100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。

しみずん

26話 サバイバルゲーム?

 俺は水の都ベネツィを後にして、山道を歩いていた。最初に来た道を戻っている最中だ。

 《俺は》となぜ、単独で歩いているかと言うと。少年とお嬢ちゃんは少し先に行って遊んでいるようだ、つまり例のアレだ。発作が出たのだ。

 鬱蒼と生い茂る木々の小道を足元に注意しながら歩いていると木の陰から小石が飛んできた。 

 《勇猛に3のダメージ!》

「はあ……」

 今度は木の陰から中型の石が飛んできた。

 《勇猛に18のダメージ!》

「痛てて……」

 いちいち避けるのも面倒くさいので基本的に避けない事にしている。

「「きゃきゃきゃっ!」」

 サバイバルゲームのつもりだろうか? とても楽しそうな少年とお嬢ちゃんを横目に見て、俺は可愛い子ちゃんの店で大量に買い込んだ薬草を頬張る。大体こうなる事は分かっていたのだ。

 森見るとやりたくなるよね、サバイバルゲーム。

「うん……薬膳的な味がクセになる」

《勇猛のHPが30回復した》

 小石や、中型の石や、枝や、たまに大型の石まで飛んでくる(大型の石は流石に避ける)ので定期的に薬草を食べつつ歩を進めていく。

 最近よく思うんだけど……あれって武器のせいじゃなくて普通に楽しむ為にやってない? 武器に魅了されているのになぜ俺に危害を加えてくる? 武器が俺を敵対視しているというのだろうか? 武器の心理はわからないけど、なんとかならないものだろうか? 

 今の所は悪戯レベルの物事だから、そこまで重要視はしないけど……。

 でも、地味に効いてくるんだよなあ……。

「痛っ……」

 特に精神的に……。

 どんな事でも積み重ねは大事です、100回も食らえばかなりのダメージになっちゃいます。

 また死んじゃいます……。

 などと考えていると、幾つもの枝がリズムよく弾けるような音が森の中に響き渡った。地面に伸びる自分の影に巨大な影が重なって、一瞬で鳥肌が立ち全力で回避する。

「――っ!」

 俺めがけて倒れてきた巨木は大地を力強く叩くと、鈍く重苦しい声あげながら横になった。

 巨木の声が反響する中、倒れた木はようやく横になれたと喜んでいるようにも見えた。

「「いえーい」」

 相変わらず楽しそうな二人に命の危機を感じつつも、言い知れぬ慈愛の心が湧き出る自分に少し驚いて笑みが零れる。

「――痛っ!」

 このままだと身体が薬草みたいな色になるかもしれないと、少し心配になった。


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