青い果実 -Unripe fruit-

*おれんぢ*

-もも-

『璃夢、入野さんって彼氏いる?』

スマホを持っている人の9割が使用しているだろうアプリ、LINEを開く。そしてろくに確認もせずトーク画面を開くと、その一文が表示された。
「ん?なんだこれ…だれだぁ〜?」
羽川 洸希はねかわ こうき
あたしの、友達…そう、今は友達。
2ヶ月ぶり、くらいかな?
改めて文を読み直す。
「こいつ、佑衣と友達だったっけ?」
独り言をぶつぶつ呟きながら歩く。
すると、もう一度通知が来た。
『あー。やっぱなんでもない』
は??
その前に送られた文は送信取り消しになっていた。
「えっ。なに、洸希ってまさか佑衣のことすき、なの?!」
こりゃまた叶わない恋をしたもんだ…
まぁいいや。めんどくさい。
『え?まぁいいや今はめんどいからまた来週洸希のとこにいくわ。それまで待ってて 』
そーしんっ。
よし。と、適当に返信をしてスマホを鞄になおす。
あと数十メートルで家に着く。
なんだか心が落ち着かないなぁ…
何故だろう綿毛のようにふわふわと心が踊っている
それは新しいことを知ったからだろうか
親友がモテモテなことに誇りを感じているからだろうか
そうこう考えているうちに家の前だ。
落ち着かない心を収めるように一言
「もおー!春だなぁっ!」
よし!おーけっ!と、玄関を開ける
「璃夢?!五月蝿いっ!近所迷惑でしょう?!」
ただいまを言う気も失せるようなあたし以上の大声な怒鳴り声が響く。
その迫力に若干引きながらも華麗にスルー。
部屋へと向かう。とりあえず…
ベットにだーーーいぶっ!
ふぁぁぁっ、これがあたしの至福のひととき♡
あー、着替えなきゃ…宿題…ご飯…お風呂…
もー、全部めんどくさい…
迫り来る睡魔に負けじと身体だけでなく脳を起こそうとする。
その気力を消し去るようなベットの包容力に身を任せ、
あたしは少しずつ、意識を手放して言った。

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