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外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜

血迷ったトモ

第90話 呼び出しです

 何だかんだあり、聡とフラウの関係が定まった後、2人は朝食の為に食堂へと来ていた。

「お、サトシ!…と、どちら様?」

 先に食堂に居たルドルフは、初めて見るフラウに、戸惑ってしまう。昨晩は、二日酔いを引き摺って、夕食は自室で摂った為、会うことが無かったのだ。

「おはようございます、ルドルフさん。こちらは、フラウさん。訳あって、自分が面倒を見ています。そして…。」

 目を逸らしながら、言葉を切る。視線の先に居たフラウは、そんな聡の言葉の続きを、物凄く嬉しそうに言う。

「サトシ様に、メイドとして雇って頂く事になりました。ルドルフさん。よろしくお願いします。」

 綺麗にお辞儀をするフラウに、ルドルフは目を瞬かせながら言う。

「お、おう、そうか…。ま、まぁサトシも男だからな。しゃーないっちゃしゃーないけど、エーリカも忘れないでやってくれ。」

「何か酷い誤解をされた気がしますね?またくらいたいですか?」

「い、いや、すまない!」
 
 嗜逆的な笑顔に歪む聡の表情と、その拳を見て、慌てて椅子ごと後退りながら、必死に謝る。

「…まぁ、そういう訳ですので、フラウさんが何か困ってるようでしたら、力になって頂けるとありがたいです。」

「あぁ、分かった。俺でよければ、力になろう。」

「はい、お願いします。」

 味方は多い方が良いので、聡は頭を下げながらフラウの事を頼む。フラウにとって一番好ましいのは、聡から自立して、自身で生計が立てられている状態であると、そう考えての行動だ。

 そんな事は露ほども知らないフラウにはその姿が、何の得も無いのに、自身の為に 頭を下げてくれる超良い人に映り、聡の預かり知らぬところで好感度が爆上がりになる。

「じゃあ朝食を摂りましょうか。」

「はい。」

 席に着いて、アデリナに朝食を頼む。そして、直ぐに運んで来てくれたので、朝から疲れた頭を癒そうと、ぐでっとした状態で口に食事を運ぶ聡。

「あ、ご主人様。口にソースが…。」

「え、あ、すみません…。って、拭こうとしなくて良いですよ!」

 白いハンカチを取り出したフラウが、聡の口を拭おうとしてきたので、慌ててそれを止める。
 こんな羞恥プレイをする為に、フラウを雇ったのでは、断じてないのだ。…少し想像はしたが。

「そ、そうですか…。」

ー悲しそうな顔をしないでくれ!そこっ!ルドルフさんは羨ましそうな顔すんな!ー

 2人の表情に、聡は全力全霊のツッコミを心の中で入れながら、自分のハンカチで口の周りを拭う。

「あれ?」

 聡の視線の先にある、宿の扉が開かれて、燕尾服の様な服を着た高齢の男性が入って来る。
 この辺りでは見かけない、浮いた格好なので、聡は少し気になってしまう。

 燕尾服の男性は、キョロキョロと辺りを見回して、聡と目線が合うと、こちらに真っ直ぐ駆け寄ってくる。

「…サトシ様でお間違い無いでしょうか?」

「はい、間違いありません。コルネリウス様からの遣いの方でしょうか?」

 丁寧な言葉遣いで話しかけられたので、聡は背筋をピンと伸ばして聞く。

「はい。コルネリウス様から、言伝がございます。『娘も回復したので、そろそろ会いに来て下さると嬉しい。それと、例の女性の件も、話を伺いたいので、近日中にいらして下さい。』以上が、コルネリウス様からの言伝になります。ご都合の良いお日にちを伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」

 めちゃくちゃに畏まられて、聡はこそばゆく感じるが、表情には一切出さずに、フラウに聞く。

「フラウさん。俺は今日でも大丈夫何ですけど、フラウさんはどうですか?」

「私も今日で問題ありません。」

「分かりました。では、今日これからお伺いします。」

 聡がそう伝えると、男性は恭しく一礼してから、口を開く。

「はい、畏まりした。わたくしは、コルネリウス様にお仕えさせて頂いております、執事のディートリヒと申します。表に馬車を用意させてますので、お食事がお済みになりましたら、お声がけ下さい。」

「お気遣い頂き、ありがとうございます。ディートリヒさん。フラウさん。早く食べてしまいましょう。」

「はい、分かりました。」

 食事を途中で止めるのも勿体ないので、ディートリヒの言葉に甘えさせてもらい、素早く残りを掻き込む。
 フラウはと言うと、どこか気品を感じさせる所作で、それでも可能な限り急いで食べている。

ー良いとこのお嬢様って感じだな。まぁそのうちフラウさんの問題も解決しなくちゃな…。ー

 自身の20分の1しか生きていない少女の抱える問題が、想定よりも大き過ぎる事に気付くのは、もっと先の話である。

 2人とも、5分もかからずに食べきり、待っていてくれたディートリヒに声をかけて、コルネリウスの屋敷へと、馬車で向かうのだった。

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