生産職を極めた勇者が帰還してイージーモードで楽しみます
会合③
「頼み事ってなんだ?」
「娘に一度会って欲しいんだ」
瀬戸愛佳の父親、直継にそう頼まれた。
「うん?男親は娘が男と会うのを嫌がるものじゃないのか?」
「いや、うん、それはそうなんだけど事情が事情でね」
直継は困った顔をするがどこか俺を責めている感じがする。
「事情ってなんだ?」
「いや、君に助けられたお陰で愛佳は無事に元気になったんだけどね、ちょっと困ったことに君に憧れてるというか、君を崇拝しているみたいなんだよ」
「、、、、ん」
予想外の展開に固まる。
「しかも君が悪魔を名乗ったのを間に受けて最近は黒魔法だとかなんとかのオカルトを調べはじめてるんだ。そのうち危ない宗教にでも引っかかるんじゃないかと心配でね。だったら一度君に会って貰った方がいいと思ったんだ」
「、、、、、、oh.
あー、その、なんだ、すまんな」
俺はただの演出とその場のノリでやったつもりだったんだが1人の少女の将来に影響を与えてしまったらしい。
「ん、俺が悪いみたいだし、うん。会うことにしよう」
「良かった。それは助かるよ」
自分で蒔いた種だししょうがない。あんなノリノリで演技しちゃった手前会うのは恥ずかしいけど。
俺がため息をついていると愛梨が真剣な表情でこちらを見て言った。
「念のため、念のための確認だけど貴方、、、ロリコンじゃないわよね?」
「問題ない。俺には愛してる人がいる」
俺は胸を張って答える。俺はアイツを愛してるから他の奴に惚れることはない。まぁ、俺みたいなやつが惚れるだけあってアイツもアイツでちょっとアレだったが。いや、今は関係ないな。
「なら大丈夫ね。今電話で呼ぶから少し待っててね。このホテルまでそう遠くないはずだから」
そう言って携帯でどこかに電話をかけ始めた。そういえば俺もミシェも携帯持ってないなぁ。
「ん、今来るって。リバース様に会えるって言ったからすぐに来るわよ」
からかうように言ってくる。この夫婦は俺と歳が近いみたいでかなり気安い。俺もその方が気を使わなくていいから楽だ。まぁ、誰が相手でも気を使ったりはしないんだが。
「ああそうだ、逆巻さん。我々に何かできることはありませんか?お礼がしたいんです」
「?既に対価はもらってるぞ?」
「いえ、それは愛佳が払った対価です。あの子は既に自分で5000万以上稼いでいますから。我々はそれを別にして娘を助けてもらったお礼をしたいのです」
「お礼なぁ」
こういう場合は素直にもらっておいた方がいい。特に遠慮する理由もないし。何か欲しいものはあったかと考えるが大抵のものは自分で作れるから欲しいものは特に思いつかない。唯一作れない料理か、と思ったが一回奢って貰うくらいで納得するとも思わない。
、、、、、、、ああ、そうだ。
「なら人を1人紹介してくれないか?」
「人を?誰だろう。僕は貿易会社をやっているから国外なら知り合いは多いし、国内なら大抵は父さんが知り合いだと思うよ」
「ああ、儂の知り合いならばなんとか都合をつけよう」
「ん、そういうことじゃないんだ」
自分の言い方が悪かったことに気がついて訂正する。
「なんていえばいいか、、、商人、じゃなくて代理販売?をやってくれるやつが欲しいんだ」
「あんまり大っぴらにできないものをお金にしたいなら僕の方で買い取るけど」
「ん〜、見てもらった方が早いな。ミシェ、リストを出してくれ」
「はい、マスター」
説明がめんどくさくなった俺はミシェに頼む。ミシェは持ってきていたパソコンを取り出した。このパソコンには色々物を入れている異空間(単純に倉庫と呼んでいるが)にアクセスできるようにしてある。つまり異空間の倉庫に入れてあるものの一覧を写真付きで見れるのだ。
「マスター」
「おう。これを見てくれ」
4人に画面を見せる。4人は覗き込むようにして画面を見る。
「これは、、実物を見て見ないことには何とも言えないがデザインを見る限り素晴らしいものばかりだ」
「ええ、本当。ネックレスやイヤリング、ティアラまであるわ」
「ふむ、なるほど。これらの財産を金に換えたいということかね」
爺さんが納得した方に言ってくるが訂正する。
「いや、これは俺が創ったんだよ」
「なんだって?」
「え?」
「なんと!」
「まぁ!」
俺の言葉に4者4様に驚く。
「俺はもともとこっちが本職だからな」
「そうだったのか。てっきり医療関係の何かかと思ってたのだけど」
「ふむ。やっとわかったぞ。つまりお主が創ったものを代わりに売ってくれる人が必要なんだな?」
「そういうことだ。面倒だから俺は表に出るつもりはない。正体不明の人間が創ったってことでいいだろう。偽名かなんか使えば」
「それは大丈夫だと思うよ」
「条件としては頭の柔らかいやつがいいな。それから依頼を受けたりはしないし、納期とかもなしだ。俺は好きな時に好きなものを創るからそれを売れる人がいいんだ」
かなりワガママな条件だがこれは譲るつもりはない。俺はやりたいことしかやらない。
「そういうことか。それならばかなり人が限られるな。逆巻さんが創ったものは十中八九高額で売れるだろう。そうなると欲が出て逆巻さんにもっと創れと言いだしかねない。そうならない人材を探さないとダメだね」
そうなのだ。売れると分かれば飢えた獣のごとくがっついてくるのが商売人だ。
「アクセサリー類なら1人心当たりがあるわ。その人を紹介するわよ」
愛梨がそう言った。
「あー、ちょっと下にスクロールしていってくれ。アクセサリーだけじゃないんだ」
「おお、衣服の類もあるな。これは見たことないものもある。どこかの民族衣装かね?」
「まぁ、こっちには剣や鎧なんていうものもあるわ」
老人2人が画面を見ながら反応する。
「ああ。服の類もあるし武器もある。武器は日本じゃ銃刀法違反だが斬れ味や使い勝手も本物だ。刃引きもしてないし鎧も実用に耐えられるやつだぞ」
胸を張って自慢してやる。職人が自分が創ったものを自慢するのは当然のことである。
「服の方は私の知り合いに当たりましょう」
「なら他の武器類は僕が探すことにするよ。日本国内じゃ流せないからね。海外の物好きにツテのある人を当たってみるよ」
服は婆さんが、武器は直継が担当することになった。もちろん武器は魔法関係のものは除外してある。
「ならば儂は情報統制を担当しよう。お主の身元が分からぬようにしておこう。偽名は、、、、、リバースで良かろう」
というわけで謎の職人リバースとしてものを売ることになった。これで継続的に金を稼ぐことができるので金に困ることはないだろう。
こうして人材を紹介してくれる話がまとまったところで
タッタッタッタッタッ       バタンッ!
「リバース様!」
歌姫の登場である。
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