クラス転移で俺だけずば抜けチート!?コミカライズ!

白狼

130話 誘い

「竜斗、ここにいたんですね。」
 ロイアさんが家の中に入ったあと入れ違いでシェレールが俺のところへやって来た。
「どうかしたのか?シェレール?」
「いえ、何もありませんよ。でも、その、竜斗の姿が見えなかったので探していました。」
「そうなのか。ちょっとロイアさんと話をしていてな。そろそろ戻るよ。」
「あっ、ちょ、ちょっと待ってください。」
「ん?」
「せっかく二人きりなのでもう少し……ダメ……ですか?」
 ぐはっ!なんだよ、その上目遣い!そんな目されたらなんでも許してしまいそうだ。
「じゃ、じゃあもう少しだけ一緒にいるか。」
「は、はい!」
 俺たちは、それから手を繋ぎ一緒にいた。
「そういえば竜斗、ロイアさんと何を話していたんですか?」
「ま、まぁ、色々と。」
「むぅー、すぐに紛らわすんですから。」
「ロイアさんがこのパーティを開いてくれてありがとうって言ってきたんだ。」
 嘘は言ってない。
「じー、本当にそれだけですか?」
「ほ、本当だよ。」
「嘘ですね。」
 何故バレた!?あっそうか。
「シェレールには心透視ってスキルがあったな。それでバレたのか。」
「え?違いますよ。スキルなんて使ってません。」
「え!?じゃあなんで嘘ってバレたんだ!?」
「ふふっ、恋人だからです。と言うよりもやっぱり嘘だったんじゃないですか!」
「し、しまった!シェレール上手いな誘導尋問。」
 まさか恋人になるとそんなことまで分かるのか。
「誘導尋問なんてしてませんよ!で、他には何を話していたんですか?」
「いや、まぁ、それは……」
「じー」
「うっ!えっと……」
「じじー」
 シェレールの目がどんどん鋭くなっていく。これじゃ絶対俺が本当のことを話さないと解放してもらえない。
 仕方ない……
「その……えっと……セックス……について……」
「………え?」
「だからセックスだよ!そういうことについて色々と教えてもらってたんだ!」
「〜っ!にゃ、にゃんでそんなこと!?」
 シェレールは、俺の言葉に驚いて舌が回ってなかった。
「いや、ほら、やっぱり俺、そういうことしたことないから……せめて知識だけでもつけておきたかったんだよ。それと他にも色々と……」
「そ、そうですか。」
「それと……あのな……そういうことをするのにあまり年齢は関係ないらしい。ロイアさんの時もルビーのお母さんが未成年の時にやったらしいからな。」
「それは本当ですか!?」
「ああ、本人に聞いた。」
「と、ということは……私たちも…」
「もうそういうことをしてもいいってことだ。」
「〜っ!で、ですが、竜斗がまだ……」
「まぁ、多少はまだ不安もあるけど……ロイアさんと話してしっかりと自分の意思をもてたと思う。だから……その……」
「竜斗……〜っ!」
 俺もシェレールも顔を真っ赤にしてしまい声が出せなくなる。
「竜斗〜!シェレール〜!そこに居たのね!もうそろそろパーティを終えるわよ。早く戻ってきて。」
 俺たちが声を出せなくて沈黙している中遠くからユイの俺たちを呼ぶ声が聞こえた。
「み、みんな、待ってるみたいだから帰ろうか。」
「あ………はい、そうですね……」
 シェレールのその声は少し寂しそうにも感じたが今の俺にそんなことを気にしている余裕はなかった。
 俺たちが戻ってくるとパーティが終わり片付けに入った。
「リュウ、そっちのお皿運んでくれる?」
「………」
「ん?リュウ?」
「………」
「お〜い!リュウく〜ん!」
「……ん?ギルか。どうかした?」
「いや、だからお皿を運んでって……どうかしたの?リュウ?」
「いや……なんでもない。」
「そう?すっごいぼーっとしてたけど?」
「悪い、切り替える。」
「あっ、リュウ……」
 俺は、ギルの言っていた皿を運びテーブルとかの片付けに取り掛かった……のだが、やっぱりさっきのことが悔しくて作業に集中できない。
 どうして、さっきあの場で勇気が出なかったんだろう。もう俺の気持ちは決まったはずなのに……
 やっぱり弱虫だな、俺。
「竜斗、あんた本当に今さっきからぼーっとし過ぎ!」
「ご、ごめん。……はぁ〜ふぅ〜っ!よし!」
 俺は、両手で自分の頬を叩き気合を入れた。
「もう大丈夫だ。今からちゃんと片付けに集中する。」
「はぁ〜もういいわよ。竜斗、外で散歩でもしてきて。」
「いや、さすがにそれは……」
「いいから!ほら早く!」
「お、おう。」
 俺は、無理やり部屋から追い出され庭に出た。
「………シャキッと決めて来なさいよ……」
 扉を閉じる瞬間ユイがなにか言っていたが聞き取れなかった。
 俺は、一人で庭を歩く。
 さすがにこの時期に夜一人で出歩くのはなんか寂しいな。それにすごい寒い。
「ん?人影?」
 俺が一人で歩いていると少し奥に月明かりに照らされて人の影が見えた。
 俺は、少し気になりその影の方まで向かった。
 そして、そこに居たのは
「………シェレール。」
「っ!?りゅ、竜斗!?」
「っ!」
 お互いいまさっきのやり取りのことを思い出し顔を真っ赤にする。
「シェ、シェレール、なんで一人でこんな暗い中散歩してるんだ?」
「作業に集中出来てなかったのでユイさんが気を使ってくれたんです。竜斗はどうして一人なんですか?」
「俺もシェレールと一緒だ。作業に集中出来てなかった。」
「そ、そうなんですか。」
「シェレール、一緒に……散歩する?」
「………はい。」
 俺とシェレールは、二人揃ってどこに向かうでもなく庭中を歩き回る。
「………やっぱり聞きたです……」
 俺たちがずっと黙って歩いているとシェレールが口を開きそんなことを言った。
「聞きたいって何が?」
「……パーティが終わる前に話していたことの……続きです。」
 やっぱりか。
 シェレールの目も真剣だ。俺の方をしっかりと見て応えを聞こうとしている。
「………よし、分かった!言うよ!」
 俺は、意を決して覚悟を決める。
 でも、どんな言葉で言えばいい?………いや、もうそんなことどうでもいい。俺は、いつも不格好だったんだから。
 俺は、しっかりとシェレールの目を見て口を開いた。

コメント

  • ノベルバユーザー259443

    紛らわすじゃなくてはぐらかすだとおもう

    3
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