クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

296話 縛られない

 竜斗side
 俺は、何発の攻撃を食らっただろうか。ダメージなどさほどない攻撃なのに……心がズキズキと軋む音を立てながら壊れているようなそんな気がする………
 そして、そんな俺に容赦なく過去の俺は、俺の顔面を殴る。その際、口元を殴られてしまったので口の中を切ってしまい血が出てきた。
「………いいよなぁ、幸せそうで……」
 俺を殴った過去の俺は、俺を倒れてる俺を見下ろしながらそう呟く。
 俺は、口から垂れた血を腕で拭うとゆっくりと立ち上がる。
「ああ、俺は幸せだ。お前なんかよりも余程な。」
「ああ、そうだろうよ。俺が幸せに感じたことなんて1度もないんだからな。」
「知ってるよ、俺の事なんだから。」
「確かに今の俺の苦しみはお前も知っている。だが、なぜお前が幸せそうに笑っていて俺が苦しまないといけない?お前も俺も同じ柊竜斗なのに。」
 過去の俺は、悔しそうに、そして、切なそうに呟く。
「お前、聞いたよな。俺をここで引き止めるのかって。」
「ああ、確かに聞いたな。」
「俺は、お前が憎い。一人だけ嬉しそうに楽しそうに笑ってるお前が憎い。俺は、そんなお前を許さない。だから、俺は、二度とお前を元の世界に帰らせない。俺とこのまま嫌な記憶の中で生きていくんだ。」
 過去の俺は、少し殺気の篭もった声でそう言った。
 俺は、その言葉を聞いた上でため息を吐き言葉を発する。
「くだらない。」
「………なに?」
「くだらないって言ったんだ。今の生活は、俺がこの手で手に入れたもの。確かに力は神様たちから貰ったものだ。だが、今の生活は俺が手に入れた。お前が羨んでも憎む理由にはならねぇよ。」
「っ!うるさい………うるさい!何度俺が辛い思いをしたのか知ってるのか!?何度俺が助けを求めたか知ってるのか!?」
 過去の俺は、叫ぶ。辛いことを吐き出すように。過去の辛さや苦痛を怒りとして、叫ぶ。
「………ああ、知ってるよ。」
 だが、俺は、過去の俺とは裏腹に静かな声でそう呟いた。
 続けて俺は
「今さっきも言ったが俺だって柊竜斗だ。過去、何をされたかだって知ってる。お前がされたことだって知ってるさ。俺は、お前だ。知らないわけがない。」
 そう言った。
「俺は、気づいていた。俺の中で過去に捕われ続けている自分がいることを。それがお前だってことも。…………俺は、決めたんだ。過去に縛られるのはもうやめようと。俺は、決めたんだ。過去に捕われ続けている俺ともし会えたら………消してやるって。だから、お前がもう苦しむことは無い。」
「…………は?………」
「お前は、消える。ただ、それだけだ。」
 俺は、少し殺気を放ちながらそう言う。
「俺は、もう覚悟を決めたぞ。もう心は痛まない。お前を殺す覚悟を決めた。」
「っ!………」
 過去の俺は、俺の殺気を間近で感じ、半歩後ろには下がる。
 俺は、過去の俺が下がった分だけ近づく。
「く、来るな!」
 逃げても近づいてくる俺の事を怖がったのか、過去の俺は、手を振り上げて俺を殴ろうとする。
 俺は、その攻撃をあえて躱さず食らう。
「………は……ははっ、何が覚悟を決めただ!結局ビビって動けてねぇじゃねぇか!」
 過去の俺は、攻撃が当たったことで少し自信が上がったのかそんなことを言い出した。
 俺は、今だ頬に残っている拳を払い除けて過去の俺の顔を覗く。
「………大丈夫、やっぱりもう心は痛くない。」
「っ!」
 俺は、今、どんな表情をしているのだろうか。
 ようやく過去のことを引きずらなくて済むと思って喜んでいるかな。それとも自分を殺すことへの嫌悪感で苦しい顔をしているのだろうか。
 分からない。でも、そんなことはもうどうでもいい。

 俺は、俺を殺す。

 俺は、そう思い腕を振り上げた。

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