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外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜

血迷ったトモ

第78話 ホラーです

 ジッと茂みを見つめていると、段々とガザガサする音が近付いてくる。

「…?」

 あと少しで出てきそうという地点で、音が止まる。ここまでは、聡を感知して気付いたのでは無く、ただ移動してきただけ、という事だろうか。と、聡が考えたところで、茂みの中に2つの赤い光が浮ぶ。

「おわっ!」

 びっくりして、聡は思わず声を上げてしまう。すると、その声に反応したのか、茂みから黒い影が、獣のような声をあげながら、飛び掛ってくる。

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 情けない悲鳴をあげながら、聡はその黒い影を避ける。慌てていたが、聡の人外の視覚は、その姿をしっかりと捉える。想像していたよりも、ずっと小柄で、どうにも人間のようなシルエットが見えたような気がする。

「に、人間か!?お、おい、聞こえてるのか!?」

 良く見ると、そのシルエットは、人間の形で、長い髪を振り乱して、唸り声をあげているのが分かった為、聡は必死に声をかける。

「…ち…しい…。」

「しゃ、喋った?」

 唸り声の合間に、何か単語が聞こえたような気がした聡は、若干警戒のレベルを下げる。が、次の瞬間、黒い影は、そんな聡に一気に距離を詰めて、飛び掛ってきた。

「あ、しまった!」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 下手に反射的に動けば、相手を殺しかねないと思い、気合いで受け止める覚悟を決めた聡は、黒い影と正面衝突をする。

「おっと…。」

 予想外の衝撃に、たたらを踏んでしまった聡は、そのまま大人しく後ろに倒れる事にする。

「よし、このまま寝技に…って、えぇぇ!?」

「フー、フー、ジュルッ…。」

 何故か聡のVITを軽々突破して、容易に首に牙を突き立てた・・・・・・・・・黒い影。それに驚くと同時に、今までに感じた事の無い、謎の2つの柔らかさ・・・・にも驚いて、聡は声をあげてしまう。

「ま、まさかお前、吸血鬼・・・・か!?」

「…ジュルッ…。」

 聡の問いかけには答えず、聡の体に抱き着きながら、一心不乱に血を吸い続ける黒い影。いや、女性・・の吸血鬼。判断基準が些か失礼だが、聡が体の正面に感じる胸の感触が、女性以外の何者でも無かった。

「おいおい…。マジでどうしよう。」

 吸血鬼族は、魔族に属する種族で、強力な身体能力を誇り、魔法も大得意、更には彼らのみが持つスキルがあったりなど、非常に強力な種族だ。

 さらに、普通の吸血鬼でも300年は生き、特殊な吸血鬼だと1000年以上生きることもある種族である。

「というか、この状態は、禁断症状か?」

 吸血鬼は強力な種族だが、一方で弱点もある。まず、日中、特に日の光の中では、著しく弱体化する。また、魔力が豊富に含まれている、人間などの生物の血を吸わないと、魔力の回復もままならず、最終的には禁断症状が出て錯乱、挙句の果てには衰弱死する。

 その吸血行為の重要性の為か、吸血する際の牙の突き立てには、防御力無視の特性があり、こうして聡はチューチュー吸われてるというわけだ。

「中々妙な感覚だな。これが男だったら、問答無用で引っぺがすところだけどなぁ。」

 大人しく吸わせながら、聡は呟く。どっちかといえば、『性』を刺激されるような感覚に、女性相手で無ければ拒絶してしまいそうだったので、相手は運が良かったと言えるだろう。

-あ〜、早く満足してくれないかな〜。-

 などと考えながら、聡はなすがままになったのだった。


「…あ、あぁ、わ、私は、なんて事を…。」

 暫く吸わせ続けていると、首元から女性の震える声が聞こえてきた。

「お、漸く正気を取り戻した?出来れば、離れてもらえると嬉しいんだが。」

 吸血鬼の女性らしい柔らかさに、少し理性を持ってがれかけている聡は、余裕が無いためか、ちょっと乱雑な物言いで話しかける。初対面の人に対してこの態度をとるのは、結構珍しい事である。

「…え、あ、あれ?貴方、生きているのですか!?」

 そんな聡の声に反応して、女性はそろそろと顔を上げて、驚愕の声を発する。どうやら吸いすぎて、殺してしまったと思ったのだろう。事実、一般人相手なら、とっくのまっくに絞りカスとなって、無惨にも地面に転がっていた事だろう。

「この程度じゃあ、俺は死にませんよ。で、少し離れてもらえると助かります。」

 軽い口調で話しかける。暗がりに慣れてきた目で女性の顔を見ると、まだ若干幼さが残る、少女である事が分かった。しかも、エーリカにも劣るとも勝らない美貌だ。長い髪は銀色で、目は金色、身なりはだいぶボロボロだが、逆にそれが退廃的な美しさを醸し出していた。
 そしてボロボロの服の上からも分かるほど、起伏に飛んだプロポーションをしていた。身長は160センチほどであろうか。

「…え、あ、すみません!」

 聡の言葉に、状況を理解した吸血鬼の少女は、慌てて飛び退くのであった。

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