外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜
第47話 冒険に心が踊ります(冒険するとは言ってない)
「って、エーリカさん?どうされたんですか?」
 ルドルフを、ギルドの硬い木の床に沈めたあと、ふと、エーリカが先程から一言も発していない事に気づいた聡は、彼女の方を見やる。
「…わ、私が、気を、許している…。た、確かに、今までこんな事、あの時以来許した事無いけど…。」
 エーリカは、ブツブツと何か独り言を言っており、完全に自分の世界に閉じこもっていた。
ーいい加減に、そろそろギルドについて、説明が欲しいんだけど?俺にあるのは、300年前の知識なんだから。ー
 『はぁ…』とため息をこぼす聡。
「エーリカさん?朝のこの忙しい時間帯に、他2人の方だけだと、大変でしょうし、早めに復活して頂きたいのですが?」
 仕方無しに、聡はエーリカの肩を掴み、軽く揺する。
 何やら背後から、突き刺さるような視線と、『ザワッ』とした空気を感じたが、この際気にしない事にする。
「あっ、ご、ごめんなさい。自分でも、ちょっと驚いてしまって。そ、それよりも、床で転がってるバカはほっといて、説明するわね。」
 肩を揺すって数秒後、現実世界に帰ってきたエーリカは、今度は顔全体を赤く染めながら、恐縮した様子だ。しかし、ご丁寧にルドルフは貶していく。
「はい、頼みます。」
 聡自身、ルドルフをノックアウトした事は、後悔も反省もしてないので、エーリカの辛辣な一言には反応せず、そのまま説明を聞く事にする。
 それから10分ほど後、エーリカの長い説明が漸く終わった。
 まず、冒険者ギルドの代表的な制度として、ランク付けがある。
 冒険者は、依頼の達成率、実績、試験等により、ランクが付けられる。
 上はSで、それにA、B、C、D、Eと続く形となっており、それぞれ、人外の化け物、超一流、一流、一人前、半人前、ひよっこといった感じの評価になる。
 この大陸だと、Sランクは3人のみで、Aランクは30人ほど、Bランクは70人ほど居るそうだ。他の、9割以上のの冒険者は、C以下となっている。
 ちなみに、床で転がってるルドルフは、Bランクである。顔が青白くなってるが、気にしない気にしない。
 次に、依頼には、S〜Eランクが振られていて、基本的には自身よりも上のランクの依頼は受けられない。ただし、パーティで受ける場合や、イレギュラー、ギルドが特定の冒険者を指定して依頼する、指名依頼の場合は、その都度ギルドが判断して、受けさせるか否かが決まる。
 ちなみに、ギルドからの指名依頼は、依頼主が冒険者を指名する場合と、ギルド側が指名するものに別れる。
 その指名依頼は、相当な理由が無いのに断り続けると、3回目でランクの降格処分、若しくは、冒険者資格の剥奪となる場合があるそうだ。
 まぁ、いざという時に使えない戦力など、ギルドに居ても意味が無いのだから、当然の措置であろう。
 また、依頼によっては、その依頼の最中に必要となる道具代や、移動費などが前金として支払われる事があるそうで、そういう依頼に失敗すると、罰金+αで前金分も支払う必要があるらしい。
 その為、そういう特殊な依頼を受ける際は、細心の注意を払って、成功率がどのくらいか吟味する必要がある。
  依頼料はギルドの口座に振り込まれ、その情報は、全ギルドからアクセス出来るデータベースに登録されるので、ギルドカードを使って、各地のギルドにある窓口から、引き落とす事が出来るようになっている。ただし大金の場合は、大きな街のギルドでないと、現金が用意出来ないため、少々時間を要するそうだ。
 そして、ギルドカードは、現代では複製不可能な、謎の古代技術の産物によって作製されており、偽造は不可能な代物であるという。
 以上が、今の聡にとって、必要な情報となる。
「ありがとうございました。分からない事がありましたら、その都度お伺いしますので、その際はよろしくお願いします。」
「それが私たち受付嬢の仕事だから、そんなに畏まらなくて良いわよ?」
 ぺこりとお辞儀する聡に、苦笑しながらエーリカは言う。
「そ、そうだぜ、サトシ。あんまり、言葉遣いが…はぁ…丁寧な冒険…者は居ないから…、他の冒険者に…バカにされるぜ…。」
 ちょうどそこに、漸く聡からくらったダメージから回復したルドルフが、ノロノロとした動きで起き上がってくる。そして、息も絶え絶えな状態で、忠告する。
「あ、ルドルフさん、遅いお寝覚めですね。」
「お前に寝かし付けられたんだがな…。まぁ良い。…それよりも、登録が終わったんなら、さっさと依頼を見に行こうぜ。」
 いい笑顔で酷い事をのたまう聡に苦笑しつつ、ルドルフは依頼ボードを親指で指し示す。
「あ、そうですね。エーリカさん、ありがとうございました。」
 いくら相手が仕事だからといっても、尊大な態度をとりたくない聡は、これまた丁寧にお礼を言う。
「どういたしまして。」
 それに対し、苦笑を返すしかないエーリカ。何を言っても無駄だと感じたのだろう。別に、エーリカに実害がある訳では無いので、諦めた訳では無い。断じてそうでは無い。多分…。
「さ〜て、今日はどんな依頼があるかな?」
「簡単なやつで良いですよ。薬草集めとか。」
「いや、あの威力の拳を放てる奴が、何言ってるんだ?Bランクの俺を、一撃で沈めたんだぞ?」
 実力に見合わない、控えめな事を言う聡に、ルドルフは驚いてしまう。口には出さないが、ルドルフは耐久性に優れた、かつ要所要所で的確な判断が出来る前衛のタンクで、非常に有能なBランク冒険者である。
 しかし、そんな彼が、聡と本気で相対したとして、勝つビジョンが浮かばないどころか、何秒耐えられるか分からないと思えるほどの実力差を、先程のやり取りで感じていた。
「もっとこう、戦闘とかがメインな依頼にしようぜ?これなんかオススメだぜ。」
 ルドルフは聡の意見も聞かずに、適当に依頼を見繕っていくのだった。
 ルドルフを、ギルドの硬い木の床に沈めたあと、ふと、エーリカが先程から一言も発していない事に気づいた聡は、彼女の方を見やる。
「…わ、私が、気を、許している…。た、確かに、今までこんな事、あの時以来許した事無いけど…。」
 エーリカは、ブツブツと何か独り言を言っており、完全に自分の世界に閉じこもっていた。
ーいい加減に、そろそろギルドについて、説明が欲しいんだけど?俺にあるのは、300年前の知識なんだから。ー
 『はぁ…』とため息をこぼす聡。
「エーリカさん?朝のこの忙しい時間帯に、他2人の方だけだと、大変でしょうし、早めに復活して頂きたいのですが?」
 仕方無しに、聡はエーリカの肩を掴み、軽く揺する。
 何やら背後から、突き刺さるような視線と、『ザワッ』とした空気を感じたが、この際気にしない事にする。
「あっ、ご、ごめんなさい。自分でも、ちょっと驚いてしまって。そ、それよりも、床で転がってるバカはほっといて、説明するわね。」
 肩を揺すって数秒後、現実世界に帰ってきたエーリカは、今度は顔全体を赤く染めながら、恐縮した様子だ。しかし、ご丁寧にルドルフは貶していく。
「はい、頼みます。」
 聡自身、ルドルフをノックアウトした事は、後悔も反省もしてないので、エーリカの辛辣な一言には反応せず、そのまま説明を聞く事にする。
 それから10分ほど後、エーリカの長い説明が漸く終わった。
 まず、冒険者ギルドの代表的な制度として、ランク付けがある。
 冒険者は、依頼の達成率、実績、試験等により、ランクが付けられる。
 上はSで、それにA、B、C、D、Eと続く形となっており、それぞれ、人外の化け物、超一流、一流、一人前、半人前、ひよっこといった感じの評価になる。
 この大陸だと、Sランクは3人のみで、Aランクは30人ほど、Bランクは70人ほど居るそうだ。他の、9割以上のの冒険者は、C以下となっている。
 ちなみに、床で転がってるルドルフは、Bランクである。顔が青白くなってるが、気にしない気にしない。
 次に、依頼には、S〜Eランクが振られていて、基本的には自身よりも上のランクの依頼は受けられない。ただし、パーティで受ける場合や、イレギュラー、ギルドが特定の冒険者を指定して依頼する、指名依頼の場合は、その都度ギルドが判断して、受けさせるか否かが決まる。
 ちなみに、ギルドからの指名依頼は、依頼主が冒険者を指名する場合と、ギルド側が指名するものに別れる。
 その指名依頼は、相当な理由が無いのに断り続けると、3回目でランクの降格処分、若しくは、冒険者資格の剥奪となる場合があるそうだ。
 まぁ、いざという時に使えない戦力など、ギルドに居ても意味が無いのだから、当然の措置であろう。
 また、依頼によっては、その依頼の最中に必要となる道具代や、移動費などが前金として支払われる事があるそうで、そういう依頼に失敗すると、罰金+αで前金分も支払う必要があるらしい。
 その為、そういう特殊な依頼を受ける際は、細心の注意を払って、成功率がどのくらいか吟味する必要がある。
  依頼料はギルドの口座に振り込まれ、その情報は、全ギルドからアクセス出来るデータベースに登録されるので、ギルドカードを使って、各地のギルドにある窓口から、引き落とす事が出来るようになっている。ただし大金の場合は、大きな街のギルドでないと、現金が用意出来ないため、少々時間を要するそうだ。
 そして、ギルドカードは、現代では複製不可能な、謎の古代技術の産物によって作製されており、偽造は不可能な代物であるという。
 以上が、今の聡にとって、必要な情報となる。
「ありがとうございました。分からない事がありましたら、その都度お伺いしますので、その際はよろしくお願いします。」
「それが私たち受付嬢の仕事だから、そんなに畏まらなくて良いわよ?」
 ぺこりとお辞儀する聡に、苦笑しながらエーリカは言う。
「そ、そうだぜ、サトシ。あんまり、言葉遣いが…はぁ…丁寧な冒険…者は居ないから…、他の冒険者に…バカにされるぜ…。」
 ちょうどそこに、漸く聡からくらったダメージから回復したルドルフが、ノロノロとした動きで起き上がってくる。そして、息も絶え絶えな状態で、忠告する。
「あ、ルドルフさん、遅いお寝覚めですね。」
「お前に寝かし付けられたんだがな…。まぁ良い。…それよりも、登録が終わったんなら、さっさと依頼を見に行こうぜ。」
 いい笑顔で酷い事をのたまう聡に苦笑しつつ、ルドルフは依頼ボードを親指で指し示す。
「あ、そうですね。エーリカさん、ありがとうございました。」
 いくら相手が仕事だからといっても、尊大な態度をとりたくない聡は、これまた丁寧にお礼を言う。
「どういたしまして。」
 それに対し、苦笑を返すしかないエーリカ。何を言っても無駄だと感じたのだろう。別に、エーリカに実害がある訳では無いので、諦めた訳では無い。断じてそうでは無い。多分…。
「さ〜て、今日はどんな依頼があるかな?」
「簡単なやつで良いですよ。薬草集めとか。」
「いや、あの威力の拳を放てる奴が、何言ってるんだ?Bランクの俺を、一撃で沈めたんだぞ?」
 実力に見合わない、控えめな事を言う聡に、ルドルフは驚いてしまう。口には出さないが、ルドルフは耐久性に優れた、かつ要所要所で的確な判断が出来る前衛のタンクで、非常に有能なBランク冒険者である。
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