100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。

しみずん

打ち上げ話 全員でいっせいに、

「いやあ、終わったね! おじいちゃん、お姉ちゃん」

「終われて良かった……。一時はどうなる事かと思いましたよ」

「ホッホッホッ! じゃな。ここだけの話、ストーリーはかなり右往左往しておったようじゃよ」

「そうなの!?」

「うむ。ワシ達を根気よく、のんびりと育ててスローライフを楽しむつもりじゃったらしい」

「それがまさかのハイペースで大魔王討伐に成功して、そしてまずまずのエンディングを迎える事が出来た」

「奇跡じゃの。ワシ等、奇跡を巻き起こしたの」

「だね! 楽しかったー!」

「それにしても勇者様、遅いですね」

「ふむ、買い出しに出かけてそろそろ1時間が経とうとしておるが……」

「もういいんじゃない? 先に終わっちゃおうよ!」

「じゃの」

「いいのでしょうか?」

「みんなー! いままでありがとう! またね!」



              完
























「終われるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



















「ああ!? 兄貴! 何で『完』を蹴ったの!?」

『ウ』『元』

「あ……『完』の字が上下バラバラに……」

「ありゃりゃ、『完』の字が壊れてしまったのう……相変わらずの勢い、さすが全力勇者じゃ!」

「さすがなのはお前達! よくもまあ、主人公不在で終わろうと思えたよね。なに考えてんの!? 信じられない、天才的、ドS、そういうの大好き」

「だって兄貴の帰りが遅いから……」

「せっかくだからみんなで打ち上げしようって話だったろ!? 楽しもうって! だから俺が色々と買い出し行ったんじゃねえかよ! それでなんで終わらせようとしてんだよ!」

「だって、もうお決まりでしょう」

「じゃな」

「うんっ!」

「やあ! どうやら間に合ったようだね」

「そのようですね」

「ぬっ? お主達は?」

「ああ、俺の親父と……お手伝いさん」

「お手伝いさんって……」

「「「お父さん!?」」」

「うん。色々と信じられないかもしれないけど。俺の親父だ」

「僕の息子がずいぶんお世話になったみたいだね、ありがとう仲良くしてくれて。そしてこれからもよろしくね」

「ここで間違いないのか?」

「そうみたいですけど……あっ! いた! あそこほら!」

「お父さん!? お母さんも!? 何でここに!? 木こりの仲間達も……」

「買い出しのついでに俺が色々な所まわって声かけてきたんだよ。打ち上げやるから、みんな来て! って」

「爺さん! ほらっ! 出来たよ。肉じゃがだよ」

「おおおおおおお! 婆さんじゃ! 肉じゃがじゃ! やったやったやった! ……………………やっぱり煮込み過ぎじゃないか? ドロドロじゃが……」

「こらあ! 行事がある時はちゃんと言えって言ったろうが、バカ息子!」

「ああっ……ごめん母ちゃん。痛っ! 痛いって! 痛いの嫌なんだって!」

「ここにおるのか? あの……道具、ドーグ、土偶? なんじゃっけ? 爺さん、昨日食べたドーグはどこ行ったんじゃ?」

「……トイレの奥……」

「おお! 迷える子羊よ! 出張の代金を寄付してください! 結構歩いたので90000Gになります」

「でたなっ! ぼったくり神父! お前は呼んでない筈だぞ!」

「勇者様! 私です、お久しぶりです! 店長も一緒ですよ!」

「おお!? 武器屋の可愛い子ちゃん! と、店長」

「店長もテンション上げて呼んでくれよ……高額査定してあげたじゃん……」

「勇者様! ようやく追いつきました! さあ、私と一緒に魔王を……」

「ああ、もう倒しちゃった。ごめんね……」

「長旅でお疲れでしょう? どうぞ当店でお休みください! 特別サービス実施中ですよ!」

「おお!? あの時の綺麗なお姉さん! そうなんです! 心底疲れ果てて死にそうなんです! 打ち上げが終わったら一緒に宿屋へ向かいましょう!」

「よう! 武器の調子はどうだ?」

「おお! 色々楽しませて貰ったぜ、何とか最後は和解したみたいだし」

「エックス兄さんここだよ! 早く早く!」

「おいおい、引っ張るなよカリバー!」

「待ってよ! 置いていかないでよ、エックス、カリバー、ヒス!」

「ジャス! 早くしないと終わっちゃうじゃない! ほら早く!」

「フフフ。皆、まるで子供のようですねえ……よおし、私も負けませんよ! 頭脳だけでは無い所を見せてあげましょう!」

「ホッホッホッ! ずいぶんと大人数になったもんじゃ。これでは料理が足らんじゃろ、どれ……」

「うお!? 何か出た! ス……ステーキ出た!? パンにスープも……ポテチにサラダまで! 遂に出た! お茶以外が遂に出た!」

《52:30》

「遂に……出た? 何これ? お姉ちゃん何これ?」

「時計……かしら」

「あ? 何で時計がこんな所に?」 

《52:08》

「もしかして、カウントダウンかのう? と言うことは……どういう事じゃ?」

「普通に考えて、終わりが近づいている、とかでしょうか?」

「終わり? エンディング?」

「本編ならとっくに、エンディング迎えたじゃねえか。今更なんのエンディングだよ」

「……この世界の……エンディング……とか?」

《49:59》

「ちなみにエンディング迎えるとどうなるんだ? 教えてくれ! お嬢ちゃん」

「それは……私にも……」

「世界のエンディング。世界崩壊。しゃ……最終決戦!」

《47:30》

「時間がどんどん減っています」

「ふうむ。お別れをしておいた方がええのかもしれんな」

「だな。本当に世界が終わっちまったら、洒落にならねえし……少年。一応お別れ言っとけよ」

「じゃあ……僕から。えー皆さん、僕達の大冒険は楽しんで貰えたかな? ドタバタの大冒険で一息つく間もないくらいに大変だったけれど、僕は一生忘れられない良い思い出になったよ! ありがとう! 僕達の事を絶対に忘れないでね!」

「ふむ、次はワシかのう? あー皆さんや、他ではあまり見かけないような変な大冒険じゃったが、少しは楽しめたかのう? そうかい、なら良かったよ。ワシ達も毎日ドキドキワクワクしっぱなしじゃったんじゃよ。この大冒険は死ぬまで忘れられんじゃろうな、いや、ワシは死んでも忘れはせん。ホッホッホッ! じゃあ、また会う日までさようならじゃ!」

「次は私ですか……。今までありがとうございました。私達の物語は楽しんで頂けたでしょうか? たとえ数人でも、数秒でも、一瞬でもあなたを笑顔に出来たのなら幸せです。私達の物語はここでおしまいですけど、私達はいつまでも変わらずにここで待っています。いえ……。いつまでも変わらないように、その為に、少しづつ変わりながらあなたがまた私達に会いに来てくれる日を心待ちにしています。それでは長くなりましたが、今までありがとうございました」

《43:12》

「ずいぶん時間が減ってきたな……」

「兄貴も早くお別れ済ませなよ」

「焦らなくても、まだ時間は……」

《00:31》

「何でだぁぁぁ!? 何で俺の時だけ!?」

「うわわわわ! 兄貴やばいよ、時間が……」

「ホッホッホッ! 相変わらずドタバタ勇者じゃ」

「勇者様! 早く!」

《00:12》

「あああっ! もういいや! 俺の言いたい事は、みんなが言ってくれたからっ!」

《00:05》

「おーい! 最後はみんなで一斉に行くぞ! せーのっ!」








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 最後まで読んでくれてありがとう!!」」」」」」」」」」」」」」









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