ダンジョン経営なんてロクなもんじゃない!?

Mei

ルークの実力 2

 「あの魔物は?」
「あれは……。#鋭い刃を持つ蜘蛛__シャープブレイド・ディ・シュピネ__#だったかしら」
 シーリーは天井に張り付く巨大な蜘蛛を見てそう言った。
 誰だよ。#鋭い刃を持つ蜘蛛__シャープブレイド・ディ・シュピネ__#とか付けたやつは。見たまんまじゃないか……。
 僕は今にも笑いだしそうになるのを堪えながら、天井に張り付く#鋭い刃を持つ蜘蛛__シャープブレイド・ディ・シュピネ__#……。ぶふっ……。を警戒する。やばい、思わず笑っちゃったよ僕。
「どうかしたの?」
 そんな僕を見てシーリーは訝しげに声をかけてきた。
「な、何でもないよ」
「……? そう。ならいいんだけど。じゃあ、早速あなたの実力、見せてもらうわよ」
「わかったよ」
 僕はそう言うと同時に跳躍し、天井に張り付く#鋭い刃を持つ蜘蛛__シャープブレイド・ディ・シュピネ__#を二本の大鎌で両サイドから逃げ場を極力なくすように攻撃する。だが、さすが五十階層のボスだけあって刃がある前足二本で簡単に防がれてしまう。
「まあ、そんな簡単にやられるはずもないよね……」
 僕がそう呟くと同時に巨大な蜘蛛みたいな魔物が攻撃を防いだ前足でそのまま僕の腹辺りに攻撃してくる。それも結構なスピードでだ。だが、ルークはそれを二本の鎌で簡単に弾き返し、その勢いを利用して巨大な蜘蛛みたいな魔物の胴体を攻撃する。巨大な蜘蛛みたいな魔物はその攻撃に反応できず、二本の鎌によって胴体を貫かれる。その影響か、巨大な蜘蛛みたいな魔物は天井に張り付く事ができなくなり、そのまま地面に落下する。巨大な蜘蛛が落下した衝撃で地面が大きく震動した。
「終わったのかしら……?」
「いや、まだだよ」
 まだ巨大な蜘蛛みたいな魔物が生きている気配がする。だが、崩れたブロックが起こした#砂埃__すなぼこり__#みたいなやつが原因で視界が悪くてよく見えないためその姿は視認できない。と、その時。
ヒュン!!
 風切り音はしたと思うと複数の糸がこちらに向かって吐き出されていた。僕はそれをギリギリの所でかわしながら後退する。地面に糸が到達した瞬間ー。
ガリガリガリ!!
 地面が削れる音がした。下を見てみると細い引っ掻き傷のような後が複数ついていた。(……あの糸もあの前足の刃と同等ってことか……。数が多いだけに少し厄介だな……。まあ、特に問題はないんだけど……)
 やがて次第に視界がはっきりしてくると巨大な蜘蛛の姿が見えるようになった。それを視界に捉えた僕は巨大な蜘蛛みたいなに向かって一直線に走っていく。巨大な蜘蛛みたいな魔物が再び糸を吐き出してくるがそれを避け、大鎌で防ぎ、巨大な蜘蛛みたいな魔物に近づいていく。
 そして、遂に巨大な蜘蛛みたいな魔物の腹の下辺りに潜り込む事に成功する。僕は、そのままとどめの一撃を刺すため、二本の大鎌で巨大な蜘蛛みたいな魔物の腹を切り裂く。蜘蛛みたいな魔物は腹が弱点だから、これは相当効くはず。
 ルークの予想は、見事的中し、腹を切られた巨大な蜘蛛みたいな魔物は致命的なダメージを負い血をダバダバと流してそのまま地面に倒れた。暫く待っていると巨大な蜘蛛みたいな魔物の体が光だした。そのあまりの眩しさにとっさに目を細め、腕で目を庇う態勢になった。
 暫くして、光が収まる。ルークとシーリーは次第に光を取り戻しながら目を開く。すると、そこに巨大な蜘蛛みたいな魔物の姿はなく、代わりに直径6メートルくらいの紫色の魔石が落ちていた。
「おっ……。結構でかいなー。この魔石。これは結構金になりそう……ってどうしたの? シーリー」
 シーリーは口をポカーンと開けながら呆然とその場に立っていた。ルークが呼び掛けても依然として反応しない。
「シーリー? おーい」
 ルークが再度呼び掛けてやっと気づいたのかこちらを向くシーリー。
「やっと気づいた……。行こう、シーリー」
「ちょ、ちょっと待って!!」
 僕はシーリーにダンジョンマスターの部屋へ行くことを促したが、シーリーは強い口調で僕を呼び止める。
「ん……? 何?」
「ん……? 何? じゃないわよ!! あの魔物って結構強いのよ!?」
「……? それが?」
 ルークはシーリーの言っている事がわからないがらしく、首を傾げている。
「それが? じゃないわよ!! あの魔物をいとも簡単に……。はぁ……。あなたには何を言ってもしょうがないわね……」
「僕、今遠回しに馬鹿って言われたような……」
「あ~もう!! 何でもないわよ!! 早く行くわよ」
「……? わ、わかったよ……」
 シーリーは半ばやけになりながら先にあるダンジョンマスターの部屋へと向かう。僕も魔石を回収し、シーリーの後を追う。
 だだっ広い空間を右に曲がり、暫く進む。すると、シーリーは突然何の変哲もない壁の前で立ち止まる。
「ここが、ダンジョンマスターの部屋よ」
 シーリーが壁を指差しながらそう言った。

  

 

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