《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士

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第96話「龍騎士」

 セリヌイアの領主であるケルゥ侯爵は、領地を召し上げられることになった。爵位も没収された。ケルゥ侯爵の処罰については、裁判中だった。



 エムールも無事に救出された。
 そして肝心なのはリュウイチロウと龍の件だった。



「いかがいたしましょうか?」
 と、フィルリア姫が問う。



 フィルリアが問うた先は、ゼルン王国が国王――アルドマーラ・ゼルンだった。



 岩から削りだして作られたような角ばった顔をしている。白い髪は真ん中分けにして長大に伸びている。白く太い眉をしており、白ヒゲをたっぷりとたくわえている。もうかなりの老齢だが、肉体は精悍とさえ言えるつくりをしている。



 彫刻品が王座に座ったような男だ。



「龍に乗る青年か」
 と、重厚感のある声が発せられた。



「ええ。その龍もリュウイチロウを慕っているようで」



「龍を放置しておくわけにもいかんが、捕まえるわけにもいかん。ましてや殺すわけにもいかんしな」
 と、国王は首をひねった。



「ええ。もちろんです」
「その青年にメンドウをみさせるとするか」



「しかし、龍を置いておくような土地がありません」
「ひとつ良い場所があるだろう」



「は?」



 王の背後の壁面には巨大なステンドグラスが飾られてある。虹色の輝く龍が描かれている。国王はそのステンドグラスに目をやった。



「水上都市セリヌイアを、リュウイチロウに授けよう」
「すると、リュウイチロウをセリヌイアの新しい領主に?」



「うむ」
 と、国王はうなずく。



「そうなると、侯爵レベルの階級を授けるということですか?」



 リュウイチロウの血質であれば、それ以上でも充分ありえることだ。



 これから先、ゼルン王国のみならず各国の貴族たちが、リュウイチロウを味方につけようと試行錯誤することだろう。逆に、リュウイチロウを亡き者にしようとする動きもあるかもしれない。



「いや。特別な一代爵位を用意しよう。そうだなぁ……」
 と、国王は白ヒゲをしごくようにさすった。



「龍に乗った騎士か。よし、彼に授ける爵位は……」
 国王は、その爵位の名を言い放った。

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