クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

166話 魔族

 俺たちは、透明化のスキルを解いて魔王城の入り口に来た。
 魔王城の入り口は、演説をしてきたところとは反対側だったのでこちらに人はほとんどいない。いるとしたら警備をしている二人の魔族だけだ。
「っ!そこにいるやつ、出てこい!いるのは分かってるぞ!」
 そのうちの一人が腰に収めていた剣を抜き俺たちの方を向けてそう怒鳴った。
 どうやら俺たちのことがバレたらしい。
「来ないのならこっちから行くぞ!」
「ああ!ちょっと待った待った!別に怪しいもんじゃないよ!」
 俺は、こっちに来られそうだったので思わず出てしまった。
 まぁ、どうせ行くつもりだったし良かったか。
「………き……き、貴様、まさか……人間?」
「あはは………はい……」
 警備をしていた二人、あまりの驚きに声を失った。
「ほ、本当に…貴様は人間なのか?魔族にしかない翼や角とかは無いのか?」
「ああ、ないぞ。何ならチェックしてくれても構わない。だが、シェレールには触れんなよ?」
「………では、確かめてもいいか?」
「ああ。」
 俺は、上の服を脱ぎ何も無いことを伝える。
「ほ、本当に何も無い………なら、本当に………人間?」
「ああ、そうだと言っている。」
「………なら、一度魔王様に会ってもらえるだろうか?人間に一番会いたがっていたのは魔王様だからな。付いてきてくれ。」
 俺たちは、一人の警備の人の後ろに付いていく。
 その際俺は、シェレールに近づき少し聞きたいことがあったので小声聞いてみた。
「シェレール、あの魔族の心情を心透視のスキルで見てもらえるか?」
「もう見ましたよ。私たちに敵意は向いてません。私たちが人間か少し疑っているようですが………」
「まぁ、それは仕方ないよ。急に人間だって言われても困惑するだけだ。まずはちゃんと話し合って分かってもらおう。」
「ふふっ、そうですね。」
 俺たちがそう話していると魔族が一つの扉の前で止まった。
「ちょっと待ってくれ。少し、事情を説明してくる。」
「分かった、逃げないから安心してくれ。」
 俺のその返事を聞き魔族は、部屋に入っていった。
 そして入ってから10数分。
 今さっきの魔族が部屋から出てきて俺たちに入ってくれと言った。
 その部屋は、ガイシス王国の時に召喚された時にあった大きな部屋と同じだった。
「お主たちが人間族なのだな?」
 俺たちの前に今さっきとは違う髭の生えた少し怖そうなオッサンが出てきた。
「はい、ちゃんと人間ですよ。」
「………これほどのオーラを宿しておくものが本当に人間なのだろうか?こんなオーラ見たことがないぞ。」
「オーラ?ですか?」
 ナビ、オーラって何だ?
(魔族は、生き物全ての実際に見えない力量を見ることが出来るのです。それを魔族ではオーラと呼んでいるらしいです。)
 へぇ、魔族ってそんなことも出来るんだな。
「お主たちの名前を伺ってもいいか?儂の名前は、ジゼルと言う。」
「俺の名前は、リュウです。」
「私は、シェルです。」
 俺とシェレールが名前を言うとジゼルさんが俺たちに少し待ってくれと言って奥の部屋に入っていった。
 それから少し待ってジゼルさんが出てきた。
「リュウ殿、シェル殿、今から魔王様に会ってもらえるだろうか?」
「はい、いいですよ。と言うより俺たちは、そのためにここに案内されたので。」
「助かる。それじゃ、魔王様!出てきてください!」
 ジゼルさんの声が部屋いっぱいに広がる。だが
 ……………
「あれ?出てきませんよ?」
「………はぁ〜、少し待ってもらえるだろうか?」
「はぁ、別に構いませんが……」
 俺がそう言うとジゼルさんは、またあの奥の部屋に入っていった。
 ガタン、ゴトン!
「っ!?………あ、あの、すごい音してますよ。」
 俺は、今さっきの案内してくれた魔族の人にそう言った。
「いつもの事なんだ、気にしないでくれ。」
「い、いつもの事?」
 なんだろう?
 部屋で騒ぐのがいつもの事って魔王様ってもしかしてやんちゃだったりするのだろうか?
「はぁはぁ………済まない、待たせたな。」
 部屋からボロボロになったジゼルさんが姿を現した。
「だ、大丈夫ですか!?すっごいボロボロですけど?」
「あ、ああ、いつもの事だから安心してくれ。」
 また、いつもの事かよ!
 なんだ?そんなに凶暴なのか、魔王様って?
「それでは、今度こそ………魔王様っ!出てきてください!」
 またジゼルさんの声が部屋いっぱいに広がる。
 そしてゆっくりと扉が開き………

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