100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。
45話 おいで、
「ねえ? エックス?」
魔星に墜つ暗黒王の悪夢の問い掛けに右手のエックスカリバーが共鳴するように語り出す。
「ナイトメア……何て言ったらいいのか分からないけど、とにかくごめん俺が悪かった……」
「エックス兄さん……」
「悪かったっていう認識はあったんだねー! じゃあヒス! やっぱりカリバーの言ってた通りだったと。カリバーの勝ちって事か!?」
「その様ですね」
「だいたい、どう考えてもおかしいでしょう? あなた達兄弟は、決して向いていない武具ですよねえ?」
「そうだよねー! 僕も当然そう思ったんだけれど、もしかしたらって思っちゃってさあ!」
「そうですね。すでに決まっている未来はなにも面白くないですもの、少しでも面白味の、可能性のある方に賭けた方が楽しいですものね」
「俺はやっぱり……生まれてくるべきじゃなかったんだ。お前もそう思うだろ? カリバー?」
「思わないよ! 思うわけがない! 兄さんが兄さんじゃなかったら僕なんて、とっくの昔に売りに出されていたさ! でも……。兄さんが兄さんだった! 兄さんが兄さんでいてくれた! だから今の僕はここにあるんだ! 兄さんのお陰で助けられている武具もたくさんあるんだ。だから兄さん、自分に自信を持って!」
「本当にもう……あなた達、兄弟ときたら……。やはり私が間違っていたのでしょうかねえ……こう見えても私の中には常に、自分は間違っているんじゃないだろうか? という考えはありました。しかし、最高の頭脳を持って生まれた私が間違っているだなんて、どう考えても納得出来ないし、理解が出来なかった」
「ナイトメアそんな事はないよ……。リーダーは君だよ、君にはリーダーの素質が十分すぎる程にある、だけどあの日、俺が勝手な真似をしてしまったから……」
「兄さんには申し訳ないけれど、確かにそれは事実だ。ナイトメアには……リーダーの素質がある……兄さんよりもずっと」
「でも、違ったんだよねー! 運命がリーダーに選んだのは……」
「エックス、あなただった……」
「…………」
「……あなたが、あの作戦で下した判断。あれは私の頭では考えも出来ないような選択でした……私が下した判断は、総員待避。でも、あなたは総員迎え撃て! でしたね? 覚えていますとも、忘れた時なんて一時もない。あんなにも巨大なエネルギー体を迎え撃つなんてバカ以外、考えもしませんから……あなたを慕う部下達は皆あなたに感化されてバカになっていたのでしょうかねえ?」
「…………」
「ふふふ……結局、ほぼ全員で迎え撃ったあなたの判断は正しく見事エネルギー体を跳ねのけ全員が無事生還。私の命令に従った数名の命は……消えてしまいました、リーダーだった私一人を残して……」
「あんな状況で、一番正しい判断なんて誰も出来る訳ないって。最高の頭脳を持つ君だって出来なかった事なんだからさー! 全部リーダーの責任にするのは卑怯だよ」
「ジャス……」
「ええ。もしエックスとナイトメア、2人が逆の立場になっていても、何の不思議もありません」
「ヒスまで……」
「お前達……」
「困りましたねえ……」
「とは、言ってもさー! いつまでも過去を引きずってちゃ、何も始まらないだろう?」
「ええ。私達の過去は決して水に流してはならない。でも……それでも、前に進む事は出来る筈です。もう二度とあんな事を起こさない為に、今の私達がやるべき事がある筈です」
「兄さん!」
「ナイトメア……いや。リーダー、俺は知っての通りどうしようもないバカだから、どうすれば皆が幸せになるのか分からない。だから、お前の最高の頭脳で俺達を幸せへと導いてくれ!」
「エックス……本当に出来の悪い部下を持つと上司は大変ですねえ。まあ、あなた方が起こす珍事件をいつも楽しませて貰っているのも事実ですが……。しかし最高の頭脳を持っていても出来ない事もある。あなたのような、真っ直ぐなバカさ加減は私にはありませんから……」
「ナイトメア……」
「協力してくれますか? エックス」
「え?」
「二人でリーダーを務めましょう。残念ながら部下達は、あなたを慕っているようですしねえ?」
「それは……」
「凄いよ兄さん! 二人なら絶対やれるよ!」
「行きましょう! 私達の新たな道へ」
「そうだねー! また仲良くしようよ!」
「お前達……」
あの日以来ずっと心配はしていたんだけど、何とか話はまとまったようだ。
良かった。
ナイトメアは大剣豪ケンゴの胸から浮き上がり村長の前にゆっくりと歩みよった。
「さて……そういう事ですので、宜しくお願いしますよ。マスター?」
村長はにっこりと微笑み両手を広げて。
「――おいで」
最長老の杖と魔星に墜つ暗黒王の悪夢が一つに重なり、辺りに目も開けられないくらいの光が広がって、次に目を開けた俺達の視線の先にあったものは、新たな杖を孫のように胸に抱きしめる村長の姿だった。
――――――――――
世界を創造せし悠久の賢者ガウスの子孫
Lv     77
HP     373/373
MP    ありがとう
職業 村長
装備 ガウスの杖
守りのクリスタル
水仙人のローブ
水仙人の靴
水仙人のバンダナ
お金 0G
状態 腰痛(弱)
――――――――――
本当にガウス様のSOSだったのかも知れない。
魔星に墜つ暗黒王の悪夢の問い掛けに右手のエックスカリバーが共鳴するように語り出す。
「ナイトメア……何て言ったらいいのか分からないけど、とにかくごめん俺が悪かった……」
「エックス兄さん……」
「悪かったっていう認識はあったんだねー! じゃあヒス! やっぱりカリバーの言ってた通りだったと。カリバーの勝ちって事か!?」
「その様ですね」
「だいたい、どう考えてもおかしいでしょう? あなた達兄弟は、決して向いていない武具ですよねえ?」
「そうだよねー! 僕も当然そう思ったんだけれど、もしかしたらって思っちゃってさあ!」
「そうですね。すでに決まっている未来はなにも面白くないですもの、少しでも面白味の、可能性のある方に賭けた方が楽しいですものね」
「俺はやっぱり……生まれてくるべきじゃなかったんだ。お前もそう思うだろ? カリバー?」
「思わないよ! 思うわけがない! 兄さんが兄さんじゃなかったら僕なんて、とっくの昔に売りに出されていたさ! でも……。兄さんが兄さんだった! 兄さんが兄さんでいてくれた! だから今の僕はここにあるんだ! 兄さんのお陰で助けられている武具もたくさんあるんだ。だから兄さん、自分に自信を持って!」
「本当にもう……あなた達、兄弟ときたら……。やはり私が間違っていたのでしょうかねえ……こう見えても私の中には常に、自分は間違っているんじゃないだろうか? という考えはありました。しかし、最高の頭脳を持って生まれた私が間違っているだなんて、どう考えても納得出来ないし、理解が出来なかった」
「ナイトメアそんな事はないよ……。リーダーは君だよ、君にはリーダーの素質が十分すぎる程にある、だけどあの日、俺が勝手な真似をしてしまったから……」
「兄さんには申し訳ないけれど、確かにそれは事実だ。ナイトメアには……リーダーの素質がある……兄さんよりもずっと」
「でも、違ったんだよねー! 運命がリーダーに選んだのは……」
「エックス、あなただった……」
「…………」
「……あなたが、あの作戦で下した判断。あれは私の頭では考えも出来ないような選択でした……私が下した判断は、総員待避。でも、あなたは総員迎え撃て! でしたね? 覚えていますとも、忘れた時なんて一時もない。あんなにも巨大なエネルギー体を迎え撃つなんてバカ以外、考えもしませんから……あなたを慕う部下達は皆あなたに感化されてバカになっていたのでしょうかねえ?」
「…………」
「ふふふ……結局、ほぼ全員で迎え撃ったあなたの判断は正しく見事エネルギー体を跳ねのけ全員が無事生還。私の命令に従った数名の命は……消えてしまいました、リーダーだった私一人を残して……」
「あんな状況で、一番正しい判断なんて誰も出来る訳ないって。最高の頭脳を持つ君だって出来なかった事なんだからさー! 全部リーダーの責任にするのは卑怯だよ」
「ジャス……」
「ええ。もしエックスとナイトメア、2人が逆の立場になっていても、何の不思議もありません」
「ヒスまで……」
「お前達……」
「困りましたねえ……」
「とは、言ってもさー! いつまでも過去を引きずってちゃ、何も始まらないだろう?」
「ええ。私達の過去は決して水に流してはならない。でも……それでも、前に進む事は出来る筈です。もう二度とあんな事を起こさない為に、今の私達がやるべき事がある筈です」
「兄さん!」
「ナイトメア……いや。リーダー、俺は知っての通りどうしようもないバカだから、どうすれば皆が幸せになるのか分からない。だから、お前の最高の頭脳で俺達を幸せへと導いてくれ!」
「エックス……本当に出来の悪い部下を持つと上司は大変ですねえ。まあ、あなた方が起こす珍事件をいつも楽しませて貰っているのも事実ですが……。しかし最高の頭脳を持っていても出来ない事もある。あなたのような、真っ直ぐなバカさ加減は私にはありませんから……」
「ナイトメア……」
「協力してくれますか? エックス」
「え?」
「二人でリーダーを務めましょう。残念ながら部下達は、あなたを慕っているようですしねえ?」
「それは……」
「凄いよ兄さん! 二人なら絶対やれるよ!」
「行きましょう! 私達の新たな道へ」
「そうだねー! また仲良くしようよ!」
「お前達……」
あの日以来ずっと心配はしていたんだけど、何とか話はまとまったようだ。
良かった。
ナイトメアは大剣豪ケンゴの胸から浮き上がり村長の前にゆっくりと歩みよった。
「さて……そういう事ですので、宜しくお願いしますよ。マスター?」
村長はにっこりと微笑み両手を広げて。
「――おいで」
最長老の杖と魔星に墜つ暗黒王の悪夢が一つに重なり、辺りに目も開けられないくらいの光が広がって、次に目を開けた俺達の視線の先にあったものは、新たな杖を孫のように胸に抱きしめる村長の姿だった。
――――――――――
世界を創造せし悠久の賢者ガウスの子孫
Lv     77
HP     373/373
MP    ありがとう
職業 村長
装備 ガウスの杖
守りのクリスタル
水仙人のローブ
水仙人の靴
水仙人のバンダナ
お金 0G
状態 腰痛(弱)
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本当にガウス様のSOSだったのかも知れない。
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