クラス転移で俺だけずば抜けチート!?

白狼

257話 断る

 シェレールがレーネと距離感を縮めていた頃、竜斗たちは………

 竜斗side
「な、なぁ、クロム、くっつき過ぎじゃないか?」
「……そんなこと……ない……もっと……寄っても……いいくらい……」
「で、でも……」
「……ここには……シェレールは……いない……せっかく……久しぶりに……二人っきりに……なったから……これくらいは……許して欲しい……」
 シェレールは、上目遣いで少し涙目になりながら俺に懇願してきた。
「うっ………」
 ここはキッパリ断らないといけない。そうしないとシェレールからの信用なんて貰えなくなる。………だけど…クロムが悲しんでいるのにそれを無視していいのだろうか?逆にそっちの方がシェレールに嫌われるんじゃ?
 ど、どっちだ……
「……竜斗〜……」
 クロムは、さらに体をこっちへ近づけ懇願した。
「………わ、分かった。このままでいいよ。」
 俺がそう言うとクロムは、今さっきまで悲しそうにしていた顔をパァーっと明るくさせて俺の腕にさらに強く抱きついてきた。
「あ、歩きづらいからあまり抱きつかれるのも困るんだけど……それにクロムは、魔王だろ?だから、周りの目が……」
「……気にする……必要……ない……このまま……街の……みんなに……知れれば……絶対に……噂になって……むふふ……」
 おい、なにか悪いこと企んでないか?
「っと、まずはこの店で肉を買おうかな。」
 俺は、様々な肉を売っている店に入りどんな肉を買うか迷う。
「……今日は……なんの……料理を……作るの?」
「そうだな……ビーフシチューなんかいいんじゃないかな。」
「ビーフシチュー?」
「あ〜……なんて言うかまぁ、ざっくり言うと肉を煮込んだ料理だ。」
「……お肉を……煮込むの?……どんなものに……なるか……想像つかない……」
 そりゃそうだろうな。この世界じゃ煮込むなんて作業はあまりしないし肉は全般的に焼いて食べるのが普通になってるし。
「まっ、味は作ってからのお楽しみだな。」
 さて、やっぱりビーフシチューだから肉は、牛肉だよな。
 …………って、牛肉がねぇ!
 あるのは猪や鹿、ゴブリンの肉ばかり。
 ナビ、どんな肉がいいと思う?
(そうですね……猪のお肉がいいかと思います。)
 猪?
(はい、猪の肉は、臭みがあって少し苦手意識がある方が多いと思いますがしっかりと下ごしらえをすれば臭みは取れますよ。)
 へぇ、そうなのか。
(さらに、ここのお店の猪のお肉は良いものばかりでどれも柔らかくて美味しくなりますよ。)
 分かった、なら、猪の肉だな。
 俺は、4人分の猪の肉を買った後、ほかの食材も買い揃えた。
「よし、こんなもんでいいかな。」
「……もう……帰る?」
「ああ、そうだな。」
 早く帰らないとシェレールになんて言われるか分かったもんじゃないし。
「……それなら……あと一箇所だけ……行きたいところが……ある……行っても……いい?」
「まぁ、一箇所だけならいいぞ。それでどこへ向かうんだ?」
「……それは……行ってからの……お楽しみ……」
 クロムは、そう言うと俺の手を引っ張って目的の場所へと案内する。
 クロムに連れられて歩くこと10分少々。
「……着いた……」
「おおっ……」
 俺は、今見ている光景に目を見開く。
 その光景とは海へと沈んでいく夕日だ。キラキラと海が輝きオレンジ色の空と完璧に合っていてとても綺麗だ。
 ………シェレールにも見せたいな。
「むっ……今……シェレールのこと……考えてた……」
「あ、いや、まぁ、確かにそうだけど……」
「……今は……私と……一緒……だから……ほかの……人の……ことは……考えないで……」
「…………悪かったよ。でも、やっぱり俺が一番好きなのはシェレールなんだ。どうしてもシェレールのことが頭から離れられない。」
「……やっぱり……」
「やっぱり?」
「……竜斗に……ここまで……好かれるなんて……シェレールも……幸せな人……」
「そんな、俺なんかに好かれて何が嬉しいんだよ。」
「……嬉しいの……竜斗……みたいな……人……早々……いない……だから……シェレールが……羨ましい……」
「クロムには俺の過去の話、したことあるよな?」
「……うん……竜斗……私よりも……酷いこと……されてた……許せない……」
「ははっ、怒ってくれてありがと。でも、前の俺は今の俺みたいに優しくないし強くもない。そんな俺を変えてくれたのがみんなで主にシェレールだった。シェレールは、俺が苦しい時や悲しい時、辛い時なんかはいつもそばにいてくれて……本当にそれだけで嬉しかった。まだその時はこの気持ちが恋だってことは全く知らなかった。それから色々とあって自分の気持ちと素直に向き合えてシェレールに告白したんだ。今思えば一目惚れだったんだ。でも、それからどんどん好きになっていって……クロムには悪いが俺はクロムよりもシェレールの方が圧倒的に好きなんだ。だから、クロム、諦めてくれないか?」
 俺は、少し胸が苦しいのを我慢してクロムにそう言った。
「……竜斗……私……言ったよね?……竜斗の……一番に……ならなくてもいい……二番でも……いいって……」
「で、でも!」
 俺がクロムの言葉を否定しようとするとクロムは、急に抱きついてきてうるうるとした目で俺を見つめた。
「はぁ〜……ふぅ〜……」
 そして、クロムは、一呼吸置いて……
「……私は竜斗に少しでも気にかけて欲しいの!シェレールが好きでもいい!でも!私のことも好きになって欲しいの!私が好きになったのは竜斗なんだから!諦めるなんて絶対にしない!」
「っ!」
 クロムは、いつもの喋り方をせずに饒舌に喋り、俺に言いよってきた。
 そして、言い終わったクロムは涙をポロポロと零し始めた。
 俺の胸をポンポンと叩きながら「好き」とずっと言ってくる。
「…………クロム、俺が悪かった。……あんな言い方、ダメだったな。俺を好きでいてくれているのに諦めてくれなんて……」
 俺は、クロムの顔を少し上に向け俺と目が合うようにする。
 クロムの目は、真っ赤に腫れていて今でも涙を零している。俺は、その涙を優しく親指ですくい取る。
「……よしっ!もうこの話は止めだ!」
「……え?……でも……私……諦めて……ない……」
「ああ、だから、もう諦めろなんて言わない。クロムのしたいようにすればいいよ。」
「……私の……したいように……」
「ああ。」
「………………なら……」
 クロムは、俺の顔を手で掴み自分の顔を近づけた。そして、俺の唇にキスをした。
「………………私の……したいこと……」
 クロムは、そう言って俺に抱きついてきた。
 ………判断…ミスったかな。このままじゃ俺、シェレールに殺されるかも。
 俺の焦る気持ちとは裏腹にクロムは、気持ちよさそうに俺の胸で頭をスリスリとしていた。
(マスター、そろそろ帰られた方がよろしいかと。)
 ん?っ!
「あっ!も、もう、外真っ暗じゃないか!全然気づかなかった!」
「……それだけ……私に……夢中だった……ってこと?」
「え、あ、いや……」
 こんな空気でシェレールにビビってたなんて言えない。
「そ、それによりも早く帰ろう!そうだ!俺の転移のスキルでクロムの部屋の前まで行こう!」
「……もう少し……このまま……」
「い、いや、ほら、みんなお腹空かせてるしクロムも空いてるだろ?」
 俺がそういうとクロムが自分のお腹を触って確かにと言いたげな表情を作った。
「ほら、とりあえず帰るぞ!」
 俺は、立ち上がりクロムの手を握りクロムの部屋の前まで転移した。
 そして、急いで部屋に入り………
「…………た、ただいま……」
「ふふっ、おかえりなさい。」
 扉の前には腕を組んでシェレールが待っていた。その後ろには少しビクビクとしたレーネもいた。
「…………………ごめんなさい。」

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