クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

290話 最深部の前に

 シェレールside
「そろそろ最深部に着きますね。」
 私たちは、旦那様の中に入ってから少なくとももう3時間くらいは歩いた頃、突然私たちの前に扉が現れ、ナビさんがそう言ってきました。
「……やっと……着いた……」
 クロムがどこか疲れたような声色でようやく着いたことに喜んでいます。
「皆さん、お疲れ様でした。一旦ここで休憩しましょうか。」
 ナビさんは、そんな提案をしてきました。
「い、いえ!私は大丈夫です!すぐに行きましょう!」
 私は、休憩している時間がもったいないと思いナビさんにそう訴えました。
「……私も……大丈夫……」
 クロムもさっきまで疲れたような雰囲気を醸し出していましたが休憩という単語に反応して今は、結構元気そうです。
「うん!私も大丈夫だよ!休憩してる時間がもったいないよ!」
 白井さんも休憩するのは反対のようです。
「………皆さんの意見は、分かりました。ですが、この先は今さっきよりもさらに感情が入り乱れています。それもその感情は、負の感情です。皆さんの今の状態では恐らく八割の確率で飲み込まれてしまうでしょう。」
「っ!………」
 ナビさんの声色は、少し低く鋭い声でした。
 私たちは、そんなナビさんの声に一瞬、ビクリと体を震わせました。
「今の私の言葉でそんな風になるようならこの先は行かせられません。」
 ナビさんは、私たちが一瞬怯んだのが分かったのかさらに声を鋭くしてそんなこと言ってきました。
「………分かりました、ちょっと休憩しましょうか。」
「……でも……こんな……場所じゃ……気が……休まらないよ?」
「確かにそうですね。分かりました、場所を用意しましょう。」
 ナビさんは、クロムの質問に応えて一つ、空中に人一人入れそうな大きさの穴を作りました。その穴は、旦那様の空間魔法へ行く時に使うゲートにとても似ています。ちなみにナビさんの声色はもう元に戻ってました。
「それではどうぞ入ってください。この空間は、竜斗様が作った空間魔法の空間です。シェレールさんとクロムさんは何度も言ったことがありますよね。」
「あ、はい、そうですね。」
 ナビさんが言った通り、私とクロムは、旦那様が寝込む前まではほぼ毎日この空間に来て魔法の練習をしていました。
「……ここでも……空間魔法を……使えるんだ……」
 クロムは、こんな場所でも空間魔法が使えることに感心していました。
「当然ですよ。だって、クロムさんも今さっきまで敵を倒すのに魔法を使っていたでしょう?」
 ナビさんは、当然と言ったようにそんなことを言ってきました。
「……確かに……」
 クロムは、ナビさんの言葉で納得したのかコクリと首を縦に頷けます。
「私も少しだけだけど来たことがあるような………」
 白井さんは、顎に手を当ててなんとか思い出そうとしています。
「確かに白井さんも何度か来たことがありますね。」
「やっぱりそうだよね!なんだか見た事があるような気がしたんだ!」
「確か、白井さんが最後に来たのは旦那様が何者かに乗っ取られた時にここで戦った時ですよね。あれからもうだいぶ月日が経ってますね。懐かしいです……」
 私は、過去のことを思い出し、懐かしく思います。
 私の思い出全てに旦那様の姿が必ずあることに私は、少し微笑んでしまいました。だからこそ、今、旦那様がいないことに強烈な痛みを感じます。
 旦那様に会いたい、旦那様と話したい、旦那様に抱きつきたい、旦那様の笑ってる姿が見たい、旦那様とずっと一緒に居たい………私は、そんな思いがどんどん胸の中に入ってきて痛みをどんどん膨れ上がってきます。
「……………シェレールさん、少しいいですか?」
 私が胸の痛みに耐えていた時、ナビさんが私の近くへ来て話し掛けてくれました。クロムと白井さんは、少し遠くで地面に座って色々と話しています。
「はい、何でしょうか?」
 私は、胸の痛みを堪えてナビさんに返事をしました。
「シェレールさんが竜斗様のことをすごい大切に思ってくれているのは重々承知してあります。そのことを分かってのお願いなんですが…………」
 ナビさんは、そこからたっぷりと間を置いて続きの言葉を聞きました。
「……竜斗様を………殺してください………」

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