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ヨナ

契約①【東堂美咲】



相変わらずの高級店ですね。私はワイングラスを傾けながらそう呟く。


私の名前は東堂美咲。今年で31歳になります。独身です。結婚に興味がないわけではないのですがなかなかいい男性がいません。私の運命の人はどこにいるんでしょう。

ともあれ、私が今日ここにいるのは親友の瀬戸愛梨に呼ばれたからです。愛梨は私よりも4つ歳上ですが幼い頃から仲良くしていました。今ではあの瀬戸家に嫁いでいますがまだ交友は続いています。

瀬戸家というのは一般家庭の人達は知らないでしょうが一定地上立場のある人達の中では有名です。この科学技術が進歩した現代社会では芸能界、、、メディア全体の重鎮という立場はかなりの力を持ちます。


「お待たせ〜」
愛梨が遅れて到着する。因みにこのレストランは星付きの高級店で私達が今いるところは個室になっています。
「久しぶりね」
「久しぶりだね〜」
「先に始めさせてもらってるわよ」
「うん」

「とりあえず先に食事を済ませましょう」
「そうだね〜。じゃあいただきま〜す」
愛梨の方が歳上ですが口調のせいで私が歳上に見られることが多いです。私以外と話す時は私の口調を真似て話すそうです。少しでも大人に見られたいのですね。
「それにしても相変わらず可愛いですね」
「ん〜?愛梨こそやっぱりえっちぃ身体してるねぇ〜」
愛梨は昔から可愛い系の子でした。平均身長よりも若干低く、身体の凹凸はあまりないです。対して私は平均身長よりも大きく、胸もお尻も大きいです。
私は愛梨のような可愛らしさに憧れますが、愛梨は私のような凹凸のはっきりした身体に憧れるようです。人はみんな無い物ねだりですね。


それから愛梨の話に相槌を打ちながら食事をします。いつも愛梨が話をして私は聞き役ですね。楽しそうに話している愛梨を眺めているのは嫌いではありません。
大半が惚気なのは少々うんざりしますが。

「相変わらず仲がいいみたいでよかったわ」
「うん。もうラブラブだよ」
「思い出すわね。籠絡して玉の輿だ〜なんて言ってた1週間後に逆にベタ惚れして帰ってくるんだもの」
「うぅ、それは言わない約束だよ〜」
愛梨が大学生になってすぐに私の家に来て「なんだかお金持ちが同じ学部にいるみたいなの!玉の輿に乗っやる!」と意気込んでいたのにその1週間後に逆にたらし込まれて帰ってきた時は驚きました。その勢いで学生結婚までしてしまうんですから。


「うぅ、それで美咲は武者修行は終わりなの?」
「ええ。やっと夢を果たせるわ」
「そうなんだ!それは良かった!」
「愛梨にも色々お世話になったわね」
「気にしないで!」
私の夢は自分の会社を持つことです。起業自体はそう難しくありませんがそれを維持し、大きくしていくのは難しいことです。ですからそのための武者修行として国内の企業や、愛梨のツテを借りて海外の企業にアドバイザーなどの役職で短期で色々な職種を経験しました。
そしてこの度ようやく自分の会社を設立することを決めたのです。

「やっぱり基盤は日本にするの?」
「ええ。その方がやりやすいし、安全だもの」
「どんな会社にするかは決めた?」
「化粧品関係にすることにしたわ。製造ラインの準備も進めているし、店舗を出させてもらえるビルもいくつか確保してあるわ」
「、、、、そうなんだ」
何か悩むように難しい顔をして相槌を打つ愛梨に違和感を覚えます。いつもなら自分のことのように喜んでくれるのですが、、、化粧品業界に何か問題があるという話は聞きませんし、慎重に準備を進めているので問題はないはず。であれば、、、

「愛梨、どうしましたか?私の仕事が今日の本題と関係があるのですか?」
「あ、うん。でも、そうだよね。起業したばかりは忙しいもんね」
「そんなことないわ。しっかりと計画を立ててから始めているから私自身がやらなければいけないことは少ないの。それに優秀な人材を引っ張って来たからその人達に任せているわ」
「そう、なんだ。、、、、じゃあ」

「仕事を1つ頼みたいの」

と、言われました。
「うん?私がやる化粧品関係の仕事ではなくて、それとは別にってこと?」
「そうなの」
「、、、、どんな仕事なのかしら」
「それが、、その、、言えないの」
?????
「えっと、どういうこと?」
「その、どんな仕事かは、言えないの」
「、、、つまり内容のわからない仕事を引き受けてほしいと?」
「、、、うん」
、、、、、、めちゃくちゃですね。
ありえない。仕事の内容を知らずに仕事を引き受けるのは本当に食べるのに困っている浮浪者くらいでしょう。返済計画なしに借金するようなものです。

「、、、自分がかなり無茶苦茶なことを言っている自覚はあるの?」
「ある、、、ごめんなさい」
「それでも仕事を頼みたい、と」
「うん。これは瀬戸家の決定だから。内容を聞かずに仕事を引き受けてくれて、信用できて、能力もある人を探さないといけないの。直継さんもお義父さんもお義母さんも動いているの」
「つまり瀬戸家の信用だけで仕事を受けてほしいと」
普通ならばこんなことはありえません。相当厄介な仕事か、それとも厄介な人が関わる仕事ですか。ヨーロッパの某国にいた頃、マフィアの下請けがこういう無茶な仕事をさせられていましたけど、、、


「愛梨はどうして私にこの仕事を持って来たのですか?」
「美咲は信用できるし、その、内容は言えないけどほとんど確実に儲けられる話なの」
「そうですか」
商売をするのにこんな白紙の契約書にサインするような真似は普通はできません。だけど愛梨がここまで言うなら信用できなくもない。それに瀬戸家全体として動いているならここで受ければ大きな貸しができることになります。日本で商売していく上で瀬戸家に貸しがあるというのは大きなアドバンテージになります。
、、、、私は賭け事は苦手なのですが。
何にもわからない仕事を受ける。リスクが大きすぎる賭けですがオールインといきましょう!


「わかりました。その仕事は私が受けましょう」




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