二番目(セカンド)の刹那
4月6日②《異世界から来た方はいませんかー?》
僕は目を覚ました。
……ここは、僕の部屋じゃない。このままにしている訳にも行かないので、とりあえず体を起こして布団から出た。
着ている服も変わっている。寝巻きという感じの、白い単色のトレーナーに黒いスウェットだがこのまま外に出ても注目を浴びるほど変な服装ではないだろう。
窓から外を見る。今いるのが建物の二階のようで、周りが平屋ばかりなので、遠くまで見渡せた。街並みは田舎の住宅街といった感じか。少し離れた辺りには田んぼがある。通行人もある程度はいるようだ。
何をすればいいのか分からないが止まっていても仕方がない。周りにある誰のものか分からない棚を覗いたりするのは気が引けたので、家は探索せずに外に出た。探索しなかったが、電化製品の類が見当たらなかったのでそういう世界なのだろう。
……世界?ここがどこかは分からないが、別の世界だと思うのは不自然だ。単に国内の田舎の方だと言われても違和感のない風景だったし。ならここを別の世界だと判断したのはやはり、今夜見た夢の内容から来るものだろう。本当にここは別の世界なのだろうか。
家を出て道なりに歩いていると、1分も経たないうちにイベントが発生した。
「異世界から来た方はいませんかー?」
進行方向の先から声が聞こえた。大声でありながらも弱々しい声。声からすると年上の女性か、と思うけど姿は見えない。
僕の事を探しているのか何なのか。とりあえず先に進んでみるか。通行人はそう多くないから、声の主を特定するのは難しくないだろうが。
……あ。あいつか。道の真ん中で不審にキョロキョロしてる奴がいる。髪の長い女性で、雰囲気的に声の主とも一致する。確信はないけど。他にやる事もないので声をかけるか。
「あの……異世界が何とかって」
「はいっ!あ、ええとそうね……」
テンション高めで返事されたが、すぐに落ち着いた感じの声色になり「あなたは、異世界から来たの?」と続けられた。
「はい。そうですけど」
僕が答える度に一瞬、目を輝かせてすぐに冷静になる感じは何なんだ…
「そう、ええと、私もなんだけど……ええと何から話したら……」
考え込まれてもこっちはどうしたらいいのか。
「そうね。私の名前は皐月真央。能力は『複製』あなたは?」
「小波刹那。能力は『消去』です」
で、いいんだよな。澪は確かに僕の能力を消去と言っていた。
「他にも異世界から来た人が3人いるから探しましょう。別々に行動した方が効率がいいから、しばらくしてから、またこの場所で会うってことでいいかしら?」
「ちょっと待ってくれ。能力とか言われてもよく分かってないんだが、そもそもこの能力は本当に使えるのか?」
「…………もしかして、異世界に来るのは初めてかしら?」
「そうだけど」
そうだけど、そんなに意外なのか?そもそも異世界に1回でも来ればかなり変な人生だと思うんだが。
「そう……」
また少し考え込むと「他にも初めての人がいるかもしれないし、人数が集まってからまとめて話すわ。まずは他にいないか探してくれないかしら?」だと。
「まぁそういうことなら分かった」
「じゃあ明日、同じくらいの時間にここに来てくれる?」
「そんなに後なのか?時計は見てないけど、今は12時くらいだから今日の午後でも十分じゃないか?」
太陽が真上にあったから12時頃なんだろうけど、こんな時間まで寝てたのか、と自分で言ってから気付いた。目覚まし時計がないと寝すぎるな。
「世界は広いのよ?異世界転移者を全員集めるには時間がかかるわ」
そういうものなのか。数々の疑問が解消されるのが明日となると気になって仕方ないが、教えてもらう側だし言われた通りにするか。
皐月さんは手を振って「またね」と去って行った。
……ここは、僕の部屋じゃない。このままにしている訳にも行かないので、とりあえず体を起こして布団から出た。
着ている服も変わっている。寝巻きという感じの、白い単色のトレーナーに黒いスウェットだがこのまま外に出ても注目を浴びるほど変な服装ではないだろう。
窓から外を見る。今いるのが建物の二階のようで、周りが平屋ばかりなので、遠くまで見渡せた。街並みは田舎の住宅街といった感じか。少し離れた辺りには田んぼがある。通行人もある程度はいるようだ。
何をすればいいのか分からないが止まっていても仕方がない。周りにある誰のものか分からない棚を覗いたりするのは気が引けたので、家は探索せずに外に出た。探索しなかったが、電化製品の類が見当たらなかったのでそういう世界なのだろう。
……世界?ここがどこかは分からないが、別の世界だと思うのは不自然だ。単に国内の田舎の方だと言われても違和感のない風景だったし。ならここを別の世界だと判断したのはやはり、今夜見た夢の内容から来るものだろう。本当にここは別の世界なのだろうか。
家を出て道なりに歩いていると、1分も経たないうちにイベントが発生した。
「異世界から来た方はいませんかー?」
進行方向の先から声が聞こえた。大声でありながらも弱々しい声。声からすると年上の女性か、と思うけど姿は見えない。
僕の事を探しているのか何なのか。とりあえず先に進んでみるか。通行人はそう多くないから、声の主を特定するのは難しくないだろうが。
……あ。あいつか。道の真ん中で不審にキョロキョロしてる奴がいる。髪の長い女性で、雰囲気的に声の主とも一致する。確信はないけど。他にやる事もないので声をかけるか。
「あの……異世界が何とかって」
「はいっ!あ、ええとそうね……」
テンション高めで返事されたが、すぐに落ち着いた感じの声色になり「あなたは、異世界から来たの?」と続けられた。
「はい。そうですけど」
僕が答える度に一瞬、目を輝かせてすぐに冷静になる感じは何なんだ…
「そう、ええと、私もなんだけど……ええと何から話したら……」
考え込まれてもこっちはどうしたらいいのか。
「そうね。私の名前は皐月真央。能力は『複製』あなたは?」
「小波刹那。能力は『消去』です」
で、いいんだよな。澪は確かに僕の能力を消去と言っていた。
「他にも異世界から来た人が3人いるから探しましょう。別々に行動した方が効率がいいから、しばらくしてから、またこの場所で会うってことでいいかしら?」
「ちょっと待ってくれ。能力とか言われてもよく分かってないんだが、そもそもこの能力は本当に使えるのか?」
「…………もしかして、異世界に来るのは初めてかしら?」
「そうだけど」
そうだけど、そんなに意外なのか?そもそも異世界に1回でも来ればかなり変な人生だと思うんだが。
「そう……」
また少し考え込むと「他にも初めての人がいるかもしれないし、人数が集まってからまとめて話すわ。まずは他にいないか探してくれないかしら?」だと。
「まぁそういうことなら分かった」
「じゃあ明日、同じくらいの時間にここに来てくれる?」
「そんなに後なのか?時計は見てないけど、今は12時くらいだから今日の午後でも十分じゃないか?」
太陽が真上にあったから12時頃なんだろうけど、こんな時間まで寝てたのか、と自分で言ってから気付いた。目覚まし時計がないと寝すぎるな。
「世界は広いのよ?異世界転移者を全員集めるには時間がかかるわ」
そういうものなのか。数々の疑問が解消されるのが明日となると気になって仕方ないが、教えてもらう側だし言われた通りにするか。
皐月さんは手を振って「またね」と去って行った。
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