クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

198話 逃げゆく魔物

 昼食後、調査を再開してまだ1時間も経っていないというのに魔物ともう10回ほど戦った。
 ジゼルさんたちは、一度目の戦いよりはだいぶ体力や魔力の消費を減らして戦っていたがそれでもすごいと思えるくらいには強かった。
「……竜斗……ここからは……道が……入り組んで……いるから……気を付けて……」
「ああ、分かった。」
 空は、太陽が雲によって隠されてしまい少し周りが暗くなっていた。
「ん……」
 何者かが俺の服を後ろから引っ張った。
「何だ、レーネか。」
 レーネは、少し怯えたような表情で俺の服を掴んでいた。しかもその腕は、少し震えていた。
「なぁ、レーネ、ちょっと手を繋いでくれないか?」
「ふぇ!?な、なんで!?」
「ここから道が入り組んでるって話だろ?俺、結構方向音痴だから迷いやすいんだよな。だから、はぐれないように手を繋いで欲しいんだ。」
「そ、そうなのね、ま、全く仕方ないんだから。」
 レーネは、そう言って小さな手を俺の手に重ねてくれた。
 するとレーネの表情と少し安心したような表情になった。
「……なら……私も……繋いで……あげる……」
 クロムは、そう言って空いている方の手を握ってくれる。
 俺の両手に小さくて暖かい手が……それにぷにぷにしててすごい気持ちいい。
「………はぁ、これをシェレールが見たらどう思うんだろうか。」
 セレスさんは、深いため息をついてそう言った。
 え!?な、なにか思うの?子どもの面倒見のいい人と思われないの!?
「まぁまぁ、今ここにシェレール殿はいないのだから気にする必要は無いだろう。それに娘とレーネも今の状態がすごい気に入っているらしいからな。」
「私がバラしてもいいんだけどな。なんか面白そうだし。」
「こら、さすがにそれはやめてやれ。それよりもそろそろいくぞ。なぜ魔物がこんなに多くこっちの方に降りてきているのか調べなくてはいけないのだから。」
 俺たちが今日倒した魔物の数は、合計で100匹を軽く超えている。
 さすがに俺でも分かる。この数は異常だ。
 クロムの話ではまだここら辺では魔物とは全く戦わないらしい。戦っても1、2回程度と言っていた。
 魔物の数は、山の頂上に近づくにつれて多くなってくると言っていたのだが……やはりおかしいな。
 俺たちは、冷たい風を受けつつ山に登って行った。
 そして、山の中盤ら辺に来た時ありえないことが起こった。
 魔物が俺たちを無視して逃げたのだ・・・・・・・・・・・・・・・・
 俺たちの2、3メートル横に離れたところをものすごい勢いで去っていったのだ。
「………クロム、こんなことって起こるのか?」
「……ううん……こんなこと……初めて……魔物が……人を……無視して……逃げるなんて……」
 みんな、そんなことがあるはずがないと言った表情だった。
 これは明らかに何かあるな。
「ジゼルさん、早く行きましょう。」
「ああ、そうだな。場合によっては一旦街に戻って対策を考える必要すらあるかもしれないからな。」
 もし、あの逃げていった魔物が魔族の街まで行ったらどうなるのだろうか。
 まだあの数なら何とかなるかもしれないがもっと多くなってしまったら………
 早く原因を調べて何とかしないと!
 俺たちは、今さっきまでの楽しい雰囲気とは変わって少し表情に焦りを感じ始めていた。
 その後、鉢合わせした魔物は、俺たちと戦う体制をとったが少し離れたところでは戦おうとはせず逃げてばかりだった。
 さすがにこれ以上逃がすのは大変なことになるので逃げた魔物も後ろから魔法を当て倒していった。
「逃げていく魔物の対処がめんどくさいな。」
「確かにね、あちこちから逃げていくから魔法を当てるのに精度がさらに必要になるものね。」
「まぁ、その中でも平然と魔物に魔法を当ててるやつがいるんだがな。」
「ええ、まったくね。竜斗だけは、敵に回したくないものね。」
 何やらジゼルさんとセレスさんから視線を感じる。
 俺、何か変なことでもしているのだろうか?
「ねぇ、竜斗、どうしたらそんなに上手く魔法が撃てるの?」
 レーネが手を繋いでないもう一方の手を見て俺に問いかけた。
「う〜ん……練習したからかな。」
「あたしも結構練習したのよ?これでも普通に大人以上に強いと思ってたんだけどな。」
「確かにレーネは、すごい強いよ。それにまだレーネは、子どもなんだからもっと練習すれば俺より上手くなるって。もちろんクロムもな。」
「………な、なら、竜斗、あたしに魔法の練習してくれない?」
「……私も……して欲しい……」
「分かった、なら、この調査が終わったあとにやるか。まずは、この調査に集中しような。」
「ええ、分かってるわ!」
「……うん……」
 二人とも嬉しそうに頷いた。
「…………ほんと、シェレールに言いつけちゃいましょうか?」
 セレスさんがなぜかジト目でこっちを見てそんなことを言っていたがなぜシェレールに言われないといけないのだろうか?
 俺、何も悪いことしてないよね?

コメント

  • ノベルバユーザー264858

    主人公よそろそろ自覚しよう?笑そろそろシェレールに怒られるぞ笑

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