クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

177話 戻ってきたパーティ会場

 俺たちがパーティ会場に戻るとなんだがすごい騒がしくなっていた。
「なんかやけに盛り上がってるな。」
「そうですね。あっ、竜斗、あそこに人集りが出来てますよ。」
「本当だ。あっ、ユイたちもあそこにいるみたいだ。行ってみよう。」
 俺たちは、人集りが出来ているところへと向かう。
「ユイ、何が起きてんだ?」
「ん?あっ、竜斗?戻って来たのね。」
「悪いな、出ていってしまって。」
「別にいいのよ。………その様子じゃちゃんと仲直りしたみたいね。」
「はい、もちろんしましたよ。」
「はぁ〜……あんたたちが仲直りしなかったら私が竜斗を貰おうと思ってたんだけどな。」
「なっ!?だ、ダメですよ!?竜斗は、永遠に私のものです!誰にも渡しません!」
「はいはい、分かってるわよ。まっ、でも、本当に仲直りしなかったら私が貰うつもりだったけどね。」
「絶対に渡しません!」
 シェレールは、俺の胸にギュッと抱きつきキスをしてきた。
「あんたたちがイチャイチャするのを見るのも慣れちゃったわ。今は、ただウザイとしか感じない。」
 ユイは、そう言ってため息を吐く。
 シェレールは、一向に唇を離してくれない。そろそろ苦しくなってきた。
 俺は、やばいと感じ無理やりシェレールの体を引き離す。
「はぁはぁ………さ、さすがにそんなに長時間キスは出来ねぇ……」
「す、すいません……つい……」
 シェレールは、ついとか言いつつ唇に指を当てまだしたそうな顔をしている。
「な、なぁ、ユイ、今ここで何やってるんだ?」
 俺は、シェレールからじっと見られるのを無視しつつユイにこの人集りの理由を聞いた。
「ん?ああ、何だか、クロムのお母さんが来たらしくてそれでなんかすごい騒ぎになってるわよ。」
「クロムのお母さんって……セレスさん!?」
 セレスさんって確か、ジゼルさんからこういうところには来させないって言ってたはずなんだが……
「ちょっと俺、見てくる。」
「あっ、竜斗、私も!」
「私も……行く……ママが……迷惑……かけてたら……止めないと………」
「なら、3人で行くぞ。ユイは、待っていてくれ。」
「はいは〜い。」
 俺たちは、人集りの中を進み人集りの原因となっているセレスさんの所へ行く。
「あっ!いた!」
 俺たちは、何とかセレスさんを見つけることが出来た。
「あら〜、竜斗とシェレール、それにクロムもいるじゃない!どうしたの?」
「ど、どうしたのって……それはこっちのセリフですよ!セレスさんってジゼルさんから出禁を食らってるんじゃ……」
「ふふっ、私も来たくなっちゃった!」
「ママ……他の人たちに……迷惑……かけちゃ……ダメ……だよ?」
「ふふっ、分かってるわよ。少し食事を味わっていただけよ。」
「なら……いい……」
「それにしてもここまでクロムが懐いているなんて……竜斗、本当にクロムと嫁ぐ気ない?」
「ぶっ!な、ないですよ!」
 セレスさん、本当にやめてください。今さっきまであんな雰囲気だったので。
「あら、残念。」
「………」
 シェレール、無言で俺の腕をギュッと抱きしめる。
「あらあら、今さっきよりも随分と距離が縮まったんじゃない?」
「そ、そうですか?まぁ、そうかもしれませんね。」
「若いって本当にいいわねぇ。」
「そんな、セレスさんも全然若いですよ。」
「ふふっ、お世辞でも嬉しいわぁ。」
 全く、お世辞ではないのだが。
「むっ!」
「いっ!?」
 あれ?シェレールって人の心を読む力持ってたかな?
「ほら、3人とも、そんなとこいないでこっちで食べましょ。どれも美味しいわよ。」
「あっ、いえ、俺たちは、別に……クロムは食べてきていいぞ。」
「そ、そう?……なら……行く……」
 クロムは、セレスさんの隣へ座り食事を始めた。
「二人とも、遠慮しなくていいのよ?」
「い、いえ、遠慮なんてしてませんよ。」
 まぁ、多少は腹は減ってるがここは我慢だ。
「ほら!我慢してるんじゃない!いいから、食べなさい!」
「あっ!そうだった!セレスさんは、人の心を読めるんだった!」
「ジトー」
 シェレールさん、そんな目で俺を見ないでください。
「………はぁ〜、竜斗、ご飯食べましょ。とっても美味しそうですよ。」
「っ!い、いいのか?」
「そこまで我慢してもらわなくてもいいですよ。それに………お腹いっぱいになって私を満足させて欲しいですからね。」
「っ!……ま、任せてくれ。頑張るから。」
 俺は、シェレールから許可をもらいセレスさんの向かいの席に座る。
 シェレールも俺の隣に座る。
「ふふっ、どんどん食べてちょうだい!」
「あ、ありがとうございます。」
「はい、竜斗。取り分けておきましたよ。」
「は、早いな、でも、ありがとう。それじゃ頂くよ。」
 俺は、シェレールから皿を受け取ろうとしたがシェレールは、俺に皿を渡してはくれなかった。
「ふふっ、私が食べさせてあげます。」
 シェレールは、そう言って箸で俺の口元におかずを持ってくる。
「はい、あ〜ん。」
 シェレール、こんなに人が見ているのに恥ずかしくないのだろうか。
 でも、シェレールは全く気にしていないようなので俺がここで気にして恥ずかしくなってはいけない。
 俺は、恥ずかしさを堪えて口元に寄せられたおかずを一口で食べる。
「もぐもぐ……んくっ!うん、美味い。」
「それじゃ次は……」
「ちょ、シェレールは食べなくていいのか?」
「はい、私はあまりお腹がすいていないので。それよりもはい、次です。」
 シェレールは、その後もずっと俺におかずを食べさせてきた。
 途中から周りの人たちがなんだあのバカップルは?っていう目で俺たちを見てきた。
 セレスさんもニヤニヤしながらこっちをずっと見てきている。
「はい、竜斗、あ〜ん。」
「ちょ、シェレール、待って。さ、さすがにもう食べられない。」
「そ、そうですか?なら、仕方なありませんね……」
「うっ!」
 今さっきから俺が止めるとシェレールは、すごいシュンとしてしまう。
「ふふっ、さすがに竜斗が可哀想よね。ほら、竜斗、これでも飲んでみたら?」
「え?あ、ありがとうございます!」
 セレスさんから助け舟が来たみたいで何か飲み物が入ったグラスを俺に寄越してきた。
 そこで俺は一つだけ大きなミスを見逃していた。
 俺は、慌ててそのグラスに入った飲み物を飲み干した。
 そして俺の意識はどんどん遠のいていくのだった。

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