外れスキルのお陰で最強へ 〜戦闘スキル皆無!?どうやって魔王を倒せと!?〜

血迷ったトモ

第18話 中々出会いは無いですね…

「そりゃあ勿論、彼女に責任を押し付けるのは、男のする事じゃあないですよね〜?」

 ショックを受けているマリウスと肩を組み、男尊女卑、封建的なこの世界では、至極真っ当な事を言う。ましてやマリウスは村長だ。責任感は人一倍強いはずなので、まさか自身の子供よりは年下であろう少女と、半々で責任をとるとは言いづらいだろう。

「うぐ…。」

 聡が様子を見ると、案の定苦虫を噛み潰したような表情をしている。

「まぁ私はそこまで鬼では無いので、村での滞在費を、取り敢えずマリウスさんが立て替えておいて、後でここを出る時に半分私が支払うという形はどうでしょう?」

 こんな辺鄙な村では、外貨を得る手段が少なそうなので、聡はマリウスの負担軽減の案を出す。矢で狙われた事に関しては、生存本能が薄いのかそこまで驚きも、恐怖もしなかったので、逆に畏まられると居心地が悪くなってしまう。

「ほ、本当か?助かる!…エマの奴が小遣い減らさなければ、こんな情けない事にならなくてすんだのにな…。」

 最初の有能そうなマリウスは何処に行ったのか、肩を落として落ち込む姿は、ただの中年オヤジにしか見えなかった。

「エマ…さん?奥様ですか?」

 聡は、マリウスの切実な呟きよりも、出てきた名前に興味を惹かれたので、聞いてみる。

「そ、そうだが、別に様付けるようなもんじゃねぇよ。ケチで愛想無くて、最近じゃあ丸々してきてるし。」

「でも、マリウスさんの事を第一に考えてくれる大切な人、ですよね?」

 マリウスは自分の妻の事を何だかんだ言っているが、その口元はニヤけてるので、本気でそうは思ってないと分かったので、聡は軽く揶揄うつもりで、本心を代弁してやる。

「にゃ、にゃにお!?」

「さて、オッサンがニャン語使っても、特にありがたみ感じないんで、先程から戸惑った表情をしてる、彼女と話しましょうか。」

「サトシお前、案外良い性格してるよな。」

 『はっ』と鼻で笑いながら、顔が赤く染ったマリウスの呟きをスルーして、金髪の少女に向き合う。

「初めまして、お嬢さん。私はサトシ・アライと申します。今はしがない旅人をしております。」

「え?は、はぁ。」

 いきなり芝居がかった仕草で挨拶を始めた聡に、少女は戸惑いながら返事を返す。

「先程の一件については、特に気にしておりません。それに、責任については全てマリウスさんが負うとの事ですので、少なくとも私から貴方に対して、無茶な要求をするなどという事は御座いませんので、御安心ください。」

 何時になく長ゼリフである。どうやら聡は、本人は認めないだろうが、自身の15分の1も生きていないであろう少女に、緊張しているようだ。そのため、本来は興味のある事以外は口数の少ない聡は、余計な事までペラペラと喋っているのだろう。

「はぁ。」

 一方少女はというと、目をパチクリとさせ、聡が何を言っているのか全然理解出来ていないようだ。
 無駄に緊張している聡と、状況を理解していない少女。そんなカオスな状況を、更に掻き回す者が現れる。

「なんだい?朝から騒がしいわね。って、おや?あんた、見ない顔だね。客人かい?」

「エマ!」

「お母さん!」

 村の奥の方から現れた女性が声をかけると、マリウスと少女が衝撃の言葉を口にする。

「え!?…という事は、え!?マリウスさんとそこのお嬢さんは、親子!?え!?世界七不思議のうちの1つ!?」

「何でやねん!」

 聡の滅茶苦茶失礼な驚きように、マリウスが後ろから頭を『スパーン』と引っ叩く。

「あ、自己紹介まだでしたね。私は、そこに居るマリウスとエマの娘のイルマです。今年で14になります。」

 聡が驚いているのを見て、少女、イルマは自己紹介をする。

「ぎ、ギリセーフ!あとちょいで、アウトだったわ〜!いや、半分アウトか!?」

 見慣れた日本人ですら、外見での年齢判断が不得意だった聡は、予想では18歳くらいと思っていたので、場所が場所だったらお巡りさんにとっ捕まってるところだったと、戦慄して震える。

「サトシ?口調がおかしくなってるぞ?」

「あ、これは失礼を。えと、そちらの方が…。」

 マリウスからの指摘を受け、聡は慌てて取り繕う意味も含めて、エマと呼ばれた女性を見やる。

「私は、マリウスの妻のエマです。年齢は秘密よ。」

『パチッ』とウィンクを繰り出しながら言う。マリウスが52歳である事を考えれば、エマも結構歳がいっている筈なのに、20代後半と言われても信じられそうな見た目だ。

「あ、はい。私はサトシといいます。今年で21歳になります。今は旅人やってます。よろしくお願いします。」

「あらあら、良い男じゃない。私があと30若ければ、放っておかないわね。」

「あはは。マリウスさんに悪いですよ。ほら、見てください。ヤキモチ妬いてますよ?」

 エマの冗談に、マリウスは口を尖らせてそっぽを向いていた。聡は危うく『ガキか!』とツッコミを入れるところであったが、揶揄うのはエマに任せる事にした。
 この時聡は思いもよらなかった。この後直ぐに、危うく地獄に突入しかける事になるとは…。

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