《完結》虐待されてる奴隷少女を救った、異世界最強の龍騎士
第10話「奴隷少女と旅のはじまり」
「いつも、あんな感じなのか?」
と、龍一郎は尋ねた。
「ん?」
ベルは小首をかしげた。首をかしげると、うなじにある傷がよく見えた。どこもかしこも痛々しい。
「だからその――、殴られたり、チューブを全身につなげられたり」
「殴られるのはいつものこと。チューブは血をエネルギーにしてるから、仕方がない」
言われずとも、そのカラダを見ればある程度はわかる。
アオアザ……キリキズ……ヤケド……ミミズバレ。
焼きゴテをされたような痕跡すらある。
「でも、別にベルの血でなくとも、エネルギーにはなるんだろ?」
「奴隷がエネルギー源になるのが、ふつうだから」
じゃあこの世界では、他にもベルのような扱いを受けている人がたくさんいるのだろうか。頭が痛くなってくる。
「奴隷とか貴族って、何が基準で差別化されるんだ?」
「血の品質」
「あぁ、そうか」
血の品質が良い人間であればあるほど、貴族や王族に近づく。品質が悪いほど庶民となり、奴隷となるわけだ。
龍一郎も、準備を手伝った。
その過程で着替えることにした。パジャマで旅立つのは抵抗がある。
衣服に関しては地球と大差ないものだった。ただ地球と違って、服の袖や、ズボンの一部に丸い穴が開いている仕組みになっていた。いつでも、チューブを刺せるようになっているのだろう。
「はやくしないと、さっきの男が戻ってくるかもしれないからな。急いで逃げよう」
「うん……。こっち」
ベルは、龍一郎を家の裏口まで案内してくれた。
「このカンテラも、血を使うのか」
カンテラからもチューブが伸びているのだ。ためしに、チューブの先端についている針を、衣服の差込口に刺しこんだ。
チクッとした痛みが走る。カンテラにはスイッチらしきものがついていた。そこを押すと明かりがついた。エネルギーが血というのは、ある意味便利ではあるかもしれない。
裏口から出る。
外には森が広がっていた。森はさらに深い暗闇をたくわえていた。村にあったような外灯もない。
「森にはクロエイが多く出現するから、入らないほうが良い。表通りから、行くことを、お勧めする」
「表通りも、クロエイだらけだったけどな」
「あなたの血なら、クロエイを倒すことも難しくはない」
「そうかもしれないけどさ……」
この世界において、龍一郎の血はかなり品質の良いものになるのだろう。だから、クロエイを倒すこともできる。
だからといって、あんなバケモノと対峙したいかと言うと、それはない。
怖いものは怖い。
それに、いくら優秀な血を持っているからといっても、影を食われたらこっちもクロエイになるのだ。
「見つからないように慎重に進むとするか。とりあえず、ベルのことはオレが背負うよ」
ベルを背負うために屈んだ。
ベルは、しばらく困惑したように立ち尽くしていた。
「どうかしたか?」
「あり……がとう」
「いいって。別に。ベルは歩くの辛いんだろう」
全身ケガだらけだから、足をケガしてるのかはわからない。だが、歩くとき必ず右足を引きずるようにしている。
ついて来てくれるように頼んだからには、出来るだけ辛い目に合わせたくなかった。ベルの主人みたいなクズにはなりたくない――という思いが強くあった。
危険なものにでも触れるかのように、ベルは慎重にカラダを任せてきた。ベルのカラダはずいぶんと骨ばっていたけれど、それでもこうして触れてみると女性らしい柔らかを帯びていた。
「痛くないか?」
「大丈夫」
「なら、良かった」
と、龍一郎は尋ねた。
「ん?」
ベルは小首をかしげた。首をかしげると、うなじにある傷がよく見えた。どこもかしこも痛々しい。
「だからその――、殴られたり、チューブを全身につなげられたり」
「殴られるのはいつものこと。チューブは血をエネルギーにしてるから、仕方がない」
言われずとも、そのカラダを見ればある程度はわかる。
アオアザ……キリキズ……ヤケド……ミミズバレ。
焼きゴテをされたような痕跡すらある。
「でも、別にベルの血でなくとも、エネルギーにはなるんだろ?」
「奴隷がエネルギー源になるのが、ふつうだから」
じゃあこの世界では、他にもベルのような扱いを受けている人がたくさんいるのだろうか。頭が痛くなってくる。
「奴隷とか貴族って、何が基準で差別化されるんだ?」
「血の品質」
「あぁ、そうか」
血の品質が良い人間であればあるほど、貴族や王族に近づく。品質が悪いほど庶民となり、奴隷となるわけだ。
龍一郎も、準備を手伝った。
その過程で着替えることにした。パジャマで旅立つのは抵抗がある。
衣服に関しては地球と大差ないものだった。ただ地球と違って、服の袖や、ズボンの一部に丸い穴が開いている仕組みになっていた。いつでも、チューブを刺せるようになっているのだろう。
「はやくしないと、さっきの男が戻ってくるかもしれないからな。急いで逃げよう」
「うん……。こっち」
ベルは、龍一郎を家の裏口まで案内してくれた。
「このカンテラも、血を使うのか」
カンテラからもチューブが伸びているのだ。ためしに、チューブの先端についている針を、衣服の差込口に刺しこんだ。
チクッとした痛みが走る。カンテラにはスイッチらしきものがついていた。そこを押すと明かりがついた。エネルギーが血というのは、ある意味便利ではあるかもしれない。
裏口から出る。
外には森が広がっていた。森はさらに深い暗闇をたくわえていた。村にあったような外灯もない。
「森にはクロエイが多く出現するから、入らないほうが良い。表通りから、行くことを、お勧めする」
「表通りも、クロエイだらけだったけどな」
「あなたの血なら、クロエイを倒すことも難しくはない」
「そうかもしれないけどさ……」
この世界において、龍一郎の血はかなり品質の良いものになるのだろう。だから、クロエイを倒すこともできる。
だからといって、あんなバケモノと対峙したいかと言うと、それはない。
怖いものは怖い。
それに、いくら優秀な血を持っているからといっても、影を食われたらこっちもクロエイになるのだ。
「見つからないように慎重に進むとするか。とりあえず、ベルのことはオレが背負うよ」
ベルを背負うために屈んだ。
ベルは、しばらく困惑したように立ち尽くしていた。
「どうかしたか?」
「あり……がとう」
「いいって。別に。ベルは歩くの辛いんだろう」
全身ケガだらけだから、足をケガしてるのかはわからない。だが、歩くとき必ず右足を引きずるようにしている。
ついて来てくれるように頼んだからには、出来るだけ辛い目に合わせたくなかった。ベルの主人みたいなクズにはなりたくない――という思いが強くあった。
危険なものにでも触れるかのように、ベルは慎重にカラダを任せてきた。ベルのカラダはずいぶんと骨ばっていたけれど、それでもこうして触れてみると女性らしい柔らかを帯びていた。
「痛くないか?」
「大丈夫」
「なら、良かった」
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