二番目(セカンド)の刹那

Lot

4月15日①《刹那! 久しぶりだな!》

 ……!? なんだ? 窓が割れるような音で目が覚めた。家の窓が割られて破片がベッドの上に散っている。そして、窓の外から飛び散ったガラスの破片の先にはナイフ。つまり……窓の外からナイフを投げ入れられて窓が割れたということだろう。


「……朝から何だって言うんだ」


 もう少し寝かせろなどと言っている暇がないのは言うまでもないだろう。恐る恐る窓の外を見た。


「ムクロ?」


 外からこちらを見ている懐かしい顔。でも僕らは、再会を喜べるような関係ではない事は向こうも知っているはずだ。


「刹那! 久しぶりだな! ……降りてこいよ」


 ムクロは今まで通りに笑ってみせる。でも、ムクロが今まで通り仲良くして欲しいんじゃないってことを理解するには、ナイフなんて物騒な物を投げてくるってだけで十分すぎる。


「どうした刹那、ちょっと話そうぜ」


 ムクロの表情はほとんどがいつも通りだけど、何というか、目が怖い。僕もムクロに用があるのは事実だ。とりあえず降りて話してみるか? いや、でも。ナイフ投げて来たんだぞ。既に殺す気だろ。近付いて大丈夫か?こっちも包丁でも持っていくべきだろうか。


「なぁ、ずっと窓からこっち見てどうしたんだ? 早く来い……よっ!」


 ムクロが言うと同時に2本目のナイフを投げてきた。僕には当たらなかったが、反応して避けられたのではなく、たまたまナイフが僕の横を通って行っただけだ。ムクロが意図的に外したのかもしれない。それにナイフを手に持ってから投げたというより、投げるモーションに入ってから手にナイフが現れたように見えた。気のせいじゃなく、これがムクロの『創造クリエイト』なのだろう。


 どうするかな。このままってわけにも行かないが。家の中に隠れてもその場しのぎってだけだし、降りて会いに行くか。


 僕はガラスの破片の飛び散った部屋を出て、そのまま家を出た。


「ムクロ、何の用だ?」
「そんなに警戒すんなよ。うちの莉奈が世話になったみたいだから、挨拶に来ただけだ。もう宣戦布告として受け取っていいよな?」


 やはりもう莉奈の情報は把握してるのか。


「宣戦布告も何も、そっちが最初にスパイを送り込むような真似したんだろ」
「そうだな……お前達が俺達を殺そうとしてる時点で敵同士なのは間違いないな。今は挨拶しに来ただけだが、反乱分子は摘み取る方針だ。気を付けろよ」


 それだけ言ってムクロは去っていった。宣戦布告して来たのはそっちじゃないか。まぁ今、何もされなかっただけで良い方か。とりあえず、他の4人に会いに行くか。

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