二番目(セカンド)の刹那
4月5日①《別の世界に行って頂きます》
四月五日。昨日までで春休みが終了し、今日は僕の通う凪浜高校の始業式がある。
あと数日後には普通に授業が始まっていると思うと春休みに戻りたくなる。
テーブルに置いてあったパンを食べながら、見たい訳でもないニュース番組を眺める。
そんな事をしているうちに、そろそろ家を出ないと始業式に間に合わない時間帯になった。
そろそろ行かなきゃな。
僕の両親は科学者だか博士だかみたいな仕事で、普段は研究所にいて、基本的に家にはいない。家族用の家ではあるが、ほとんど1人暮らしと同じような状態だ。
春休みも特に目立ったイベントはなく、基本的に近所のコンビニで食事を買う以外はパソコンの画面に向かっていた。ニートの生活そのものだが学生だから何の問題もない。
現にその生活も今日で終わるわけだし。
「行ってきます」
誰に対してでもなく僕はそう言って玄関を出た。
「……?」
玄関を出てすぐ、目の前に同じくらいの歳の女の子が立っていた。
茶色い長い髪はおそらく染めており、爪にネイルアートも見られ、ファッションに気を使っているだろう印象を受ける。が、それとは対照的に無表情で目が死んで見える。
「刹那様。本日の夜から貴方には別の世界に行って頂きます」
「え?」
無表情な少女は表情を変えず、真顔でそう言った。『刹那』というのは僕の名前だが『刹那様』などと呼ばれたのは人生で初めてだと思う。と、いうだけでもビックリだか後半の内容がもっと意味が分からない。
僕の聞き間違えでなければ彼女は別の世界に言ってもらうと言った。イタズラかドッキリ企画か、単にこの子が変な子なのか。僕はどう反応するのが正解なのだろう。
「これから学校ですよね?行ってらっしゃいませ」
少し横に避けてから深くお辞儀をされた。本当にどう反応すればいいのか分からない。分からなすぎてさっきから固まっている。
「ええと……?」
「あまり気にしないでください。忘れてくださっても結構です。それより、早く行かないと学校に間に合いませんよ」
そうだ。そうだった。学校だ。
この子の言う事も少し…いや、かなり気になるがとりあえず学校に行かないと遅刻してしまう。
「じゃ、じゃあね?」
なんと挨拶したら良いか分からず、疑問形の口調になりながら軽く手を振って家から離れ──
「鍵は閉めないのですか?」
──ようとしたとき、指摘された。やべ、忘れてた。
「閉めるよ」
そう言って鍵を閉めて今度こそ、学校へ向かった。
「あの子、前にどこかで会ったあるような……」
何となく。ふと、そんな気がした。
あと数日後には普通に授業が始まっていると思うと春休みに戻りたくなる。
テーブルに置いてあったパンを食べながら、見たい訳でもないニュース番組を眺める。
そんな事をしているうちに、そろそろ家を出ないと始業式に間に合わない時間帯になった。
そろそろ行かなきゃな。
僕の両親は科学者だか博士だかみたいな仕事で、普段は研究所にいて、基本的に家にはいない。家族用の家ではあるが、ほとんど1人暮らしと同じような状態だ。
春休みも特に目立ったイベントはなく、基本的に近所のコンビニで食事を買う以外はパソコンの画面に向かっていた。ニートの生活そのものだが学生だから何の問題もない。
現にその生活も今日で終わるわけだし。
「行ってきます」
誰に対してでもなく僕はそう言って玄関を出た。
「……?」
玄関を出てすぐ、目の前に同じくらいの歳の女の子が立っていた。
茶色い長い髪はおそらく染めており、爪にネイルアートも見られ、ファッションに気を使っているだろう印象を受ける。が、それとは対照的に無表情で目が死んで見える。
「刹那様。本日の夜から貴方には別の世界に行って頂きます」
「え?」
無表情な少女は表情を変えず、真顔でそう言った。『刹那』というのは僕の名前だが『刹那様』などと呼ばれたのは人生で初めてだと思う。と、いうだけでもビックリだか後半の内容がもっと意味が分からない。
僕の聞き間違えでなければ彼女は別の世界に言ってもらうと言った。イタズラかドッキリ企画か、単にこの子が変な子なのか。僕はどう反応するのが正解なのだろう。
「これから学校ですよね?行ってらっしゃいませ」
少し横に避けてから深くお辞儀をされた。本当にどう反応すればいいのか分からない。分からなすぎてさっきから固まっている。
「ええと……?」
「あまり気にしないでください。忘れてくださっても結構です。それより、早く行かないと学校に間に合いませんよ」
そうだ。そうだった。学校だ。
この子の言う事も少し…いや、かなり気になるがとりあえず学校に行かないと遅刻してしまう。
「じゃ、じゃあね?」
なんと挨拶したら良いか分からず、疑問形の口調になりながら軽く手を振って家から離れ──
「鍵は閉めないのですか?」
──ようとしたとき、指摘された。やべ、忘れてた。
「閉めるよ」
そう言って鍵を閉めて今度こそ、学校へ向かった。
「あの子、前にどこかで会ったあるような……」
何となく。ふと、そんな気がした。
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