異能都市で、彼はなぜ異能を使わないのか?

鶉 夜宿

第30話

「ほ、本当にどこ行くんですか、未さん!」

「………だから、暴れないでくださいルチェさん。僕のバランスが保てなくなりますし、あと、暴れると、パンツが丸見えになりますよ?」

「ひゃう!?」

慌ててまた、暴れ出すのをやめるルチェ。

「そ、それなら、せめてわたしたちはどこに向かっているか教えてください………」

「………それは、着きました。ここです」

「こ、ここは………!」

とルチェを肩から下ろすとそこには、爆発で巻き込まれた客たち、軽傷者から重傷者までが科学機隊の救助班のもと、治療や手術などをしていた。

「………ここで、ルチェさんにはこの人たちの治療をしてもらいます」

「えーーーっ!? ち、ちょっと待ってください! わ、わたしにはそ、その………」

「………ルチェさん」

「は、はい!?」

すると、びくびくするルチェに未はルチェの目線と同じくらい腰を下ろして、肩に手をのせる。
 
「………もしも、緊張をすることのあったら、手に『人』と書いて飲んで、吐き出してくださいね」

「え? あ、あの、それって人を飲み込むっていう意味じゃないんですか?」

言ってることの意味が常識とはまったく違うのにルチェは未に質問をする。
 だが、未は朗らかな笑みで、

「………それは、この場で意味がわかることです。それでは」

「あ、未さんーーーっ!?」

とルチェの元から立ち去ったのだ。
 そして、その後ろ姿をルチェは、涙目になりながら、怪我人の方を見渡す。

「わ、わたし、どうすれば………」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……あの、意味分かってくれるかな?」

と、その襲撃犯のもとに向かい、ルチェに伝えた言葉の意味をわかってくれるか心配する未。
 そう首をかしげて心配していると、ポケットのタップから着信音が鳴った。
 楳原からだ。
 それに未は、走りながら迷わず応答する。

「………どうした、義姉さん?」

『大変なことが起きた。その場所で湍水が交戦している』

「………はぁ! マジかよ! っで、今、奈由香さんの状況、監視カメラで分かるか?」

そうして、電話越しの楳原は、監視カメラを確認した。
 
『とても、言いにくいが、襲撃犯の方が優勢だ』

「ーーーっ!? っあ~! なんで奈由香さんそこで戦ってるんだよ! めんどくせ………」

頭をむし掻く未。
 だが、そんな考えてみれば分かったのだ。
 彼女は、異変があればすぐに駆けつけ、困った人を助ける優しい人なのだ。
 今回は、このショッピングモールで爆発があったのを近くで目撃して、いてもたってもいられずにここに来てしまったのだと。

『まあ、とりあえず、監視カメラから見るに、襲撃犯は火と水、風に電気、そして氷と中々の強力なフィールだ』

「………分かった。とりあえず、向かってるから、奈由香さんも一緒に助けるわ」

『そのつもりで行ってくれ未』

「………へいへい」

そうして、未はタップの通話ボタンをOFFにして、後ろのポケットにしまった。

「………今、助けますからね、奈由香さん」


……………………………………………………………………………

その頃。

「はぁ……、はぁ………」

奈由香は、足をついてさっきの電撃を食らい、全身が痺れて動けない。
 身体をみれば、ワイシャツがボロボロになり、怪我がところどころなっており、右足は氷で凍っており、左腕はひどい火傷になっている。
 一方、フロスはさっきの変身からまったく疲れも見せずに、ピンピンとして空中を動き回っている。

『あれあれ、まだくたばってねえのかよ! 早く、死ねばその疲れも楽になるよ!』

「ぐはっ!?」

フロスの神速の蹴りに反応ができない奈由香は、素直に受けるしかなく、横っ腹を蹴られ、何発の見えない拳を顔面に殴られ、そして、蹴り、殴りと、奈由香は反抗することができなく、やがて倒れてしまう。 

「あっ………っあ……」

フロスは奈由香のもとに来て、足で奈由香の顔を踏みつける。

『あははーーーっ!? 面白いな~』

さらに踏みつけ、踏みつけ、と、まるで、無邪気の子どものようにひたすら奈由香顔を踏みつける。

『さあ、ここで終わりにしよう。お休みなさい、永遠に!』

そして、最後の踏みつけは思いっきりの足の突きだ。
 これを食らってしまっては、奈由香の顔は、ぐちゃぐちゃになってしまう。
 奈由香も起き上がろうとするが、うまく立ち上がることができない。

『終わりだ!』

そして、奈由香にフロスは攻撃をする。

「………た、たす、……けて」

涙を流し、微量な声で助けを呼んだ。
 とその時、

「………邪魔だ」

『あぁ?』

フロスは足………というか身体が回転して、そこから重い蹴りで壁の向こう側へと飛ばされたのだ。
 そこに救世主が現れたのだった。

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コメント

  • ノベルバユーザー232154

    さらに踏みつけ、踏みつけ、とまるで、無邪気の子どものようにひたすら奈由香顔を踏みつける。

    さらに踏みつけ、踏みつけ、と、まるで、無邪気の子どものようにひたすら奈由香の顔を踏みつける。
    です。

    0
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