虐められていた僕は召喚された世界で奈落に落ちて、力を持った俺は地上に返り咲く
第32話 死霊演武
「さてと、終わったか。…………これどうすっかな……」
神夜はマリオルの死体に背を向けとりあえず異界結界を解くことにし結界の方へ向かって歩いていく。
そして、1歩踏み出した瞬間に背中に悪寒が走り、横に飛んだ。
神夜がいた場所には地中深くまで届いているであろう大きな斬撃痕が出来ており、それは神夜の後ろから放たれていた。
「死んだと思ったんだが?」
そう言って後ろにいる死体に話しかける。そして、その死体は答えを返した。
「うん。ちゃんと死んだよ。けど、ほら僕は死体を操るの得意でしょ?」
「なるほど。死んだ自分を操ったって訳か?」
「そうそう。びっくりしたよ。本当に殺されちゃうんだもん。」
神夜の問いに答えているのは死んだはずのマリオルだった。
「そうか……」
そう言って神夜はマリオルの後ろに移動する。もちろんマリオルですら追えないスピードでだ。
そしてマリオルの首をはねた。
普通ならそれで死んでいるはずだ。
しかし…………
「なるほど。物理攻撃は効かないわけか」
マリオルの首はマリオルの手から伸びた糸によって引き戻されくっついてしまった。
しかも、普通に動けている。
「そうそう。僕に物理攻撃は効かないよ。細胞単位で糸を繋ぎ合わせているからね。しかも、人の潜在能力やリミッターを強制的に出させる僕の技《操り人形》。これを自分にかけているから先程までとは圧倒的にパワーアップしているよ。そして、これを僕は《死霊演舞》と名付けたよ」
「《死霊演舞》ねぇ……まあ、物理攻撃が効かないんだったら魔法だよなぁ」
そう言って神夜はパチンッ!と指を鳴らせる。すると、神夜から魔力が迸り周りに結界を貼った。
「《次元隔離神壁結界》俺が解除しない限り絶対に出ることは出来ない。そして、《魔力解放》」
神夜がそう言った瞬間神夜の魔力が可視化出来るほどまでに高まり周りに魔力の嵐が吹き荒れる。
「《付与 終末の黒炎焔》」
神夜は先程使った《終末の焔》をも超える力を持った魔法をブリュンヒルデに纏わせる。圧倒的な魔力量が送られてきてブリュンヒルデはキシキシと悲鳴を上げている。
「む、さすがに少しきついか。まあ、しかし、これで終わりだ。」
神夜がこれをしている間マリオルはどうしていたかと言うと、膝がガクガクと震え汗が身体中から吹き出し、動けないでいた。
「じゃあ、行くぞ」
神夜が剣を上段に構えて切る準備をする。
「斬」
「ぁ……」
その瞬間振り下ろされるブリュンヒルデ。
刃はマリオルまで届いていない。しかし、そんなことは関係ない。魔力ごと飛ばせば終わりだ。
そして響き渡るのは神夜の斬という響きだけ。
そして、マリオルは灰にもならずに消え去った。
そして、その日この世界から完全に1柱の神が消えた。跡形もなく。
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コメント
ノベルバユーザー206733
こっちをメインで書いて欲しいなぁ