植物人間

透華

鞄の音

ノブが回り、ドアがギギギと錆びついた音を立てて開く。
目の前に茶色い大きな鞄を下げた少女が立っていた。
「え、あの…」
「ここ、カフェですよね?」
明らかに年下に見える少女は唖然としている俺に小首を傾げた。
たしかにカフェではあるが、ここは裏口だ。
「あの、たしかにカフェですけど…」
「なら、コーヒーを一杯頂くわ」
彼女は強引に俺を押しのけると店の中に入っていく。
「あ、あの…」
「何よ、はっきりしない店員さんね」
静かそうな外見とは裏腹にハキハキと毒を吐く少女は俺の方を面倒くさそうに見やった。
「あのっ、こちらは裏口で入り口はあちらで…」
俺が指す方を見るなり少女はドサッと鞄を落とした。

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