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外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜

血迷ったトモ

第112話 顔が熱いです

「あ…。」

 聡の耳に、フラウの驚いたような声が入るが、それに反応する余裕も無く、ただ呆然とする。

 10秒くらい唇が触れるだけのキスをし続けて、エーリカから先に離れる。

「…ん。やっぱり私、サトシの事が…。」

「い、いや、急に一体何を!?」

 少し頬を赤らめながら呟くエーリカに、聡は顔全体を真っ赤に染めながら叫ぶ。身体まで真っ赤になってるんじゃないかと思うほどである。

「怒ってる?」

「いや、別に怒っては無いけど、どーして急にこんな事したのか、説明が欲しい。」

「こんな事って?」

「は?いや、だから…何言わせんねん!」

 驚愕して混乱する聡に対して、異様に落ち着いてるエーリカは、随分と余裕がありそうだ。それがますます聡を困惑させる。

ー俺なんかにキスして、一体どういうこっちゃ!?しかも、その後に、何好きな人にキスしたみたいな反応するしてるんだ!?ー

 ここまで来れば、流石の聡であっても、エーリカの感情を薄々察せられたが、頭が茹だってる為か、その事実を自分の中で折り合い付ける事が出来なくなっている。

「な、何だって急にこんな…。」

 手足が震える中、落ち着ける場所を求めたのか、身体が勝手にソファに向かい、そのまま腰掛ける。それと同時に、アイテムボックスから普通に・・・に暖かい紅茶を取り出し、ほっと一息つく。

「…えぇと、つまり、どゆこと?さっきのは、ただの事故って事で良いかな?」

 カップを置き、エーリカから目を逸らしながら、アホな事ぬかす。よっぽど大混乱を起こしている証拠であろう。

「よ、良くないわ!確認の為に、最初は頬にしてもらうだけのつもりだったけど、サトシが逃げたから、もう良いやってなって、狙ってやったの!」

「確認?一体何の?」

 勇気を振り絞ったキスを事故扱いされ、憤慨しつつも抗議するエーリカの言葉に、気になる部分があった聡。

 顔を上げて、エーリカの方を見ながら聞くと、彼女は目が覚めるような、そんな綺麗な笑顔を浮かべながら答える。

「私が、サトシの事を好きなのかっていう事よ。サトシには悪い事したと思ってるけど、お陰で理解出来たわ。」

 そう言うと、屈みながら聡に顔を近付け、蕩けるような声音で囁く。

「私は、サトシの事が好きなの。」

「…はい?あ…むぐぅ!?」

 急にそんな事を言われて、唖然としながら目を見開いていると、一気に顔がゼロ距離になり、今度は唇を力強く押し付けられ、更には吸われるような感覚まで感じる。

「…ぷはぁ、はぁはぁ。何でまたした!?」

 初めての感覚に、聡は戸惑いながらも責めるような声を、エーリカに向ける。恋人でも夫婦でも何でも無いのに、こんな事をするなんて、倫理的にどうかと思うのだ。

「ふぅ…。好きって言葉に出したら、何か抑えられなくなっちゃって。」

 息を整えながら、妖艶に微笑むエーリカ。

「…まだ知り合って、全然時間が経ってないと思うんだけど?しかも、俺なんかの何処が好きなんだよ。」

 聡は鼓動が早くなるのを感じながら、それを押さえて聞く。エーリカが軽い気持ちでこんな事するとは思ってないが、何で自分なんかにという思いが強いので、額に深くシワを寄せながら聞く。

「説明すると、少し長くなるんだけど、良い?」

「良くありません!何で急にこんな空気感になってるんですか!?ほっぺにキスしてもらうだけって、言ってたじゃないですか!」

 聡の疑問に答えようとしたエーリカに、今まで空気と化していたフラウが噛み付く。頬にキスをするという事自体は、フラウも公認の元で計画されたのだろう。しかし、普通に接吻するのは予定に無く、彼女自身も大混乱の最中なのだ。

「…フラウさんもする?」

「し、しません!今はそういう事を話すんじゃ無くて、『鏖殺』について、どうなったのかを話してもらう方が先なんじゃないですか!?サトシ様も、その事をルドガー様に報告しに来たのでしょうから!」

「…そういやそうだった。すっかりエーリカのペースに呑まれてたわ。」

 『まさかフラウもか!?』と一瞬思った聡だったが、直ぐに『別に好かれるような事してねぇ』と思い当たり、大人しくその話を聞いていると、本来の目的があったことを思い出す。

「今、『鏖殺』を部屋の外に転がしてるんだったわ。よし、さっさとルドガーさんの所に行こうぜ!」

 これ幸いとばかりに、聡はソファから立ち上がって、流れるように部屋を飛び出す。

「あ、サトシ!後でちゃんと話すからね!」

「…。」

 大慌てで部屋から飛び出した聡を追うエーリカと、その背中を無言で見つめるフラウ。

 フラウの目には、羨望や困惑など、複雑な感情が絡み合って浮かんでいたが、聡は一切気が付く事が出来なかった。

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