クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

285話 一番弱い

 シェレールside
 突然目の前に現れた扉をナビさんがゆっくりと開けた瞬間、私たちは、体をビクッと震わせました。
「な、なに……このすごい嫌な気配……すごいドロドロとした感じ……」
 白井さんが体を震わせながら今、起こっていることを話しています。
 確かに白井さんの言った通りすごい嫌な気配を感じます。
 この感じは、今までのよりもさらに濃密になっていて一般人なら恐らく一瞬で気絶していたでしょう。
「白井さん、大丈夫ですか?」
 私は、このメンバーの中で一番レベルの低い白井さんに声を掛けます。
「……ま、まぁ……ある程度は……大丈夫……」
 白井さんの顔色は少し悪いですけど大丈夫そうです。
「あまり無理しないでくださいね。」
「う……うん……ごめんね……迷惑をかけて……」
 白井さんは、申し訳なさそうに俯きながら私たちに謝ってきました。
「別にいいんですよ、謝らなくても。」
 私は、そう言って白井さんを慰めます。
「本当にごめんね……」
「白井さん、そんなに落ち込んでいたらこの先、進んでいけませんよ。切り替えてください。」
 白井さんがしょんぼりと落ち込んでいたところにナビさんの方から声が掛けられました。
「う、うん……そうだね!切り替えないと!」
「はい、そうしてください。きっと、白井さんの力が必要になる時があると思うので。なんたって、この中で一番竜斗様と一緒にいたのは白井さんなんですから。」
「う……うん!私!頑張るね!」
 ナビさんの言葉で元気が出たのか白井さんは、顔色を良くして笑顔で頷いた。
 これならこの先を進んでも大丈夫そうですね。
 とは言ってもこの先は旦那様の嫌なことが全て詰まっている出来事がいっぱいある………いつも旦那様の過去には目を背けていたけどちゃんと向き合わないといけませんね。
「はぁ〜………ふぅ〜………みんな、行きましょう!」
 私が深呼吸をして心を落ち着かせてからそう言うとみんな頷いて私の隣へ来てくれました。
 そして、ゆっくりと歩き出して扉の先へ足を踏み入れました。
 ドクン!
 その瞬間、私の心臓が大きく跳ねました。
「っ!…………」
 私は、キョロキョロと周りを見て他のみんなも私と同じことになっていないのか確認します。ですが、何も起こってないのか私がキョロキョロしているのをおかしく思ってみんな、首を傾げています。
「……どうしたの……シェレール?」
「急に周りでも見て………何かあったの?」
「……い、いえ………なんでも……ありません。」
 私は、特に異変もないのでみんなに心配かけないように何も無かったと伝えます。
「……そう……なら……行くよ……」
「は、はい、そうですね。早く旦那様を助けましょう。」
 そう言って私は、あまり気にしないようにして前へと進み始めました。
 そして、少し進むと目の前に一粒の光が唐突に現れました。
「きゃっ……な、なんですか……これ……」
 私は、驚いて目を見開きながらその光の粒を見つめました。
 他のみんなも私と同じように驚きながらその光の粒を見つめていました。
「それは、竜斗様の思い出です。触れないように気をつけてくださいね。」
 するとそこでナビさんの方から注意されました。
「………竜斗様の………思い出……」
 私は、思わずそんなことを口に出していました。
「はい、まだそれは嫌な記憶の方でもいい方です。ですが、それを触ってしまうとその記憶の中に入ってしまい、永遠と戻れなくなるかもしれませんので。」
「……記憶の……中に?」
 クロムは、ナビに尋ねていました。
「そうです。まだマシな方とはいえ皆さまにはキツイと思いますので記憶の中に入るとその嫌な思い出に心が蝕まれて戻って来れなくなるんです。」
「……そ、そんなに………旦那様の過去ってそんなに酷いものなんですか?」
「……はい……なので、必ず触らないでください。」
 ナビさんが念を押すようにそう言うと私たちはゴクリと唾を飲み込み緊張してきました。
「………旦那様の方から過去って………一体………」
 私は、ポツリとそう呟いてみんなと前を進んでいきました。

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