100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。
34話 お嬢ちゃんの正体
「ホッホッホッ! ホッホッホッ! 今日はまた身体の調子がええのう!」
「あんまり飛ばしまくるなよ!? 村長!」
「ホッホッホッ! ホッホッホッ!」
俺達は4人パーティーになり、順調に戦闘を勝ち続けていた。村長と再開して今日で5日目、少年とお嬢ちゃんのLvも随分と上がってきて、例の症状が落ち着いてきたように感じる。(背後をとっても攻撃してこなくなった)
「「はぁ、はぁ……はぁ」」
「そろそろ休憩しようか?」
「いえ……まだ、やれます。なめないで」
「うん、大丈夫……だよっ」
「ホッホッホッ! 急いては事を仕損じるぞい?」
「うん、村長の言うとおりだよ。少し休もう」
俺達は毒泉場から少し離れた場所にある広場で休憩をとっていた。秋の少し肌寒い風が戦闘で火照った身体に、とても心地良く感じる。
「なんだか最近とっても身体が軽いんだよね! 夢から覚めたって言うか、頭にかかっていた霧が晴れた感じ?」
「私も変な声が聞こえなくなったし頭がスッキリした感じよ!」
「「えっ!?」」
「何これ! 声がダブって聞こえるっ!」
さっきまでの和やかな雰囲気がぶっ壊れる。
「 何これ?    何が起きてるの ︎」
――お嬢ちゃんの様子がおかしい。いや、様子がおかしいのは出会った頃からずっとなんだけど……でもさっきまでは酷いルビを振ったり、持ち前の知力を使ったインテリ系の嫌がらせが凄かったのだが今回は少し違うようだぞ? お嬢ちゃんの2回分の台詞が同時に発せられている? いや……裏と表か?
「ホッホッホッ! これはこれは、凄いのう。あれじゃ、あれ、ホーミーという奴じゃろ? 誰に教わったんじゃ?」
「ホーミーって何ですか?    村長様?」
「ホッホッホッ! ホーミーとはのう、楽器を弾きながら喋る事が出来る凄い特技なんじゃよ」
「はあ……。それってただの、ちょっと器用な人じゃねえかよ村長……。(音楽家なら当たり前に出来るレベルだ)ホーミーは喉から同時に2つの音を出すんだよ、確か。どこかの民族の最終奥義みたいなもんだ」
「しゃ、しゃ、最終奥義!? しゅごい! 同時に喋る、みたいな!?」
「最終奥義に興奮するな。高音と低音を同時に喋る……んだったかな?」
「いや、しかし見事なもんじゃ。人生長生きするもんじゃのう! ホッホッホッ! ステータスの特技とか魔法の一覧に何か書いてあるのかのう?」
「確認してみます。ステータス!」
――――――――――
お嬢ちゃん Lv33
力 615 (600・15)
守 408 (8・400)
早 550 (150・400)
魔 700 (350・350)
特技 ホーミー
――――――――――
「強くなってる……」
「うおっ!? すげえよ! 特技にホーミー入ってんじゃん!」
……俺より力馬鹿じゃん……。
「しゃ、最終。最終奥義っ! カッコいい!」
「ホッホッホッ! 頼もしいのう!」
「褒められたって嬉しくないもんっ!」
「「「んっ、なにいー!?」」」
つい先日までは武器のせいでかなり様子はおかしかったが、自身のLvが上がり武器の支配が弱まった今、見えてきたお嬢ちゃんの正体は……。
「「「ツ……ツンデレだとおおお!?」」」
サル目、ヒト科、ツンデレ属だと!? あの伝説の民族の生き残りなのか!? 確かに、言われてみれば……透けるような白い肌、気品の漂う端整な顔立ち、時折見せるヒステリックな凶暴性、最終奥義ホーミー。まさにツンデレ民族の特徴じゃねえか……。
「村長様!    いつも前に出すぎです!」
「おひょっ!?」
「僕もだよ!    前に前に出ないの!」
「しゃ、しゃ、最終……奥義!」
「勇者様も遊んでばっかり!」
「――っ!」
うおお……なんだこれ、怒られたのと同時に褒められたぞ。すげえムズムズする、なんかドキドキするー!
「何よ!    じろじろ見ないで!」
うわあ。そう、そうなんだよ。お嬢ちゃんは一般的にいうスタイル抜群ではないけれど、端整な顔立ちに、つんっとした冷たい表情、小柄な身体、幼さの残るその仕草や容姿はアイドル向きであり、その才能がある。ベネツィとかでやってそうなアイドルグループにお嬢ちゃんが入ったら即センターなんだろうな。歌って踊るお嬢ちゃんか、是非見てみたい。そして俺は絶対に推す、お嬢ちゃん推しだ。
ふと、スケペイさんの言葉を思い出す――
《最後の背中の一押ししてやってくれ》
まさかまさか、スケペイさんに頼まれた最後の背中の一押しとは――推し?
木こり達の楽園、アイドル酒場開店だろうか?
俺、木こりじゃないけど毎日行っちゃうよ。装備品売ってでも行くよ。
などと、ありえそうな未来を考えてほくそ笑んだ俺だった。
「あんまり飛ばしまくるなよ!? 村長!」
「ホッホッホッ! ホッホッホッ!」
俺達は4人パーティーになり、順調に戦闘を勝ち続けていた。村長と再開して今日で5日目、少年とお嬢ちゃんのLvも随分と上がってきて、例の症状が落ち着いてきたように感じる。(背後をとっても攻撃してこなくなった)
「「はぁ、はぁ……はぁ」」
「そろそろ休憩しようか?」
「いえ……まだ、やれます。なめないで」
「うん、大丈夫……だよっ」
「ホッホッホッ! 急いては事を仕損じるぞい?」
「うん、村長の言うとおりだよ。少し休もう」
俺達は毒泉場から少し離れた場所にある広場で休憩をとっていた。秋の少し肌寒い風が戦闘で火照った身体に、とても心地良く感じる。
「なんだか最近とっても身体が軽いんだよね! 夢から覚めたって言うか、頭にかかっていた霧が晴れた感じ?」
「私も変な声が聞こえなくなったし頭がスッキリした感じよ!」
「「えっ!?」」
「何これ! 声がダブって聞こえるっ!」
さっきまでの和やかな雰囲気がぶっ壊れる。
「 何これ?    何が起きてるの ︎」
――お嬢ちゃんの様子がおかしい。いや、様子がおかしいのは出会った頃からずっとなんだけど……でもさっきまでは酷いルビを振ったり、持ち前の知力を使ったインテリ系の嫌がらせが凄かったのだが今回は少し違うようだぞ? お嬢ちゃんの2回分の台詞が同時に発せられている? いや……裏と表か?
「ホッホッホッ! これはこれは、凄いのう。あれじゃ、あれ、ホーミーという奴じゃろ? 誰に教わったんじゃ?」
「ホーミーって何ですか?    村長様?」
「ホッホッホッ! ホーミーとはのう、楽器を弾きながら喋る事が出来る凄い特技なんじゃよ」
「はあ……。それってただの、ちょっと器用な人じゃねえかよ村長……。(音楽家なら当たり前に出来るレベルだ)ホーミーは喉から同時に2つの音を出すんだよ、確か。どこかの民族の最終奥義みたいなもんだ」
「しゃ、しゃ、最終奥義!? しゅごい! 同時に喋る、みたいな!?」
「最終奥義に興奮するな。高音と低音を同時に喋る……んだったかな?」
「いや、しかし見事なもんじゃ。人生長生きするもんじゃのう! ホッホッホッ! ステータスの特技とか魔法の一覧に何か書いてあるのかのう?」
「確認してみます。ステータス!」
――――――――――
お嬢ちゃん Lv33
力 615 (600・15)
守 408 (8・400)
早 550 (150・400)
魔 700 (350・350)
特技 ホーミー
――――――――――
「強くなってる……」
「うおっ!? すげえよ! 特技にホーミー入ってんじゃん!」
……俺より力馬鹿じゃん……。
「しゃ、最終。最終奥義っ! カッコいい!」
「ホッホッホッ! 頼もしいのう!」
「褒められたって嬉しくないもんっ!」
「「「んっ、なにいー!?」」」
つい先日までは武器のせいでかなり様子はおかしかったが、自身のLvが上がり武器の支配が弱まった今、見えてきたお嬢ちゃんの正体は……。
「「「ツ……ツンデレだとおおお!?」」」
サル目、ヒト科、ツンデレ属だと!? あの伝説の民族の生き残りなのか!? 確かに、言われてみれば……透けるような白い肌、気品の漂う端整な顔立ち、時折見せるヒステリックな凶暴性、最終奥義ホーミー。まさにツンデレ民族の特徴じゃねえか……。
「村長様!    いつも前に出すぎです!」
「おひょっ!?」
「僕もだよ!    前に前に出ないの!」
「しゃ、しゃ、最終……奥義!」
「勇者様も遊んでばっかり!」
「――っ!」
うおお……なんだこれ、怒られたのと同時に褒められたぞ。すげえムズムズする、なんかドキドキするー!
「何よ!    じろじろ見ないで!」
うわあ。そう、そうなんだよ。お嬢ちゃんは一般的にいうスタイル抜群ではないけれど、端整な顔立ちに、つんっとした冷たい表情、小柄な身体、幼さの残るその仕草や容姿はアイドル向きであり、その才能がある。ベネツィとかでやってそうなアイドルグループにお嬢ちゃんが入ったら即センターなんだろうな。歌って踊るお嬢ちゃんか、是非見てみたい。そして俺は絶対に推す、お嬢ちゃん推しだ。
ふと、スケペイさんの言葉を思い出す――
《最後の背中の一押ししてやってくれ》
まさかまさか、スケペイさんに頼まれた最後の背中の一押しとは――推し?
木こり達の楽園、アイドル酒場開店だろうか?
俺、木こりじゃないけど毎日行っちゃうよ。装備品売ってでも行くよ。
などと、ありえそうな未来を考えてほくそ笑んだ俺だった。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント