-プロローグ-

あぁ…また、堕ちていく
暗い暗い沼の底に。
どん底まで堕ちていく…
それでも、もう、止まれない。

私は、出会ってしまった。
絶対に出会ってはいけない人に。
目が合ったその時、息が止まるかと思った…。
チョコレートの中に沈められてしまったかのように甘ったるくて、息ができないほどに苦しくて。
苦しいはずなのに…幸せで。
どんなに華やかな言葉で飾っても、
物足りなく感じてしまう。

『どくりんご』
1口かじると、もう戻れない。
甘くて、酸っぱくて、少し苦い。
そんな、林檎

君はどくりんご───。

それが、本当の毒に変わってしまったその時。
暗い暗い沼の底に沈んでしまうと知っていても…
きっと私は食べてしまう。

もう、戻れない。

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