クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

196話 女性陣の実力

「……竜斗……ここら辺……から……強い……魔物が……出てくる……から……気を付けて……」
「ああ、分かった。注意しておくよ。」
 俺は、クロムからそう注意を受け、奇襲が来ないように周りに意識を張り巡らす。
 ジゼルさんたちの言葉だとギルたちより強いんだよな。
「「「「「っ!」」」」」
 みんな、前から魔物が来たことに気付き戦闘態勢に入る。
「あれは……オーク?の群れなのかな。」
「ええ、そうみたいね。」
「……ママ……私が……行っても……いい?」
「あらクロム、今日はやけにやる気みたいね。まっ、あれくらいなら大丈夫でしょ。」
「ねぇ、クロム、あたしも一緒に戦っていい?」
「……むっ……私だけで……十分……」
「いいじゃない、二人でやった方が早くと終わるでしょ?」
「……分かった……なら……今だけ……」
「ありがと。」
 二人ともやけにやる気があるな。
 オークは、全部で6匹。
「あの、ジゼルさん、オークぐらいなら俺の仲間でも十分倒せますよ?」
「ん?ああ、そうだったな、竜斗殿はここのことを知らなかったな。」
「ん?どういうことです?」
「ここにいる魔物は、全て普通の魔物よりも数十倍ほど強くなっているのだ。まぁ、いわゆる身体強化を施しているのだ。」
「す、数十倍ですか……なるほど、確かにそれなら少しきついかもしれませんね。」
「だろ?おっと、ほら、クロムたちの戦いが始まるぞ。ちゃんと見てやってくれ。」
「あ、はい。」
 クロムとレーネは、少しずつオークの群れに向かって進む。
 二人とも武器を持っていないから魔法で戦うんだろうな。
 オークの方は、色々な武器を持っている。近接戦は、不利だろうな。
 二人とも、それがちゃんと分かってるのかオークたちとは少し離れた位置で手を前に出し無詠唱で魔法を発動した。
 こう見るとやっぱり現魔王であるクロムの方が少し魔法の威力は上だな。まぁ、それでもレーネも十分に強い方だと思うけど。シェレールやユイ、白井は、魔法が得意と言っていたがクロムやレーネの方が威力が段違いだ。
 魔法が放たれたあと、オークがいた方を見るとそこにはキレイさっぱり何も無かった。木っ端微塵に消し飛ばされていた。
 二人とも、満足気な表情をしてこちらに帰ってきた。
「……竜斗……すごかった?」
「ああ、二人ともすごい威力の魔法だったぞ。本当にすごかった。」
 俺は、そう言って二人の頭を撫でてあげた。
「……えへへ……」
「にゃ〜……」
 相変わらずレーネと来たら、めちゃくちゃ可愛い声を出しやがって。
「二人とも、一番に竜斗の所に行って、私、少し悲しくなっちゃうわ。」
 そんな所にセレスさんが悲しいと言いながらこちらの話に割り込んできた。
 ちなみにジゼルさんは、レーネを怖がらせてしまうからという理由で近づけない状態ですごいしょんぼりとした表情でこっちを見ていた。
「今度、魔物が出てきたら私がやっつけて竜斗になでなでしてもらおっと。」
「何考えてんですか。セレスさんは、ジゼルさんにしてもらってくださいよ。」
「ん〜、ジゼルのなでなでって結構痛いのよね〜。」
 だからって俺に頼むな。
「……ママ……恥ずかしいから……止めて……」
 クロムが手で顔を覆いながらそう言った。
 こんなことをする人が母親だと俺だって恥ずかしい。
「酷いな、クロムは。あっ、それと二人に忠告ね。クロムには何度も言ってると思うけど、魔物は消し炭にしちゃダメよ。食料に困った時は、その魔物を食べるんだからね。」
「……あ……そうだった……」
「そ、それなら先に言って欲しかった。クロムがやる気だったからあたしも負けられないな〜と思ってついやっちゃった。」
「二人とも、次からは気を付けたらいいよ。俺も注意して置かないとな。」
「……ん……もう大丈夫……」
「あたしも次からは大丈夫よ。」
「それじゃ、そろそろ行きましょ。こんな所にずっと居ても仕方ないし。」
 ということで俺たちは、さらに山の奥に向かって歩き出した。
 だが、数十メートル歩いたところでまた、魔物が出てきた。
「今度は、ブラックウルフの群れ?」
「ここは、私が行くわね。」
 セレスさんは、そう言って楽しそうな表情で駆け出してしまった。
「だ、大丈夫なんですか、セレスさん。」
「ま、まぁ、性格は、あんなんなのだが魔法の腕は一級品だぞ。」
「そうなんですね。」
 あ、あれ?
「セレスさん、めちゃくちゃブラックウルフに近づいますけどあれじゃ魔法が撃てないんじゃないんですか?」
「まぁ、見ててやってくれ。」
 俺は、ジゼルさんの言う通りセレスさんを見守る。
 セレスさんは、今だブラックウルフに向かって走り続けている。
 そして、ブラックウルフとの間に1メートルも満たない距離感になった瞬間、ブラックウルフたちの首が飛ばされていった。
 恐らく風魔法でかまいたちのようなものを作り、それを至近距離で当て、首を飛ばしているのだろう。
 ここで驚くべきところは二つ。まずは、武器も持たないでブラックウルフに近づいていくその精神の強さ、それと魔法を発動するスピード。
 さ、さすが、元魔王の妃と言ったところなのだろうな。
 まぁ、でも、精神の強さは日頃の生活では結構裏目に出ているんだがな。
「終わったよ〜。」
 セレスさんは、返り血を全く浴びることなく綺麗な姿で帰ってきた。
「セレスさん、すごい強いですね。」
「……ママ……すごい……」
「この人にこんなすごいことが出来たなんて……」
 俺、クロム、レーネは、セレスさんに称賛の声をかける。
「私は、すごいんだからね!結構見直したでしょ?」
「ま、まぁ、多少は……」
 セレスさんは、俺たちに褒められてすごい満足している。
「ブラックウルフは、合計で10匹。今日の昼と夜は、これで何とか持ちそうだな。」
 ジゼルさんは、いつの間にかセレスさんの倒したブラックウルフを魔法で持ち上げてそう言った。
 どうやら今の間にもう血抜きも終わらせてくれたみたいだ。
「それじゃ、一旦昼ご飯にしましょうか。」
 セレスさんは、そう言って今さっき見せてくれたもう1つの方の装置を地面に置いた。
 そして、その装置に付いていたボタンを押すと目の前に大人の人、一人が入りそうな大きさのゲートが現れた。
 俺たちは、そのゲートを潜り二頭の馬が待機している所へと戻ってきて昼食をとった。今回、昼食を作ってくれたのはジゼルさんだった。

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