて……でも、それでも学校には毎日来ていた。お家の人からも結構色々されていたみたいだから家に入ることが出来なかったんだろうけど……それでもどこにも逃げずに学校に毎日来ていた。だから、柊君は、強い人なんだよ。」
 白井さんは、少し儚げな表情をしながらそう言いました。
「…………旦那様は、弱い人。」
 私は、ポツリと白井さんが言っていた言葉を言いました。
 そんなこと、1度も思ったことはありません。だって、いつも私の目の前にいる旦那様は、格好良くて優しくてとても強い人なんだから。
 でも、白井さんの言葉を聞いてから私は、思いました。
 きっと私の前での旦那様は、色々と気を張っているのでしょう。私としては本来の姿を見せて欲しいと願うのですが……すぐには無理ですよね。
「………白井さん、旦那様のことを教えていただきありがとうございます。」
 私は、ようやく決心が着き旦那様のことを教えてくれた白井さんにお礼を言います。
 きっと、白井さんの話がなければ今出ている私の中での答えは出ていなかったでしょう。
「ナビさんもありがとうございます。私に色々と言ってくれて。」
 そして、次に私に向けて色々と言ってれたナビさんに頭を下げてお礼を言います。
 ナビさんが私に言ってきた言葉は、最初はよく理解できませんでしたがそれで必ず私にとって必要になる言葉だったんです。
「ふふっ、いい目をしてますね。すいませんね、急に色々と言ってしまって。」
「いいんですよ、気にしなくて。覚悟を決められたのはナビさんのおかげでもあるんですから。」
「それでは………任せましたよ。」
「はいっ!任せてくだい。」
 私は、もう一度一礼すると再び攻撃しようとしている旦那様に向かって走りました。
 そして、思いっきり旦那様へと抱き着きました。
 私の意表を着いたその行動に旦那様は、足元が絡まってしまい私と一緒に転んでしまいました。その際、旦那様は、しっかりと私を上にして衝撃のダメージを軽減してくれました。
「しぇ、シェレール!?」
 旦那様は、私の行った行動の意図がわからず目を点にして私の名前を呼びました。
「旦那様!今度は、私が助けますね!」
 私は、満面の笑みを浮かべてそう言いました。

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