100回目の勇者人生〜俺の頭の中ではこんなにも《ゆるい転生物語》が繰り広げられている。

しみずん

24話 神父さんっ! 状況よく見て察してっ!

「おお、迷える仔羊よ。本日はどういったご用でしょう」

 かなり陽気になってしまった少年とお嬢ちゃんが奇跡的に教会へとやってきた。まさに千載一遇のチャンスである、これを逃せばたぶん一生教会に行ってくれないだろうと思う。

 だからとにかく叫ぶ、暴れる、願いまくり、奉りまくる。

(神父さん! 俺見て俺! ほら棺桶じゃん! 教会で棺桶と言えばじゃん! お願い神父さん、空気読んで!)

 しかし、俺の努力は功を奏する事はなく。二人といえば『ここは何屋さんですか?』とか『仲間になってください』とか見当違いな事を口走るのだ。

 何しに来たんだこの二人は。

「おお、迷える仔羊よ。本日はどういったご用でしょう」

(ほらあ、神父さん二回目だよこの台詞。聞こえてなかったのかなあって思って、また言ってくれたよ。どうすんの?)

「呪いとかってあると思いますか? 僕怖いよ……」

「呪術や黒魔法や悪魔との契約とかなんですけど……やっぱりあるんでしょうか? 私も怖いんです……」

(おお!? なんか期待できる会話が始まったぞ! そうだ、呪いが解ければ二人とも普通にいい子なんだよ! 神父さん! 呪いを解いてあげて!)

「呪いはあります。おぞましき力を持った闇の力です」

「やっぱりあるんだ……」

 少年は恐怖したのか身体を小さく縮めた。

「怖いねー僕、なるべく関わらないようにしようね? さっ、帰ろう?」

「うん……」

 二人は教会の出口へ向かって歩き出した。

(聞いただけっ!?)

 なにしに来たの君達!? もっと他にやる事あるでしょうよ。神父さんも空気呼んでよ!

「お待ちなさい」

「「…………?」」

 神父さんが二人を呼び止めた。また変なコントが始まるのだろうか、と思っていると……。

「その棺桶は大切な人ではありませんか? もし貴方達が宜しければ是非とも力にならせてください。主神も協力するように仰っています」

「「…………」」

 逆転パターン来たあああ! これはもう決まっただろう!

「思い出して下さい、あなた方の大切な人の事を。忘れないで下さい、あの日の誓いを、想いを、今まで築き上げてきたそれら全てを」

(…………)

「「…………」」

(……むっちゃいい人じゃん、流石は神父さん。聞き入っちゃうな、二人もさっきまでと違って真剣な感じだし)

「「――っ」」

(うお! 泣き出したぞっ!? 神父さんの言葉が心を動かしたのか!?)

「ですから――ですから。我が教会でその人を蘇生させて下さい……大切な収入源なんです……」

(金目当てかよっ!?)

「「きょ……協力します」」

(同情で蘇生すんの!?)

「ほ……本当ですか!? ありがとうございます! それでは、オマケにHP全回復しておきますね!」

(なんちゅう奴らだ。見知らぬ神父さんより、俺に同情しろよっ!)

「そ……それでは50000G寄付してください。凄くお優しい方らしいので……特別コースになります」

(んな訳あるかあ! ぼったくられてんぞ! 払うな! 別の教会へ行け!)

 魂の限り叫んだが。

「「……ズズッ……じゃあ、これ。お願いします」」

 俺のパーティの手持ち金ほぼ全額を支払い、蘇生の儀式が完了した。

 そうやって俺は、なんとか蘇生する事が出来た。ちなみに残りHPは7だった。

「HP全回復じゃねえじゃん……いい人そうな人ほど騙すんだよなあ……」

 怖い怖い。  

《怪しげな教会から逃げ出した!》

 幸運な事に神父さんに回り込まれるような事は無かった。


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