クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

238話 弁当

 俺たちは、近くの公園で昼食をとることにした。
 今日の昼食は、シェレールがわざわざ弁当を作ってくれたのだ。
「旦那様の好きなものを考えて作ったんですが……どうでしょうか?」
 シェレールは、弁当の中身を見せて心配そうに俺に尋ねる。
 確かに弁当の中身は俺の好きなものばかり入っている。いや、まぁ、シェレールの手料理ならなんでも好きなのだが。
「どれも美味しそうだよ。」
「本当ですか!?良かったです!」
「だけど、一つ言いたいことがある。」
「え?」
 俺は、シェレールの方を向き口を開く。
「シェレール、これ全部俺の好きなものだろ?」
「は、はい……」
 シェレールは、何を言われるのか分からないのかすごい不安そうな顔をしている。
 俺は、そんなシェレールのおでこに優しくデコピンしてやった。
「痛っ!……え?……え?」
 シェレールは、なぜデコピンされたのか分かっておらずオドオドしていた。
「ったく、俺の好きなものを入れてくれるのはいいけど……自分の好きなものも入れろよ。シェレールは、俺のことを考えすぎだ。自分のこともちゃんと考えなさい。そのお仕置きとしてのデコピンだ。」
「そ、そういうことですか……そうですね、これからは気をつけます。」
「ああ、そうしてくれ。……って、そう言えばシェレールの好きなものってなんなんだ?」
「そうですね………強いているなら旦那様の手料理ですね!時々旦那様が食事を作ってくれたことがあるじゃないですか。それが本当に美味しくて、今でも忘れません!」
「俺の手料理?……なら、今度からは一緒に弁当を作るか?」
「いいですね!それだとデートだけじゃなくその前の準備もすごい楽しめます!そうしましょう!」
 シェレールは、目をキラキラとさせ俺に言い寄ってきた。
「わかった、分かった。そろそろ弁当食おうぜ。」
「そ、そうですね。」
 シェレールは、アイテムボックスから箸を取り出した。1セットだけ。
 そして、当然のようにおかずを持ち上げ俺の方に向けてきた。
「はい、旦那様、あ〜ん。」
 ここは、昼間の公園で子どもやお年寄りが多く居る。その中でシェレールは、平然と俺にあ〜んをしてくる。シェレールもだいぶ度胸がついたものだな。
(いえ、マスター、違いますよ。)
 ん?ナビ、どういうことだ?
(シェレールさんは、度胸がついたのではなく、ただ、マスターしか見えていないようですね。周りの人なんて見えていないようです。)
 ………あ、そういうことね。
「旦那様、どうしたのですか?もしかして………食べたくないんですか?」
「い、いや!違うぞ!それじゃ、いただきます!あ〜ん!」
 俺は、一口でシェレールの差し出したおかずを食べる。
「っ!美味い!」
「えへへ、良かったです。それじゃ、次行きますね。」
 それからシェレールは、自分は食べることなく俺にどんどん料理を差し出す。
「シェレールは、食べないのか?」
「あ、そうでしたね。つい忘れてました。」
「だから、自分のことも考えろって言っただろ?」
「ごめんなさい………なら、旦那様、私のしたいこと、してもいいですか?」
「ああ、自分の思うようにやっみて。」
 俺がそう言うとシェレールは、また俺に料理を差し出した。
「ちょ!またそれかよ!」
「い、いいから食べてください!」
 シェレールは、今さっきまでの楽しそうな表情とは違い、今回は、顔を真っ赤にして真剣な表情だった。
「ったく、分かったよ。」
 俺は、その料理をまた一口で食べる。
 そして、それを噛んでいると急にシェレールが前にずいっと近寄ってきた。
「………旦那様、そのままでお願いしますね……」
 そして、シェレールはそのまま俺にキスをしてまだ噛みかけの料理を俺の口から舌で奪っていく。
 そして、完全に奪い取ると唇を離しシェレールは、もぐもぐと口を動かしごっくんと喉を鳴らして飲み込んだ。
「えへへ、私のしたいこと……してみました。」
 シェレールは、恥ずかしそうに頬に手を当てモジモジとしている。
 そのすごい大胆な方法を取ったシェレールに俺は、少しは脳の動きが停止した。
 そして、数十秒後、ようやく脳が動きだし喋ることが出来た。
「シェ、シェレールって結構大胆なんだな……」
「だ、旦那様が自分のやりたいことをやれって言ったんですよね!?」
「い、いや、まぁ、言ったけど……」
 まさか、あんなことをされるとは思っていなかった。
「もう……しちゃダメですか?……」
「っ!」
 シェレール、その上目遣いで服の裾を引っ張りながら言うのダメ!絶対にダメとか言えない!ってかそれ、俺以外の男に見せたら絶対にダメだからな!
 と、言いたいところだったが上手く言葉が出ない。
 そして、次に取った俺の行動は、シェレールを思いっきり抱きしめていた。
「ふぇ?だ、旦那様!?」
「あっ、ご、ごめん!」
 俺は、何故そんな行動を取ったのか分からずとにかく離れようと思った。
 俺が手を緩めると逆にシェレールの方の手に力が入った。
「離れないでください!せっかく旦那様から抱きしめてくれたんですから。」
「ごめん。」
「もうっ!謝らないでください!私たち、恋人なんですからこれくらいしても別に変じゃありません!」
「そ、そうだな……」
「それで……旦那様。あの食べ方……しちゃダメですか?」
「…………ダメ………じゃない……」
「ホッ、良かったです。私、旦那様との口移しが少し癖になってしまったようです……」
「実は俺もなんだ。結構前からもう一回してみたいと思ってたんだ。」
「ふふっ、良かったです。旦那様と考えてることが一緒で。………食事と続きをしたいのですが………この抱きついたままでもいいですか?」
「食べずらくないか?」
「………少し、食べずらいかもしれません……でも、こうして居たいです……」
「……わかったよ。それじゃ、今度は俺があ〜んしてやるよ。そっちの方が食べやすくなるからな。」
「………お願いします……」
 それから俺とシェレールは、弁当のおかずを食べていった。時々、シェレールの要望に応えて口移しも加えて。
 その間、俺も公園にいた人なんてまるで気にならなかった。

コメント

  • ネコネコ(ФωФ)

    このとき公園にいた人達ってどうしたんだろこの光景見て

    0
  • ノベルバユーザー264858

    甘々過ぎる笑シェレール可愛い過ぎるやろ

    2
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