最強魔神の封印解除

ゼノン

時少し遡り

水の勇者ベルファストが村に来る数時間前の事…………

「お前ら、俺に敵対するってことがどういうことがわかってんだろうな?」
俺は村を襲撃した魔族どもを睨みつける。その睨みを受けて、魔族どもは怯えたように少しぜつ後ずさる。
どいつもこいつも俺が封印されていた間に、俺のことを忘れてしまったらしく、俺の魔力を前にしても決して引かない。
今のこいつらが1000年前にいれば、もしかしたら俺は封印されることもなく戦いを終えることができたかもしれない。
平和のために戦っていたというのに……誰も俺のことなんか理解してくれない。
「フィーネ……やっぱり俺は魔神として生きていかないとならないのか……?」
俺はふと独り言を呟く。
俺の後ろの方でフィーネとリオナが追いついたのが気配でわかる。
リオナが心配そうな目で俺を見る。心配することなんかないというのにな。
だがまぁ、他人に心配などしてもらったことのない俺からすれば、こういうのも悪くはないと思えるがな。
「ゼノン……」
「そう心配そうな目をするな。すぐに戻る……フィーネ、リオナを頼みたい」
俺がそう言うとフィーネは「了解」と短く頷いて、リオナを連れて村の中の方に向かっていく。恐らく村長の家にある避難所に向かったのだろう。まぁ、確かにあそこなら安全だしな。
俺は何もない空間から魔剣デュランダル(ミクに引かれていたという事実から思わず空間の中に戻してしまった)を取り出し、鞘から抜き放つ。すると、魔剣デュランダルの刀身から流石の俺でも引くぐらいの凄まじい程の闇の魔力を解き放つ。まー多分だけど、思わず空間の中に返してしまった俺に対して怒っているのだと思う。どの時代でも魔剣や聖剣というのは意思を持つ特殊な剣だ。
どういう原理で造られたのかのかはわからないが、魔剣や聖剣は剣自ら所有者を選ぶと伝説で言われている。
俺はそんな魔剣の絵を握りながら首をゴキゴキと鳴らして、魔族の大群に向かって歩き出す。
いくら俺でもこの魔物の大群を相手にするのは初めてだ。だからこそ、魔力もない今の俺の状態でどこまで戦えるのか、そういった確かめたいって言う興味心が湧いてくる。
「さぁ、お前ら……覚悟しとけよ!」
俺はそう叫ぶと同時に魔族の大群に向かって走り出す。魔族たちも走り出した俺をみて、それぞれ雄叫びをあげながら俺の方に突っ込んでくる。
さぁ、俺と魔族どもの戦いの始まりだぜ!

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