生産職を極めた勇者が帰還してイージーモードで楽しみます
悪巧み
「ふぁああぅ」
ホテルのフカフカのベッドで熟睡した俺は目を覚まして、伸びをする。
「おはようございます、マスター」
部屋に備え付けの机でパソコンに向き合っていた少女が声をかけてくる。
「おはようさん、ミシェ」
そう。ミシェである。ミシェは妖精型ではあるが向こうにいた時に何かと不便があったので人としての器も創ったのだ。見た目は金髪と青い眼の10代半ばの少女だ。
これを創るのに俺はとても苦労した。ホムンクルス自体は創れるし、魂はミシェが乗り移ればいいが見た目の造形だけは俺の腕にかかっていた。美少女でありつつ、美しすぎないように。最初は黄金比で創ったのだが完成されすぎてて人形めいていたためやめた。ちょっとバランスを崩しつつ、美しさを損ない過ぎないようにするのが大変だったのだ。
身体のスペックは標準より高め程度で押さえてある。ミシェの本質はそこではないのであまり物理戦闘力は強化しなかった。
「ん〜、調子はどうだ?」
「はい。このインターネットというものはとても便利です!」
「そうか、そりゃ良かった」
昨日の夜、この世界を知るのに手っ取り早いということでミシェにノートパソコンを買ってやったのだ。Wi-Fiだとかウイルスバスターだとかで手間取ったがなんとか形にして俺は寝た。ミシェは一晩中パソコンを弄っていたのだろう。
ミシェは睡眠が必要ない。それどころか食事も排泄も必要ない。三大欲求も全てなくしてある。そこまで人間に寄せる必要性は感じなかった。
そのかわり与えたのが知識欲である。未知へ興味を持ち、学習し、成長していく。AIのような機能をつけたのだ。
成長し過ぎて反抗するのではと思うかもしれないが俺はそれでもいい。魔王すら屠った俺を超える存在が現れるのならばそれもまた面白い。
「それでマスター。今日は何をしますか?」
「そうだな。出来れば戸籍を手に入れたい。これから大金を稼いで金を保管しておくのに銀行の口座を作りたいが多分身分証が必要になる」
「お金を保管するのならば異次元に入れておけばいいのでは?」
「銀行に預けると金利っていってちょっとずつ増えるんだよ。それに大金が消えれば金の動きにさといやつは気がつくかもしれん」
「成る程」
「で問題はどうやって作るか、だ」
それが一番の問題だ。15までしかいなかったせいで俺も日本のそういうやつは詳しくないんだよな。
「マスター、向こうでしたように宰相を脅せばいいのでは?この国の貴族、、、国会議員でしたか、その人達を脅せばいいと思います」
「あ〜、ダメだな。なんかこの国の国会議員っていつもメディアた囲まれてるイメージある。そいつらを脅したらバレそうだ。
、、、、、あ、そうだ。文官はどうだ?裏方のやつならあんまりバレないだろ」
「文官は、ちょっと待ってください、、、、、、、ありました。官僚と呼ぶそうです」
「じゃあそいつらを調べてくれ」
ミシェに情報収集をさせて俺は朝風呂に入ってルームサービスで朝食を食べる。
「う〜ん、マスター。やはりインターネットから弱みを見つけるのは難しいと思います」
「だよなぁ。っていうか今回は脅すんじゃなくて取り引きする方向でいこう」
「取り引きですか?脅迫ではダメなのですか?」
「脅迫だと怨みを買うだろ?俺達はまだ日本のことに詳しくないからさ。せめて協力者が出来てからにすべきだ」
「成る程。マスターはどんな病でも治すことができるエリクサーを創れる唯一の人ですからね。不治の病の人を助ければいいのですね?」
「そうだ」
「少し調べてみます」
情報収集をミシェに任せて俺はホテルを出る。日課の鍛錬をするためだ。人気のないところに行って結界を張ってから剣を振る。人よけの結界を張ってるからいいが日本で剣を振るってるとか厨二病確定だ。もしくは警察呼ばれる。
一通り鍛錬した後、部屋に戻ってもう一度シャワーを浴びる。別に綺麗好きというわけではないが向こうの世界では風呂なんてなくて濡れたタオルで体を拭くだけだったので今は風呂のありがたみを実感しているのだ。
「あ、マスター。ちょうどいいところに、1人見つけましたよ」
「ん、どれどれ」
そこには官僚のうちの1人の娘が重い病でもうそろそろ本格的にやばいから仕事を辞めて娘といることにする、とかなんとか書いてあった。
ちょうどいいのが見つかって良かったんだがその情報はSNSから見つけてきたようだ。もうそんなものまで使いこなしているとは流石はミシェ、俺が創っただけはある。
「じゃあ、ターゲットは柴崎亮一郎で決定」
誰に接触するかが決まったところで準備に取り掛かる。
「ミシェ、俺はエリクサー創ってくるからお前は好きにしていていいぞ」
「わかりました」
ミシェはそう言ってまたパソコンと向かい合う。多分あの様子だと1週間もあれば完全に使いこなせるようになる。1ヶ月もあればハッキングとかもできるんじゃないかな?それくらいチートな学習能力を植え付けてある。
「じゃあ俺は俺でやることやりますか。
《開門:聖域》」
俺は世界を渡った時に使った鍵でもう一度門を開ける。繋ぐ先は俺が創った箱庭だ。異世界とも別で俺だけの世界だ。生き物はいない。ここでは希少な植物とかを育てているのだ。
「えっと、エリクサーの材料は、世界樹の葉、深海の水、溶岩の中にできる鉱石、七枚羽根、月の雫だったか。どれも取ってくるのが厳しすぎる場所にあるからいけないんだよな」
俺はそれらを自分で育てているから容易に確保できるのだ。
「これをオリハルコン製の鍋で煮立たせて、順番を間違えないように入れて、《錬金》して、《魔導制御》して、魔法を使って一瞬で凍らせた後、弱火でじっくりと溶かす」
これで完成。試験管一本分の金色の液体が出来た。これがエリクサーである。ついでだからあと10本くらい創って貯めておくか。
「ふんふんふふんっと」
じゃあ今晩にでも動き出しますか。
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