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クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

284話 過去

 シェレールside
 旦那様の中を歩き続けてどれくらい時間が経ったのでしょうか?
 いくら歩いてもあたりは一面真っ黒。景色は全く変わりません。
 でも、私たちは、黙ってナビさんについて行きます。
 いくらこの場で騒いでも私たちは、何も知らないのでどう進んでいいのか分かりません。なので、私たちは、この場所を一番知っているナビさんに従うことしかできません。
「………皆さん、不安でしょうけど静かに私に付いていただきありがとうございます。」
 と、そこでナビさんが進みながらお礼を言ってきました。
 私たちは、急にお礼を言われて驚きましたがすぐに慌てて喋り出しました。
「い、いえ!そんな!私たちの方こそ、旦那様を救える手段を教えていただきありがとうございます!」
「それこそ別に構いませんよ。竜斗様が記憶を取り戻すのは私も願っていることなので。私だけじゃ竜斗様の奥底に眠っている記憶の場所まで行けてもそれを起こすことはできませんからね。」
 ナビさんは、温かみを帯びた口調でそう言った。
「……ねぇ……ナビさん……一つ……聞いても……いい?」
 と、そこでクロムがナビさんに尋ねかけました。
「はい、なんでしょうか?」
「……竜斗って……私たちのこと……どう思ってたの?」
「……竜斗様が皆さんのことをどう思っているか………ですか……とても気を許していて信用しているようです。」
「……ほんと?」
 ナビさんがそう言うとクロムは、嬉しそうに目をキラキラとさせました。
「はい、本当です。………ですが、シェレールさんだけは皆さんよりもさらに親しく接していますよ。一番大切な人と思っているようです。」
「っ!……そ、そうですか………えへへ……」
 私は、ナビさんのその発言に頬を緩めてしまいました。
 でも、仕方ありませんよ。旦那様が私を一番と思っていてくれてるんですから。
「いいな〜、シェレールさん。柊君に一番最初に出会ったのは私の方なんだけどな〜。はぁ、やっぱりアピールが足りなかったのかな……」
 と、白井さんがすごい悲しそうな表情を浮かべてガックリと項垂れました。
「竜斗様は、白井さんには結構恩を感じていたらしいですが白井さんを好きな人と見る前にシェレールさんが現れたことでその気がシェレールさんに向いてしまったみたいですね。」
「うっ!そ、それじゃ……もう少し時間を置いてここに来ていたら柊君は、もしかしたら私と付き合っていたかとしれないってこと?」
「どうでしょうか?竜斗様、あの時は正直いつ自殺しようか迷っていた時期ですからね。でも、自殺する前に白井さんに恩返ししなくてはって考えていたのですよ。」
「そ、そうなんですか!?じゃ、じゃあ、もし、ここに来る前に旦那様が白井さんに恩返ししていたら………もしかして……自殺していたんですか?」
 私は、恐る恐るそう尋ねてみました。
「はい、その通りです。良かったですね、竜斗様が生きているうちに召喚が出来て。」
「…………ほ、本当に………良かったです……」
 私は、あの時期に勇者召喚を行っていて良かったなと感じました。
「……竜斗って……そんなに……大変な……状況……だったの?」
 クロムが今の話を聞いて旦那様の過去の話を聞くために尋ねてきました。
「私は、この世界に召喚される前のことはよく分かりませんね。旦那様、前の世界のことをあまり話したがらないので。」
「う〜ん……私もあの時はよく避けられていたからな〜。」
「白井さん、あの時は避けていたと言うよりも竜斗様がどうやって恩返しすれば良いか分からなかったので下手に近づけなかったのですよ。」
「え?そうなんだ。別にいつでも近づいてきてくれても良かったのに。」
「白井さんは、クラスでは結構人気がありましたからね。そんな人と近づくとまた面倒なことになりそうだと思ったので必要最低限でしか近づかなかったらしいです。」
「そうなんだ……」
 白井さんとナビさんは、お互いに話し合いをしていましたがクロムは、話を逸らされて少しプクッと頬を膨らませています。
「……話……逸らされた……」
「あ、ごめんね、クロムちゃん。」
「すいません、クロムさん。」
「……まぁ……別に……いいけど……それよりも……竜斗の……過去を……一番……知ってるのは……ナビさん……なんでしょ?……竜斗のこと……教えて……」
「ん〜………その必要は無いと思います。」
「……え?」
「……この扉の先がクロムさんの知りたがっている竜斗様の過去があるんです。」
 ナビさんの言う通り私たちの目の前に一つの扉が突然現れました。
「この先に……旦那様の………過去が……」
「さぁ、行きましょう。この先からはさらに注意が必要です。気を強く持たなければ…………本当に記憶がなくなるかもしれませんよ。」
 ナビさんは、最後の方は少し緊張感を帯びた声を出してそう言ってきました。
 その声色から私たちは、今までよりもさらに気を引き締めて向かうことを決めて扉を開けました。

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コメント

  • ノベルバユーザー343508

    眩い光に教室中を覆いって文おかしいやん

    0
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