陰キャな俺がハーレムに!?

絵音 聖夜

NO.1 ヘアーチェンジ

 聖修のお母さんについて行って着いた場所はある部屋。中を見ると、美容室にあるような鏡が3枚(壁についている)とその前に3脚の椅子、そしてカーテンの後ろには美容室にあるシャンプーする時に座るソファが並んでいた。そして、その隣には色んな瓶... 瓶の中にあるもの見るとなぜか警戒心高まった。これから髪切るんだよな...? 薬剤を飲まされるとかそういうのじゃないよな? とか思いながらソワソワしていると
「さーってと始めようかしらね。聖修、美玲は自分たちの部屋に行っててね。出来上がるまでお楽しみよ。」
と、明るい声で優しく聖修達に言った。
「分かりました! 楽しみに待っとるけん!」
とニコニコしながら福本さんは言った。
「りょーかい。」
と、女子がときめくようなイケボで言う聖修。2人はドアを閉め、部屋の外に出た。
 「さぁーってと...。まずはシャンプーね。風季くんは髪が長いのね... わざと伸ばしてるの?」
と、聖修のお母さんが聞いてくる。
「い、いえ...。伸ばしてるっていうか... その...」
「もしかして、美容室あまり行かない系男子?前に行ったのはいつ?」
言いづらい。この状況で「あー、半年くらい前ですかねーw」と言えるタイプじゃないし。でも嘘はつけないし...
「半年よりちょっと手前くらいです...」
ちなみに前回の美容師の話は半年より手前に起きた出来事だ。
「あららー... じゃあ、質問です!髪は1ヶ月に約何センチ伸びるでしょうか。」
そんなの知るわけがない。美容とは関係がない存在だから。俺の考えから女性と男性の髪の伸びる早さは違うと思うし…。
「女性が1センチ。男性が... 0.5センチ... だと思います...。」
これは自信がある。すると、聖修のお母さん両指でバツを作り
「ぶっぶー。ハズレね。女性と男性の髪の速度はほぼ一緒。個人差はあるけど、約1センチ伸びるのよ。半年前ってことは約6センチくらい伸びてることになるわ。まあ、"個人差"はあるけど。」
マジかよ...。俺そんなに伸ばしてたのか...。前回短くし過ぎたしなー。俺は自分の髪の毛を優しく掴み、見る。確かに普通に掴めるし、長い方だ。俺はため息をこぼした。ここに来てから俺の気持ちはげんなりだよ。
「でも、安心して。私が風季くんを変えてあげるから。そこのソファに座って待ってて。」
「分かりました...。」
 俺はソファに座った。リラックスが出来るソファ。ふかふかで寝てしまいそうだ。聖修のお母さんは瓶を開けて確かめたり透明なカップの中に入れたりしている。緊張するな。ってか、俺今からシャンプーするんだよな? 瓶を扱う聖修のお母さんを見るとシャンプーじゃなくて薬剤を飲まされるだとかそっちの方を考えてしまう。失礼だけど。
「よし!出来た!じゃあ、始めるわね。」
すると、顔の上に薄いタオルのような物を被せられた。
「これでいいかな?」
「あ、はい!」
シャワーの音。美容室のシャワーの音、寝っ転がっているせいかとてもゾクッとする。「熱くない?」ってよく心配されるけど俺からすると丁度いいくらいだ。俺は寝そうになりながらも頑張って起きていた。シャンプーはあっという間に終わった。
「はい!出来上がり〜。次はあっちの椅子に座ってね!」
「あ、はい。」
 俺は鏡の前にあるイスに座った。椅子はふかふかでくつろげた。準備を終えたのか聖修のお母さんがこっちに来る。そして、いきなり俺が座っている椅子を後ろに回してして俺の顔をじーっと見た。俺は急なことに戸惑って思いっきり目を逸らしてしまった。顔は顎を聖修のお母さんが優しく掴んでいるので動かせない。するとそれをいきなりやめて聖修のお母さんは俺をまっすぐと俺に視線を向けて言った。
「風季くんは爽やかとかより個性を生かしたほうがかっこいいかも。その癖毛は風季くんの優しさを感じられていいと思うし。だから私は風季くんの枝毛と傷んでいる部分、それでもまだ長すぎるなーって思ったらそこを切るね。」
と、笑顔で聖修のお母さんが話しかけてきた。俺は照れながら「分かりました。」とだけ答えた。こんなことを言われたのは初めてだった。俺には個性も何もないただの悲しい男だと思っていた。生まれた時からずっと一緒に暮らしている、お母さんですら俺には「個性がないから」と言って雑誌に載ってある安い洋服をいつも買ってきたくらいだったから。俺は言葉には出せなかったけれど「ありがとうございます。」とお礼を言った。
 俺の髪を切り続けて5分くらいで、
「そろそろ目をつぶってもらってもいい? せっかくだし、お楽しみにしましょう!」
と言われた俺はアイマスクをつけられた。前髪は切ってあるけど耳近くとかちゃんと切れるのかな、と心配になりながらも俺は聖修のお母さんに任せた。
 「ねえ、風季くん出来上がったの。アイマスク外してみて!」
俺はその指示で、アイマスクを外した。鏡に写っていたのは嬉しそうに微笑んでいる聖修のお母さんと誰?と思ってしまうくらい変わっていた俺だった。俺の前の印象は暗くて個性のない奴みたいだったけど、今は髪がスッキリしたせいか暗い印象が完全ではないけど無くなっていて明るい印象になっていた。自分で言うのはなんだけど、どこか優しいような感じの人になっていた。
「わぁー...」
俺はいつの間にか声が出ていた。それに聖修のお母さんがふふふって笑っていた。俺は恥ずかしくなり頬と鼻を真っ赤に染めた。
「みんなを呼ぶね。」
と、聖修のお母さんがドアを開けて思いっきり
「出来たよ〜!」
と叫んだ。それに反応してか二人分の足音が聞こえてくる。それに声も混ざわってくる。「どんな感じになったかバリ気になるね。」という福本さんの声と「俺のお母さんは美容師としての才能を持ってるはずだから、絶対に変わっているよ。」という会話が聞こえてくる。そして、開けっ放しのドアから福本さんと聖修が入ってきた。
「おーい、風季。椅子から降りてこっちに顔を向けろー」
俺はその声と同時に椅子から降りて聖修達の方を向く。すると、2人の口から
「わぁー!」「おお!」
という声が同時に出た。俺は照れて俯く。
「風季、俯くなって。かっこいいから自信を持って顔を上げろ。」
と聖修の声が俺にまっすぐと届いた。俺は聖修に言われるがまま顔を上げると福本さんが近づいていた。そして俺の頬に両手を添えて言った。
「上城くん、とってもかっこいい。上城くんとっても素敵になったね。なんだか私も嬉しい。自分が変われたみたいで。なんだか嬉しいよ。」
と、いつの間にか俺のおでこに福本さんのおでこが当たっていた。そして本当に嬉しそうな声で言っていた。俺は困惑しながらも嬉しくて泣きそうになった。嬉しさがたくさんあって陰キャな俺がこんな思いをしていいのか考えそうになった。聖修もいつものようにからかって笑うのではなく、今回は嬉しそうに微笑んでいた。そして、聖修のお母さんも幸せいっぱいのような笑顔で俺達を見ていた。

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