100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。

しみずん

27話 どこのグループもリーダーは大変

「なんだよ……いい子ぶりやがって……そんなに」

「本当ね……さっさと本性見せて……」

 なんだ、なんだ? 今気付いたけど、なんか呟いてる? いじけてる? 

 どうしたんだろう? 何か嫌な事でもあったのだろうか? それで怒ってる?

「リーダーじゃないくせにさあ、お高くとまっちゃってさあ……」

「そうよ一番嫌われるタイプよね、ああいうの」

 俺に対する陰口? しかし俺は少年が言うような、お高くとまってる感じじゃないと思うけれど……。

 自分ではどちらかと言えば頼りない、情けない、兄貴肌って感じだと思っていたけれど……二人はそうは思ってなかったって事か?

 あれこれ考えていると(もちろんこの間中も色んな物が飛んできている)腰の位置に差してある愛刀エックスカリバーに変化があった。

 ぼんやりと弱々しい光がエックスカリバー全体を包んでおり微かに震えているように見えた。

「ん? なにこれ?」

 長い方のエックスカリバーを手にとり、矯めつ眇めつ見る。不思議と何となく元気が無さそうに見える。こういっては何だがナマクラ刀にしか見えない、弱く、頼りなく、脆弱な印象が強く、そういったイメージだけが頭に浮かんでくる。

「これ……本当にエックスカリバーか?」

 俺がそう言うとエックスカリバーの刀身がやや曲がったような気がした、刀としては嫌な方向に。そして腰に差してある短い方のエックスカリバーが一際強く光り出した。

「エックス兄さん! 大丈夫だよ。兄さんは間違ってなんかいなかった、気にする事ないんだよ!」

「カリバー……俺はね。皆を守ろうと思っただけなんだ……それにあの二人の事がとても好きなんだよ? 本当の兄弟じゃあないけれど、本当の兄弟のように思ってる……だから仲良くなりたいし、楽しくお話したい、そう思ってるだけなんだけど何であんなに嫌われちゃうのかなあ……やっぱりあの時……」

「すっ……好きなんだよ! きっとエックス兄さんの事が好きすぎて、からかってるだけなんだよ! 構って欲しいんだよ! そうだ、そうに違いないよ! だから元気出して、エックス兄さん!」

「――っ! そ……そうか……照れてるだけなんだ! そうかそうか! 勘違いだったんだ! ははは!」

「やーい、ナマクラ刀!」

「でくの棒! なんちゃってリーダー!」

「カリバー……やっぱり俺って……嫌われてるんだよ……はあ……なんでかな……。本当はカリバーも俺の事……嫌いなんじゃないの?」

「そんなに卑屈にならないでよ兄さん! 僕が兄さんを嫌いだなんてあるわけないじゃない!」

 なにこれ……何が始まったの?

「やい! お前達! いい加減にしろよ。兄さんは繊細なんだ! やめろって石を投げるなっ!」

「――痛っ」

「「いえーい」」

 本当に何があったんでしょう? 俺達のパーティに、俺達の武器に、事態の収拾はつくのでしょうか? 

 それはまさに神のみぞ知る、というやつなのかもしれない。俺は天を仰ぎ見てオヤジを思い出す。まだ、嫌がらせは続いているのだろうか?

 様々な事柄に想いを巡らせて薬草を頬張る。その味はいつもより青臭く、しかめっ面になった。

 青春の味というやつなのだろうか?


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