クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

295話 余裕?

 竜斗side

 俺は、過去の俺を殺す。

 それを頭に置いて前の世界の俺へと向かって歩く。
 そして、お互いの距離が約1メートルくらいになったところで近づくのをやめる。
「よぉ、俺。」
「……幸せそうだな……俺。」
「ああ、幸せだよ。お前は辛そうだな。」
「ああ……辛いよ。」
 今の俺と過去の俺は、お互い睨み合いながらそう言葉を交わす。
「………悪いがお前には死んでもらう。」
 俺は、少し緊張の篭もった声でそう言った。
「ああ、俺もそのつもりだ。」
「考えてることは一緒か。さすが、俺だな。」
「………」
 過去の俺は、もう喋ろうとはしなかった。
 鋭い眼光で俺を捉えてる。
 凍てつきそうな目。体中があちこちボロボロになっている。
 俺は、そんな俺を見たくなかった。
 それを見てしまうと嫌な記憶が蘇ってくる。せっかく忘れかけていたのに。記憶に蓋をしていたのに……
「なぁ、なんでお前、俺をここで引き止めてんだよ?」
「………さぁな。」
 と、その瞬間、過去の俺は、地面を蹴り、俺へと突っ込む。
 武器は、持っていないようだから格闘術で来るのだろう。
 俺のその予想は、的中し過去の俺は、右手を強く握りしめ俺の顔面を殴ろうとする。
 俺は、その攻撃を軽く裁く。自分が当たらない紙一重のところでどんどん躱す。
 ………こいつ、全然強くない?
 今さっきからの攻撃は強くもなく早くもない。それに隙だらけだ。まるで戦いを知らない素人のような………
 もしかして、こいつ、過去の俺がそのまま実体化してるのか?それなら、力もないし技術すらない今の戦いの理由に納得がいく。
 てっきり俺の体の中にいるから力は、今の俺と変わらないくらいだと思ってた。
 でも、まぁ、弱いなら好都合。さっさと殺してやる。
 俺は、そう思い次の攻撃を躱した瞬間に腹に重い一撃を食らわした。
 すると、なんの力もない過去の俺が今の俺に対抗できるわけがなく防御力も弱いので腹を抑えながら悶えてる。
「かはっ……っは……は……ぁ……」
 過去の俺は、地面に膝をつき転がりながら‪悶える。
 苦しいのだろう。辛いのだろう。痛いのだろう。
 だから………すぐに終わらせてやる。
 俺は、スタスタと過去の俺に近づく。すると、過去の俺は、痛みを抑えるように歯を噛み締めて俺を睨む。
「っ!」
 俺は、その目を見た瞬間、足が石になってしまったような感覚を覚えて動けなくなった。
 まさか………怖い……のか?弱い頃の俺が?今の俺には力がある。アイツを殺せるだけの力が………
 なのに……なのになんで俺は、こんなに怯えてるんだ……
 後ろにはシェレールたちもいる。守ってやらなきゃいけないみんながいる。
 だから………だから、俺は、こんなところで死ぬわけにはいかない。
 動け、動け!俺の足!頼むから動いてくれ!
「………なんだよ、俺を殺すとか言っといて……」
 過去の俺は、そんなことを呟きながら立つ。立ったあとは軸が定まらずよろよろと動いている。
 だか、少し力を入れてしっかりと軸をとるとゆっくりと俺に近づいてくる。
 そして、右手の拳を強く握り俺の顔面を殴る。俺は、それを躱すことも出来ず殴られる。だが、こっちの世界へ来て防御力も上がっている俺に対しては全く痛くない。
「…………」
 痛くないはずなのに………痛い。
 なんだ、この痛み。
「………かはっ!………はぁはぁはぁはぁ……」
 目がグルグルと回るような感覚を覚える。
 上手く立てない。
 足に力も入らない。
「っ!」
 そんな俺にもう一発、右頬に拳が飛んできた。
 俺は、そのせいでバランスを崩してしまい尻もちをついてしまう。
「…………お前には負けない………」
 過去の俺は、鋭い目を俺に向けながらそう言った。

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