100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。
39話 純度
9日間目の陽が沈んで本日もチャレンジ終了となり、俺達は盗賊の森の出口付近にあった小屋に戻ってきた。というのも、この9日間を小屋で寝泊まりしチャレンジを続けていたのだ。
「今日もダメじゃったのう……少年よ、何かコツでもあるのかのう?」
「コツは……分かんない。適当に投げただけだから、運が良かっただけだよきっと」
「そうかあ、悔しいのう」
「疲れた……早くお風呂に入りたい」
「じゃあお嬢さんや、ちょっと待ってなさい」
「はい、お願いします。村長様」
村長は一旦、小屋から出てお風呂のある裏に回り、中に入る。
風呂桶に杖を差し込み意識を集中する。
すると一瞬で風呂桶が水で満たされた。更に、
水に浸された杖を見つめていると風呂桶から湯気が立ち上り出した。水は一瞬でお湯へと変化した。
「ふむ、これくらいかのう?」
村長は再度、表に回って小屋に入り『ええぞい、お嬢さんや』と言い腰を下ろした。無詠唱の魔法が使える村長はイメージするだけで大抵の事が出来てしまう、とても便利……、とても頼りになる村長だった。
「ありがとうございます。村長様」
「ゆっくりしておいで」
「じゃあ僕。お願いね?」
「うん! 安心してお風呂入ってきていいよ!」
お嬢ちゃんはお風呂セットを持って小屋を出た。
「ところで少年よ。何に安心するのかね?」
「ん? 僕が兄貴を見張ってるから安心してお風呂入ってねって事」
「あのなあ……俺は勇者だぞ? 覗きとかそんな卑劣な真似するわけないだろうがっ!」
「覗こうとしたよね? 何度も」
「ぬっ! だからあれは、お嬢ちゃんの身に危険を感じたから、ちょっと様子を見に行っただけだといったろう!」
「あんな顔で?」
「あんな、とは?」
「んー。僕からエロ本を横取りしようとしてた時の顔かな? 全体的にびよーんってなった顔、スケベ顔」
「失敬な。あれは小顔エクササイズだ、これからは男も綺麗になる時代なのだ」
「まあまあ、勇者殿。少しは落ち着いてお茶でも飲まんか?」
言って、村長は杖先からお茶を出し湯飲みに入れて、こちらに渡してきた。俺は受け取って火傷しないように、慎重にそれを飲む。
当然、最初はかなりの抵抗があって飲めなかった。だって杖から出てきたお茶だぜ!? なに茶だよ。
そのうち、醤油とか、ドレッシングとか、パンとか、ステーキとか出てくるんじゃないかと期待しているけれど、今の所それは無いようだ。
「まあ、なんだ。分かりやすく言うと、俺はお嬢ちゃんを心配してるんだよ。あんなに可愛いお嬢ちゃんだぜ!? 皆、絶対お近づきになりたいと思ってるよ。そして俺はスケペイさんによろしく言われちゃってるから、何としてもお嬢ちゃんの身の安全を護らなければならないのですっ! それでは勇者、猛。見回りに行ってまいります! お二人は疲れているでしょうから、どうぞ寝ていて下さい!」
言ってると。
「とても気持ちよかったです。ありがとうございました村長様」
「あっ――お嬢ちゃん、もうあがったのかい……」
「ええ。何だか身の危険を感じたので」
「そっ……そう。無事でなによりだよ。じゃあ次、俺入ろうかな!」
「兄貴! 俺も一緒に入る! 潜って遊ぼうよ!」
「ダメだ! 絶対ダメだ! 少年は村長と入りなさい! これは決定事項だ!」
「ええ!? 何でだよ……」
「何でって――純度が落ちるだろうが」
こうして、慌ただしい修行9日間目が終わった。
「今日もダメじゃったのう……少年よ、何かコツでもあるのかのう?」
「コツは……分かんない。適当に投げただけだから、運が良かっただけだよきっと」
「そうかあ、悔しいのう」
「疲れた……早くお風呂に入りたい」
「じゃあお嬢さんや、ちょっと待ってなさい」
「はい、お願いします。村長様」
村長は一旦、小屋から出てお風呂のある裏に回り、中に入る。
風呂桶に杖を差し込み意識を集中する。
すると一瞬で風呂桶が水で満たされた。更に、
水に浸された杖を見つめていると風呂桶から湯気が立ち上り出した。水は一瞬でお湯へと変化した。
「ふむ、これくらいかのう?」
村長は再度、表に回って小屋に入り『ええぞい、お嬢さんや』と言い腰を下ろした。無詠唱の魔法が使える村長はイメージするだけで大抵の事が出来てしまう、とても便利……、とても頼りになる村長だった。
「ありがとうございます。村長様」
「ゆっくりしておいで」
「じゃあ僕。お願いね?」
「うん! 安心してお風呂入ってきていいよ!」
お嬢ちゃんはお風呂セットを持って小屋を出た。
「ところで少年よ。何に安心するのかね?」
「ん? 僕が兄貴を見張ってるから安心してお風呂入ってねって事」
「あのなあ……俺は勇者だぞ? 覗きとかそんな卑劣な真似するわけないだろうがっ!」
「覗こうとしたよね? 何度も」
「ぬっ! だからあれは、お嬢ちゃんの身に危険を感じたから、ちょっと様子を見に行っただけだといったろう!」
「あんな顔で?」
「あんな、とは?」
「んー。僕からエロ本を横取りしようとしてた時の顔かな? 全体的にびよーんってなった顔、スケベ顔」
「失敬な。あれは小顔エクササイズだ、これからは男も綺麗になる時代なのだ」
「まあまあ、勇者殿。少しは落ち着いてお茶でも飲まんか?」
言って、村長は杖先からお茶を出し湯飲みに入れて、こちらに渡してきた。俺は受け取って火傷しないように、慎重にそれを飲む。
当然、最初はかなりの抵抗があって飲めなかった。だって杖から出てきたお茶だぜ!? なに茶だよ。
そのうち、醤油とか、ドレッシングとか、パンとか、ステーキとか出てくるんじゃないかと期待しているけれど、今の所それは無いようだ。
「まあ、なんだ。分かりやすく言うと、俺はお嬢ちゃんを心配してるんだよ。あんなに可愛いお嬢ちゃんだぜ!? 皆、絶対お近づきになりたいと思ってるよ。そして俺はスケペイさんによろしく言われちゃってるから、何としてもお嬢ちゃんの身の安全を護らなければならないのですっ! それでは勇者、猛。見回りに行ってまいります! お二人は疲れているでしょうから、どうぞ寝ていて下さい!」
言ってると。
「とても気持ちよかったです。ありがとうございました村長様」
「あっ――お嬢ちゃん、もうあがったのかい……」
「ええ。何だか身の危険を感じたので」
「そっ……そう。無事でなによりだよ。じゃあ次、俺入ろうかな!」
「兄貴! 俺も一緒に入る! 潜って遊ぼうよ!」
「ダメだ! 絶対ダメだ! 少年は村長と入りなさい! これは決定事項だ!」
「ええ!? 何でだよ……」
「何でって――純度が落ちるだろうが」
こうして、慌ただしい修行9日間目が終わった。
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