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クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

256話 距離感

「よし、上手くいったな!」
「……それじゃ……竜斗……でー……買い物……行こ……」
「あれ?中の様子見ないの?」
「……大丈夫……あの二人なら……きっと……上手くいく……だから……早く……行こ……」
 クロムは、俺を急かすように背中を押す。クロムがここまでシェレールとレーネを信頼していたなんて……そうだな、心配なんていらないよな。
「よし、それじゃ、買い物に行くか。そういえばクロムと一緒に買い物とかしたこと無かったな。」
「……うん……なかった……楽しみ……」
「ははっ、楽しみって言っても俺は、普通の買い物しか出来ないぞ?」
「……竜斗と……一緒……だから……楽しみ……なの……」
「っ!……す、すごいな…クロムは。」
「……私が……すごい?」
「だって、そんなこと普通に言えるなんて俺には出来ないからな。」
「……好きな人に……好きって言うのは……当たり前……好きな人と……出掛けるのが……楽しみ……っていうのも……当たり前……」
「ま、まぁな。」
 俺は、クロムに関心を抱きつつ二人で魔王城を出て市場へと向かった。
「…………ふふ……竜斗と……デート……」

 シェレールside
「………」
「………」
 い、居心地が悪いです……
 レーネちゃんが私に怖がってしまい私が話しかけても一返事で終わってしまいます。
 このままじゃ、レーネちゃんはずっと私に怖がったままです。
 旦那様なら上手く話せるように出来るのに……私には出来ません。私には過去のレーネちゃんの境遇が分かりません。あまりにも無知すぎてどう話していいかも分かりません。
 ですが、ここで諦めるわけにはいきません!
「………レーネちゃん……」
「っ!」
 私が声を掛けるとレーネちゃんは、ビクッと肩を震わせました。
 旦那様もクロムもいないこの二人っきりの状況じゃ逃げ場がないのでしょう。
 でも、ここで遠慮なんてできません。
「……レーネちゃん……私の事、怖いですか?」
「………」
 私がそう尋ねるとレーネちゃんは、首をコクリと縦に動かして肯定します。
「……怖がらせちゃってごめんね。でも、旦那様もクロムもレーネちゃんにはもっと外の世界を知って欲しいって思ってます。私だってレーネちゃんには外の世界を見て欲しいって思ってるんです。」
「………」
「レーネちゃんは、外の世界を見たくありませんか?」
「………見たい……」
 レーネちゃんは、ぽつりとそう呟きました。
「なら、見ましょう!外の世界は、あなたが思っているより明るくて素敵な場所です!でも、その中には少し変な人や怖い人もいますが……それでもきっとレーネちゃんが幸せになれる道があります!それを探しましょう!」
 私は、少し前のめりになって熱弁してしまいました。レーネちゃんは、そんな私に少し驚いて後ずさってしまいました。
 私は、一旦戻りちゃんと座り込んでもう一度落ち着いて話します。
「レーネちゃんが外の世界に行けるように私は、旦那様に無理を言ってレーネちゃんと合わせていただきました。旦那様やクロムのように慣れた人とばかり暮らしていたらいつまで経っても外へは行けないでしょう。だから、私に手伝わせていただけませんか?レーネちゃんが外に行けるように。」
 私がそう言うとレーネちゃんの口が少し開き返事をしてきました。
「………あたしは、竜斗に約束したの。あたしが強くなって人を怖がらずに外で歩けるようになったらその時は一緒に旅に連れて行って欲しいって。」
「そんな約束をしていたんですか。旦那様は、やっぱり優しいですね。」
 心底感心しますよ。でも、そんなに優しいからほかの女が旦那様に言い寄ってくるんです。今度、ちょっと注意が必要かもしれませんね。
「あたし、竜斗と一緒に旅をしたい。そのためにはシェレールとちゃんと話さないといけないのに……やっぱり怖くて……」
 レーネちゃんは、目の端に涙を溜めています。そして、それが溜まって目から零れて頬を伝って地面に落ちてしまいました。
「怖い……人が怖い……」
 涙を零しながら怖いと呟く小さな女の子。私は、居てもたってもいられずにレーネちゃんの側まで近づいて頭を優しく抱き締めました。
 レーネちゃんは、一瞬肩を震わせましたが無理に離れようとはしませんでした。
「……私にはレーネちゃんの過去がどんなものだったかは話しでしか聞いたことありません。体験なんてしたことありません。ですが、旦那様やクロムは、それに似た経験をしたことがあります。だから、レーネちゃんの気持ちが分かって話せるようになったのでしょう。」
 だったら私は、レーネちゃんとは話すことが出来ないのでしょうか?いいえ、そんなはずがありません。
「………ねぇ、シェレールは、人が怖いとか思わないの?」
 私がどう話せばいいのか考えているとレーネちゃんから話を振ってきました。
「………思いますよ。私って結構臆病者なんですよ。」
「なら、どうやってそんな怖い人と関われるの?」
「………そうですね……私の場合は、旦那様に結構頼っちゃいますね。」
「え?それって……竜斗のこと……よね?」
「はい。旦那様は、私が怖いと思ったらすぐに助けてくれるんですよ。こんなに甘えてばかりではいけないと思っているんですが……でも、この頃旦那様に甘えることも悪いことじゃないって思い始めたんです。私が旦那様に甘える分、旦那様も私に甘えてくれますから。甘えた旦那様、とても可愛いんですよ〜……えへへ……」
 おっといけません。自分の世界に入ってしまうところでした。
「……………シェレールってすごい竜斗のことが好きなのね。」
「ええ、大好きですよ。」
「………あたしも竜斗のことが……その……好き……なんだけどね……」
「っ!」
「あっ、でも勘違いしないでね。あたしは、クロムみたいにシェレールから奪ってやろうとか思ってないから。」
 私は、レーネの言葉を聞いて少しホッとしましたがやっぱり旦那様にはもう少し注意が必要だということに気づきました。
「………竜斗ってすごいよね。」
「……はい。」
「こんなあたしに声を掛けてくれて構ってくれてそして、今じゃあたしを助けてくれようとしてるの。本当にすごい。」
「ふふっ、当然です。旦那様は、困っている人がいたら助けるんです。自分よりも相手を思ってしまうんですよ、旦那様は。」
「………いいわね、そんな人が恋人で。」
「………はい、本当に幸せです。旦那様が私に告白してきた日のことは忘れられません。」
「幸せになりなさいよね?絶対にクロムなんかに取られるんじゃないわよ。」
「ふふっ、分かってますよ。」
「あ〜あ、なんだか色々と話したり泣いたりしちゃった。………シェレール、まだ少し不慣れなところはあると思うけど……これからよろしくね?」
「ええ、レーネちゃん、絶対に外の世界を見ましょうね!」
「うん!」
 まだ少し、旦那様やクロムみたいに距離は近くありません。ですが、今日ですごい距離が縮まりました。
「………そういえば竜斗とクロム、今二人っきりで買い物ね。……それってもしかして……デート?」
「っ!」
 …………旦那様、まだ帰ってこないのでしょうか………

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