100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。

しみずん

31.5話 世界を創造せし悠久の賢者ガウス

 少しして、俺は胃薬草を口いっぱいに頬張って村長様のもとに帰ってきた。

「たふぁいま、ふぉんちょうはま」

「ホッホッホッ! 相変わらず元気じゃのう!」

 しかし最近、草ばっか食べてるな……肉食系勇者なんだけどな、俺。

 薬肉とか、毒消し肉とか、胃薬肉とかあればいいのに……。まあ、それは置いておいて。

 さあ、ずいぶん胃が楽になった! 来るなら来やがれ! これで最後だ。最大最強にして最高の謎。

「村長様……? あの、この名前なんですが……。
世界を創造せし悠久の賢者ガウスの子孫そんちょう。この『そんちょう』ってルビが今にも、引きちぎれそうなくらいに伸ばされてますけれど……ルビの悲鳴が聞こえるって言うか……不憫なんですけど」

「……? おお、本当じゃなあ! 気が付かんかった」

「…………」

 ……まずそこだろう?

 にしても、にしてもだ。恐ろしい名前が見えているんだが……。

――――ガウス――――

 かつて、人間がこの世界に生まれる前。荒れ果てた大地どころか、大地そのものが無かった暗黒に包まれた世界。そこには時間という概念さえもなかったと聞く。そんな闇の世界に突如として現れた一筋の謎の光。その謎の光から放たれた優しくも力強い光は、闇の世界全体を照らす程に広がり次の瞬間には世界は光と闇の二つに別れていた。そのちょうど真ん中、光と闇の混ざり合う所にこの世界を、大地を作り出し、謎の光は役目を終えたように姿を消した。その謎の光の正体こそが――――ガウス。

 という、この世界に古くから伝わる伝説で、よく大人が子供に話してあげるおとぎ話にもなっているのだ。そんなガウスの名前がなぜ村長に?

「あの……このガウスって……」

「ああ、ワシの祖父さんの、祖父さんの、そのまた祖父さんの……ワシの代わりにあと10回『祖父さんの』って、言って?」

「祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さんの、祖父さん」

「祖父さん一回多いじゃろう! 10回じゃ、10回!」

 細かいな……。

「じゃあワシは?」

 村長様は自分を指差してにっこりと笑う。

「……村長様?」

「うお!? 引っ掛からんかったか……やるのう、ホッホッホッ!」

 ……相変わらず可愛いじゃねえか。

「とにかくずっとずっと、ずうっと昔の祖父さんがそんな名前だったとかなんとか……幼い頃に聞いたがの。よく覚えておらんわい」

『ホッホッホッ!』と笑う村長様。

「まさかな……」

 でも。もし仮に村長様が、かの伝説の大賢者ガウスの子孫だとしたらどうだろう? 全ての謎に説明が付くんじゃないのか?

 謎1《光のヴェール》
 桁違いの魔力が身体から溢れ出て、その結果フルオートによる絶対防御壁の発生。

 謎2《燃え散ったゴブリン》
 規格外の魔力が武器に流れ出し、敵に接触させる事で無詠唱による魔法効果発動を可能にした。

 謎3《村長が魔法を使った?》
 あれは紛れもなく村長の無詠唱魔法だ。
 
 謎4《なぜ叩く度に効果が違うのか?》
 流れ出る魔力をその都度変化させている。つまり自分の魔力をどういった形で放出するか? 炎か氷か風か……普通の魔法と原理は同じだろう。
 
 謎5《変化した杖》
 村長様の家に代々伝わる杖だ、普通に考えれば伝説級のそれこそオーパーツ並みの代物だろう、何が起きても不思議ではない。

 謎6《MP値測定不能》
 一般人向けのステータスでは測定不能という事。規格外のなせる技だ。

 謎7《村長の名前のガウスって》
 信じられないけれど、村長様のステータス、先祖の話、戦闘で見せた能力。もう確定でしょう? この人ガウスの子孫だよ。サラブレッドだよ……いや、サラブレッドは失礼か。神の子は神って言うか……とにかくとんでもない超、超、超エリートの村長様だよ。

 俺は全ての謎が解けて安心して苦笑いを浮かべた。



「100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く