異能都市で、彼はなぜ異能を使わないのか?

鶉 夜宿

第39話

(はあ~、どうしましょう! 未さんにあんな美しい彼女さんがいたなんて………。[勘違いです])

授業中だというのに、ルチェはノートを取るペンの動きが止まり、昼食のあの光景に落ち込んでいた。

(わ、わたしも攻めた方がいいのかな~…………[だから勘違いです])

「………角」

(で、でも、わたしそんなこと……)

落ち込んだりと焦ったりといちいち大変なルチェ。

「………佳角」

(よし、わ、わたしも寮に帰ったら、作戦実行です!)

拳も握り、いざ決心をするルチェ。

「佳角ーーーっ!?」

「は、はい!?」

先生に怒号の一声でルチェは我に返り、ビクッと立ち上がり、涙目になる。

「おい、どうした。佳角? 大丈夫か!」

そんなルチェを心配する先生であった。

………………………………………………………………………………
 そして放課後。
 
 体力テストは、その体力テストの測定機械が故障したために今回は明日に延期になり、帰る時間が早くなったため未と楳原は、学校に整備されているカフェで二人向き合って話していた。
 体力テストの中止の理由とすれば、先生たちが色々と出張のために人材がいないのだ。
 今、照夜は、先生に呼ばれているため、存分に話せる。

「………っで、義姉さん。照夜さんって子知ってる?」

「いや、知らないな~」

いかにも知ってる風に答える楳原は、アイスコーヒーをストローから吸い上げる。

「フィールは『弾丸』。放ったものをすべて弾丸、砲弾のように飛ばすことができる………ってことがわたしが知ってることくらいだが」 

頬杖をたて、ペラペラと名簿をめくって照夜の情報を伝える楳原。

「てか、お前、いつの間に神屋ことファーストネームで呼ぶようなったんだよ~?」

「………話を逸らすな。それはあっちから呼べって言われただけだ。
 ていうか、さっきからニヤニヤ顔でこっちを見るな」

「はぁ~、ほんとにお前、あいつのこと覚えてないのか?」

「いや、だからそれを僕は聞いてるんだけど?」

同じものを頼んだ未はアイスコーヒーを飲んで、楳原に理由を求む。
 すると、楳原は

「………お前、一時期、武に励むために森で引きこもってただろう?」

「…………ああ、確か、何歳だっけ? 五歳からだっけな? それがどうしたって言うんだよ?」

未は幼少の頃、武を極めるために森で籠っていた。
 自分のフィールがあまりにも強すぎたから。
 まあ、でも三年くらいでそれも強くなりすぎて終わってしまったらしいが。

「その時に、誰か助けた記憶ないか? 例えば、めちゃくちゃ可憐でお嬢様みたいな人?」

「………ああ、そういえばいたな。森と似合わなかった貴族っぽい服着た人を助けた記憶があったけど……、え? まさか、あれが照夜さんっていうのか?」

「ああ………って神屋が言ってたぞ」

「……まじかよ」

意外そうな顔でアイスコーヒーの氷をガリガリと食べる。
 聞けば、照夜の両親たちは立派なお金持ちで父が日本にいくつものある会社の実業家であるらしい。

「まあ、お前の話は以上か? なら、わたしは帰って、残業しなきゃいけないから戻るわ。
 ………ったく、なんで今の時代は残業というめんどくさいものをやらせるかね~?」

「………聞こえてますよ~、心の中の声」

そんなこんなで、楳原は席を立ち上がり、会計を済まそうとレジに立とうとする。

「あっ、そうだ。 お前に言うの忘れてたわ」

「?」

なにかを思い出しかのように立ち止まり、未の方に顔を向ける。

「お前のところに神屋、入れることにしたからよろしくな~」

「………、はっ?」

楳原は軽々しい口調で言い、店から出ていった。
 一方で未の方は唖然としたまま、バカのように口を開けていた。

「………マジで」

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コメント

  • ノベルバユーザー232154

    ………お前、一時期、森で武に励むために森で引きこもってただろう?」

    ………お前、一時期、武に励むために森で引きこもってただろう?」

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