二番目(セカンド)の刹那

Lot

4月7日③《僕が寝てた部屋とは別に寝室があったような》

「それじゃあまたね」
「うん、また明日!」


 真央の挨拶に応じた凛は、手をパタパタさせながら走って行った。僕も帰るか。


 僕の家に向かうと、後から日菜と月菜がついてくる。こいつらも家こっちなのか。僕の家の前に付いたので、無言も良くないと思い「じゃあな」と軽く声をかけて自分の家に戻る。……のだが、なんでこの2人は玄関まで付いてくるの?


「何か用?」
「……小波、あのさ…あたしの家、遠いから小波の家に泊まってもいい?」
「え?」


 日菜が変な事を言い始めた。


「ほらあんたの家、見た感じ結構大きいじゃない。布団とか余ってないの」
「どうだったかな。あまりよく見ないで家を出ちゃったから分かんないけど、僕が寝てた部屋とは別に寝室があったようななかったような」
「どっちなのよ」
「分かんないんだって」
「じゃあ、とりあえず入りましょう。泊まれそうになかったら帰るわ」
「分かったよ」


 分かったけど、別にいいけど、拒否権はないのか。それに真央の家に泊まった方が多少は狭くても同性だし過ごしすいと思うんだけど。


「とりあえず、その辺にいてくれ。確認してくるから」


 家を出る前はあまり見なかったが、キッチンやリビングらしき空間もあり、二階に僕が寝ていた部屋とは別にベッドが2つある寝室があった。両親用の寝室とその子の部屋という印象を受けるが、こっちの世界に僕の両親に当たる人はいないのか? ともあれ、日菜と月菜を家に泊める事を考えるとこの部屋は丁度いい。何か理由を付けて帰って貰おうかとも思ったが、2人を泊まらせる事に、あまりにもこの家が適している。仕方ない。泊めるか。


「どうだった?」
「丁度、2人分の寝室あったから。泊まってけよ」
「そう。あんた、なかなか使えるじゃない」
「使えるって……」
「ありがとね。じゃ、部屋に案内して」
「分かったよ」
「ありがとうございます。小波さん」


偉そうな日菜に対して月菜は礼儀が良いな。双子ってこんなに違うものか? 二卵生なのかな。

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