外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
第93話 コルネリウス邸にて(3)
「えっと、結局ニコラの外傷は、完治したって事で良いですか?」
  ニコラにより、彼女のお腹に手を回す形で落ち着いた聡は、無表情でコルネリウスに聞く。今も尚突き刺さる、隣からの視線を受け流している弊害である。
「…えぇ、そうなります。打撲と擦り傷だけだったので、サトシ殿に助け出された当日には、既に完治してます。」
 聡を何とも言えない表情で見ながら、コルネリウスは説明してくれる。
「そうですか。…ニコラ。出来れば俺は、いつだってニコラがピンチの時には、助けてやりたいと思う。けど、万が一間に合わなかった時、あの時だって数秒遅れてたら、手遅れだったんだ。そういう時に、俺はとても後悔すると思う。コルネリウス様だって、酷く悲しむ。」
 まだ2回しか会ってないが、お転婆なのが、ニコラの持ち味で良い所でもあると、聡は思った。だからこそ、そのせいで不幸になるのだけは、絶対に避けてもらいたい。
 その一心で、優しく言い聞かせるように、語りかける。
 
「…うん。」
「だから、なるべく危険には近付かないで欲しい。助けられた事に、少しでも恩義を…いや、この言い方は卑怯か。これは、単純に俺からのお願いだ。」
 落ち込んだ様子のニコラの頭を撫でながら、純粋に『お願い』する。
「…はい、分かりました。お父様も、ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。」
 するたニコラは、今までの砕けた口調は引っ込めて、まるでお嬢様の様な立ち振る舞いで、コルネリウスに謝罪をする。
 ――― 聡の膝の上に座ったままなので、色々と台無しであるが。
「うん。これからは、あんまり危ない事をしないで下さいね。何にせよ、今回は本当に無事で良かった。」
 コルネリウスは、暖かい笑みを浮かべながら、何度も頷く。その様子は、領主としての姿では無く、たった1人の父親のものであった。
「うぅ…。」
 それが効いたのか、ニコラはくるっと器用に聡の方を向くと、そのまま顔を隠すように胸に押し付け、静かに泣き始めてしまった。
「…。」
 『どないしよ?』という視線を、キョロキョロ彷徨わせる。
 泣いてる子供のあやし方など、全然知らない聡は、ただ戸惑う事しか出来ない。
「…。」
ー何その表情!?え、何?可愛い娘が俺に抱き着いてて、寂しいのか!?でも何で嬉しそうなんだ!?ー
 まずコルネリウスに視線を向けると、寂しさと嬉しさが織り交ぜになった表情で、ニコラを見ていて聡を助けてはくれないようだ。
「…。」
ーうぉい!?何この子!?さっきまでの良い子なフラウさんは、どこに行ったんだ!?ー
 コルネリウスが駄目なら、フラウはどうだと視線を向けるも、こちらは無言でニコラに視線を向けている。
「…えっと、何か飲み物を頂けますか?」
「はい、お待たせ致しました。」
 もうすっかり精神を摩耗したので、疲れ果てた表情でコルネリウスに頼もうと声をかけるが、ノータイムで背後から声がかかる。
「うわぁ!?い、いつの間に!?」
 背後でお湯が入ったケトルと、ティーポット、そしてカップを載せたトレーを持ったメイドが、佇んでいたのだ。
「お嬢様が部屋に入った際に、同時に入室させて頂きました。お湯は熱めのものを用意しましたので、そろそろ丁度いい頃合だと思います。」
 言いながら、テキパキと紅茶を淹れるメイド。
「あ、ありがとうございます…。」
 余りにタイミングが良過ぎるメイドに、思わず素でお礼を言う。
「…ただのメイドにお礼を言われるとは、やはり不思議な方ですね。最初にいらした時も、頭を下げていましたし。」
「え?そうですか?普通じゃ無いですか?」
 仕事でしている事とはいえ、横柄な態度を取るなど到底出来ないと考えている聡は、普通に接しているつもりなのだ。
 その為、急にそんな事を言われても、ただ戸惑ってしまうだけである。
「というより、まるで私が紅茶を欲しいと思うタイミングを、予め知っていたのように、タイミング良いですね。」
 何だかむず痒かったので、話題の転換にと、異常なまでの手際の良さについて、ツッコミを入れてみる。
「主人に仕える者として、当然の嗜みです。」
 すると、微笑みを湛えながら、メイドはとんでもない事をのたまう。
「…なるほど。」
「なるほどって何!?」
 聡の疑問に答えたメイドの言葉に、隣でフラウが『ウンウン』と頷きながら、何やらメモを取り始めたので、全力のツッコミを入れる。
「私もこれからサトシ様に仕える事になりますので、勉強をしようかと思いまして。」
「もし宜しければ、仕事の基本を御教授致しましょうか?」
「は、はい!よろしくお願いいたします!」
 フラウとコルネリウスにも紅茶を淹れる事にメイドが、ビックリするような提案をして来る。
 そして何とフラウは、その提案に乗る気のようだ。
「…が、頑張って下さい。」
 どうやらフラウのやる気は満々のようで、取り敢えず応援する事にしたのであった。
  ニコラにより、彼女のお腹に手を回す形で落ち着いた聡は、無表情でコルネリウスに聞く。今も尚突き刺さる、隣からの視線を受け流している弊害である。
「…えぇ、そうなります。打撲と擦り傷だけだったので、サトシ殿に助け出された当日には、既に完治してます。」
 聡を何とも言えない表情で見ながら、コルネリウスは説明してくれる。
「そうですか。…ニコラ。出来れば俺は、いつだってニコラがピンチの時には、助けてやりたいと思う。けど、万が一間に合わなかった時、あの時だって数秒遅れてたら、手遅れだったんだ。そういう時に、俺はとても後悔すると思う。コルネリウス様だって、酷く悲しむ。」
 まだ2回しか会ってないが、お転婆なのが、ニコラの持ち味で良い所でもあると、聡は思った。だからこそ、そのせいで不幸になるのだけは、絶対に避けてもらいたい。
 その一心で、優しく言い聞かせるように、語りかける。
 
「…うん。」
「だから、なるべく危険には近付かないで欲しい。助けられた事に、少しでも恩義を…いや、この言い方は卑怯か。これは、単純に俺からのお願いだ。」
 落ち込んだ様子のニコラの頭を撫でながら、純粋に『お願い』する。
「…はい、分かりました。お父様も、ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。」
 するたニコラは、今までの砕けた口調は引っ込めて、まるでお嬢様の様な立ち振る舞いで、コルネリウスに謝罪をする。
 ――― 聡の膝の上に座ったままなので、色々と台無しであるが。
「うん。これからは、あんまり危ない事をしないで下さいね。何にせよ、今回は本当に無事で良かった。」
 コルネリウスは、暖かい笑みを浮かべながら、何度も頷く。その様子は、領主としての姿では無く、たった1人の父親のものであった。
「うぅ…。」
 それが効いたのか、ニコラはくるっと器用に聡の方を向くと、そのまま顔を隠すように胸に押し付け、静かに泣き始めてしまった。
「…。」
 『どないしよ?』という視線を、キョロキョロ彷徨わせる。
 泣いてる子供のあやし方など、全然知らない聡は、ただ戸惑う事しか出来ない。
「…。」
ー何その表情!?え、何?可愛い娘が俺に抱き着いてて、寂しいのか!?でも何で嬉しそうなんだ!?ー
 まずコルネリウスに視線を向けると、寂しさと嬉しさが織り交ぜになった表情で、ニコラを見ていて聡を助けてはくれないようだ。
「…。」
ーうぉい!?何この子!?さっきまでの良い子なフラウさんは、どこに行ったんだ!?ー
 コルネリウスが駄目なら、フラウはどうだと視線を向けるも、こちらは無言でニコラに視線を向けている。
「…えっと、何か飲み物を頂けますか?」
「はい、お待たせ致しました。」
 もうすっかり精神を摩耗したので、疲れ果てた表情でコルネリウスに頼もうと声をかけるが、ノータイムで背後から声がかかる。
「うわぁ!?い、いつの間に!?」
 背後でお湯が入ったケトルと、ティーポット、そしてカップを載せたトレーを持ったメイドが、佇んでいたのだ。
「お嬢様が部屋に入った際に、同時に入室させて頂きました。お湯は熱めのものを用意しましたので、そろそろ丁度いい頃合だと思います。」
 言いながら、テキパキと紅茶を淹れるメイド。
「あ、ありがとうございます…。」
 余りにタイミングが良過ぎるメイドに、思わず素でお礼を言う。
「…ただのメイドにお礼を言われるとは、やはり不思議な方ですね。最初にいらした時も、頭を下げていましたし。」
「え?そうですか?普通じゃ無いですか?」
 仕事でしている事とはいえ、横柄な態度を取るなど到底出来ないと考えている聡は、普通に接しているつもりなのだ。
 その為、急にそんな事を言われても、ただ戸惑ってしまうだけである。
「というより、まるで私が紅茶を欲しいと思うタイミングを、予め知っていたのように、タイミング良いですね。」
 何だかむず痒かったので、話題の転換にと、異常なまでの手際の良さについて、ツッコミを入れてみる。
「主人に仕える者として、当然の嗜みです。」
 すると、微笑みを湛えながら、メイドはとんでもない事をのたまう。
「…なるほど。」
「なるほどって何!?」
 聡の疑問に答えたメイドの言葉に、隣でフラウが『ウンウン』と頷きながら、何やらメモを取り始めたので、全力のツッコミを入れる。
「私もこれからサトシ様に仕える事になりますので、勉強をしようかと思いまして。」
「もし宜しければ、仕事の基本を御教授致しましょうか?」
「は、はい!よろしくお願いいたします!」
 フラウとコルネリウスにも紅茶を淹れる事にメイドが、ビックリするような提案をして来る。
 そして何とフラウは、その提案に乗る気のようだ。
「…が、頑張って下さい。」
 どうやらフラウのやる気は満々のようで、取り敢えず応援する事にしたのであった。
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