クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

261話 二人はいい子

「むぅ〜……やっぱり勝てないわね〜。」
「ははっ、そう簡単に負けられないよ。」
「まぁ、確かにそう簡単に負けられたらあたしとしても張合いがないんだけどね。」
 今は、魔法勝負を終えて少し休憩している。
「ねぇ、やっぱり休憩よりも今回の反省点を言ってよ。」
「ん〜、反省点か〜。そう言われても別にないんだよな〜。」
「なら、なんで倒せなかったのよ。」
「ん〜……そうだな。反省点といえば魔法の一つ一つの威力が弱かったってところだな。」
「威力の問題?」
「ああ、レーネは数を多くしてる分威力が少し削られてるんだよ。」
 まぁ、威力が弱い言ったがそれでも山の一つや二つ、軽々壊してしまうくらいの威力ではある。
「ということは数を減らしてその分威力を上げればいいってこと?」
「まぁ、そうだな。でも、ベストはこのままの数でさらに威力もあげれたらいいな。」
「結局は魔力を底上げする必要があるのね。」
「ああ。だから、明日からは一旦魔力を全て使ってみような。」
「えっ!?ま、魔力を全て使うって……下手なジョークを言っちゃって。」
「別にジョークでもなんでもないが?至って真面目なことだぞ?」
「………う、うそ………魔力を全て使うってそんにとしたことないんですけど!?」
「マジか!それであの魔力量なら相当すごいぞ!これなら今後の魔力もどんどん上がっていくと思うぞ。」
「………ね、ねぇ、魔力を全て使ったらどうなるの?」
「ん〜……体がだるくなったり目眩がしたり吐き気がしたりするくらいだ。」
「………本当にやるの?」
「ああ、もちろん。大丈夫、練習後は俺がちゃんと看病してやるから。」
「りゅ、竜斗が看病してくれる……」
「俺が嫌ならクロムかシェレールに頼むけど?」
「う、ううん!竜斗でいい!」
「そうか、なら、ちゃんと明日は覚悟しておけよ。」
「わ、分かったわ。」
 と、そこで遠くの方からクロムの声がした。
「……竜斗〜!……」
 声がした方を見るとクロムが一所懸命にシェレールを抱えて俺のほうにやってきている。
「シェレール、また随分酷くやられたな。」
「クロムもこれだけは負けられないらしいわよ。」
「は、ははっ……」
 俺とレーネは、急いでクロムの方に行った。そして、俺は、クロムから気絶しているシェレールを受け取る。
「クロム、もう少し手加減してやれないか?」
「……それは……無理……これは……女の戦い……それに……シェレール……だいぶ……強くなった……私も……本気で……やらないと……負ける……」
「そうなのか?シェレールもちゃんと成長していたのか。」
「……うん……私から……魔法の攻撃を……受けて……どんどん……強くなってた……」
「そんなに無理しなくてもいいのに……」
「竜斗、そういうこと言わないの。シェレール、この前言ってたけど竜斗に守ってもらってばっかでこんな自分が嫌になるって言ってたわよ。だから、竜斗もちゃんとシェレールの頑張りを受け止めて欲しいの。」
 シェレールがそんなことを……全く。
「……まぁ……シェレールが……どう考えて……いようと……私は……全力で……シェレールを……潰す……」
 なんだかいい雰囲気だったのに今のクロムの言葉で全てが台無しになってしまった。
「………ま、まぁ、今日はもうこれで練習は終わりってことで部屋へと帰るか。」
 俺は、クロムの部屋へとゲートを作って部屋へと帰った。みんなも俺に続いて部屋へと帰ってきた。
 俺は、一旦座ってまだ気絶しているシェレールの頭を俺の太ももに乗せて横にした。
「……竜斗は……休まなくて……大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫。」
「ふんっ、ごめんなさいね!あたしじゃ竜斗を疲れさせることすら出来ないもんね!」
「あ、あはは……」
 レーネは、俺が全く疲れていない様子に拗ねている。プクッと頬を膨らませていて可愛い。
「……レーネ……お風呂……入ろ……汗で……気持ち悪い……」
「あ、うん、そうね。」
「……竜斗は……」
「俺は別にいいよ。シェレールもまだ寝てるし。先に済ませてきて。」
「……うん……分かった……」
「また後で、竜斗。」
 二人は、俺に手を振って各部屋についている風呂場へと向かった。
 一応この城にも大浴場があり俺たちはいつもそこを使っているのだがレーネがあそこを使うのが嫌だと思うからってクロムは、一緒にレーネといつもここのお風呂を使ってる。
 うん、やっぱりクロムはいい子だ。ちゃんと他人の気持ちも考えられて行動ができる。これで人見知りがなくなったらどこに出しても恥ずかしくない魔王になるだろうな。
 レーネも少しずつだがシェレールと会話が増えてきている。二人っきりになるのはあまり好んでいないようだが……それでもレーネなりにずっと頑張ってきている。
 ふむ、やっぱりあの子たちは元々はとてもいい子なんだろう。だけど、それを変えてしまうのはやっぱり周りの人たち……か。
 俺は、まだどこかで前の世界を恨んでる。クラスメイトたちはとうに死んでいるのだが………実際、俺をいじめていたのはあいつらだけじゃない。あの学校にいたやつもあの街も親すらも俺を蔑んでいた。
 …………ダメだな。こんな気持ちを持ったままじゃ。
 …………いつか、この気持ちともしっかりと蹴りをつける必要がある。そうしないと……俺がいつか壊れてしまいそうだ……

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